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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・76回


七十六回




 とにかく、これから当分はめまぐるしくなりそうです。

もし君達が心配して下さっているのなら、申し訳ないことなんですが――


とにかく、ここ当分の目的らしきものが出来ました。

その為に、この日記をつける時間もなくなり、ご無沙汰するかもしれません。


 しかしそれも最初の内だけで、それをある程度飲み込められたら、また書いていくだけの時間的余裕も作れるようになると思います。

それまで寂しいことですが、本当にお別れしなければなりません。



 今日は、特に色々なことがあったような気がするのです。

加工課を追い出され、ある課(特に自分が本望となれる所)へ配属が決まりかかったような気もしますし――


前の彼女との事で、ひと騒動あったような気もしますし――


 本当はその事を詳しく書きたいのですが、今は暇がありません。


本当は今日、話題にのぼったごとく、加工課の枠から飛び出したいのです。

こんなにも一人閉じ込もっていることに甘んじてる自分を改革する為に、作業課あたりに変属されて、もっともまれた方が良いと思っているのです。


 しかしそれも、一応(夢)破られて、また今まで通りの配置に戻されたような気がします。

その点については会社の方針によるしかありませんので、上の人達に任せていようと思います。


ただ出来ることなら飛び出したい、新しい仕事に携わりたい、そうゆう気持ちも半分以上あります。

そこに彼女が居るのですが、何も彼から奪おうとかゆう気持ちはさらさらありませんし、あくまで彼女自身で決めることですし、彼女が決めたことにはとやかく口をはさむ気はありません。


ただそうなれたなら、少しでも話が出来る間柄になれたら、それで満足できることだと割り切っています。


彼にもそんなに煩わないように助言しておいて下さい!


運命とゆうものは、どのようなキッカケで、どのように変わり、落ち着くか分からないものですからね!



 一月二十日


「とにかくおめでとう!」


しばらくご無沙汰していましたが、どうにか今度の活動要領も半ば飲み込めましたので、また少しずつ日記をつけていく余裕を作って行けそうです。


とは言え、もう今の自分には君達にあえてお話しすることも浮かばず、ポツンポツンといった調子で話しを続けていくものと思います。


 それに――デスネッ。


ここしばらく彼女のことを忘れて書き綴っていたのですが、どのような事項を書いていようと、やはり本当の話し相手としていたのは彼女ではないかとゆう気がしているのです。


 何の為に、何を求めて、書き続けていたのか分かりません。

このように、もう僕の手の届かない所に行ってしまうようになる縁でしかなかった彼女に、どうしてこれほどまでに執念深く訴え続けてきたのか?……


今は何も分かりません。


 ただ、もし彼女がこの日記を通じて刻んできた思い出を「後生大事にしまっておきたい!」というほどのものを残せられていたら幸いだと思います。


本当に長く、苦しく、果てしのないと思っていたトンネルが、やっと終わりを告げようとしているのですからねっ。


 君達からの返事はついに最後までいただけず、自分一人で話しまくっていた一方的な交流ではありましたが――


僕としても結構楽しくもありましたし、苦しみも楽しみと変わる思い出を沢山残すことが出来ました。


僕にとってはチョッピリ物足りなくはありますが、彼女も「ウチ達二人の愛情というものは、そんな単純なものじゃないの。あの人のことは、彼とは違った愛情を抱いて好きよ! デモ……イイの。ウチ達はこのまま友達という間柄で終わった方が良いのよ!」と言っているようですし――


 僕にとっても自分が何にも良い目を見られなかったものではありましたが――


僕との交流を通じて、前のような、ひねくれて、我が儘で、自分勝手さがなおって――


「この頃のモタイさんは、本当に素直になったわねっ。これも藤田さんとの交流があったからなのよ。藤田さんはチッとも良い目をみられないのに、今まで随分モタイさんのことを気使い、心配し、まるで自分の妹のように可愛がっていたんですもんねっ!本当に……、これが本当の友情とゆうものなんでしょうね!」云々




 もし本当に、自分のした事で彼女の心が正しくなれたのなら、これ以上本望な事はありません。

あくまで、これも自分勝手な憶測ですから、こんなにまで彼女に力がおよんだかどうかは確信出来ませんが――


とにかく「おめでとう」


そして……


マァ~、今はまだ僕との関係がありますから、素直さが残っていると思いますが――


多分、僕から離れて彼氏と二人きりにでもなったら、また、元のように彼女の自性がを占めるものと思います。


それが彼女の本性ですから一生治らないのではないかと思います。


 その点が少し心配でわありますが――


しかしそれは仕方のないことです。

それでもやはり僕との交流があって築かれた思い出とゆうものが、今後どうしても抜けきらない彼女の性分に、もてあそばれている時に、きっと息を吹き返えらせて――


「コラッ! またそんなにわがままを言ってる。俺があの時教えたことをもう忘れてしまったのか! あの時のことを思い出して、もっと素直になれ!」


などと――、

彼女の頭をゲンコでぶん殴るだろうと思います。


 とにかく僕のことは別の宝庫にしまって、早く彼氏と良き暖かい家庭を築いていけるように頑張ってください!

僕もおそまきながら遠くから君の幸せを祈ってます。


 僕はといえば、まだまだ当分は家庭を持つことなんか考えられないだろうと思いますし、まだ会社の連中との殺生事が片付いてません。


それを解消する為にも、とにかく信仰に励んで、一にも二にも心を正していく努力をしていきたいと、かように思っています。





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