ある日の日記・74回
七十四回
と……。
あぁ~。
そうゆうことです。
僕も本当に胸張って堂々と「彼女の一人ぐらい持っとぉくさい!」と言いたいのだけど、恥ずかしながら今は無し…ナシ…なし…
「彼女が居ながらあんなことヌケヌケとしているなんてひどい奴だなぁ~!」
「あれは典型的なムッツリスケベェーよ! 実際そんな人いるのかしらと思っていたけど、本当に居るのねっ! イヤらしい人だわ~!」
「もう相手にしないわ! 今まで相手してきて損したわ!」
――などなど、全て夢から湧き出た幻の産物なのです。
実に愉快でしたねっ!
今日のことは、もう忘れて下さい。
そしてまた明日から仲良くやっていきましょうよ――
ねっ!
いつもいつも、こんなくだらないことばかり話していて、いい加減飽きてきましたし、時間も勿体なくて仕方がないのです。
もうやめようかとも思うのですが、どうしても止めきらないのです。
やはり引っかけようというんじゃなくて、誰か一人、自分の心を理解してくれる人をいぶり出したい為に――
ただその為に、今は気力なく、無気力なりにも、ひたすら書き続けているのだと思います。
前にも言ったように、もしその唯一の人でも得られることが出来たなら、もう僕はこのような七面倒臭い仕事はほっぽらかしましょうし、思い悩み考え煩うこともしなくなるだろうと思うんです。
ただそれだけです。
今はただその日が訪れるまでズッと続けているしかないのてす。
後まだ色々語りたいことは沢山ありますが、もう眠くなりましたので、この辺で失礼させて頂き候。
権力をもって自分を押し潰すのならそれでも結構。
奴等がいぶり出し、やめさせる腹だったら、こっちからツバを吹っ掛けて「ハイ、オサラバヨ!」と出ていくだけさ!
とても俺にはいつまでも付き合ってなんかいられんとゾッ!
今日は一日中寝不足と過労で、頭がボケーッとして、周囲の動向をよく観察することが出来なかった。
本当は今日ほどこのドラマのクライマックスになった日はないだろうというのに――
肝腎な時になって僕の霊感は作動しなかった。
実に惜しいことをしたものだと残念がりますが――
しかし仕方ないことです。
分からなかったものは分からなかったことだし、捨て置くしかありませんねっ。
とにかく今日は朝から意味なくふて腐れた気分であったのです。
昨日までの僕の立場といえば、そら~「おとなしいがよく仕事はやるし、奴が居なければ六階の仕事は片付かないよ! 本当に役に立つ奴だよ!」
――と言われるほど重宝がられていたのです。
一時はある上役の人をけなしていた人にも
「だんだん奴が好きになってきたよ!」
「そうだろう。本当に奴は良い奴なんだよ。口数は少ないが将来お前の右腕となって活躍するようになるかも知れないんだよ!」
「そうだねっ! 俺の右腕となるべき奴のことを『こんな人ウチの会社には要らないよ!』と言うなんて、俺もバカなことを言ったもんだよ!」
「本当だなっ!奴ならやれるよ」
……それまでの僕の仕事成績は良かったのです。
ただものを言わないということで、これまで彼にも上役にも周囲の人達にも、色々と煙たがられていました。
しかしその良い成績が披露されてからというもの、その人達も一変して、僕のことを重宝がるようになっていたのです。
そうやって上役からホクホクと笑顔で見られているのはまんざら悪い気もしない……
しかしそれが今日になって一変してしまったのです!
どうしてこのようになったのかは知りませんが……
アァ~!
眠い!
もう今日は書くのはよそう!
眠くて眠くてどうしょうもない。
ただ僕のように孤立して、上役(会社の方針)に反発する者が、どのような目にあわされるか? ということがよく呑み込めただろうと思います。
彼等にしてみれば「権力に歯向かった者が、どのような目にあわされるか思い知らせてやる」ということで、今日のような行動をとったものと思います。
ある課長であるオヤジが言いました
「もう奴が昇進していく道は断たれた。俺が認めないからなぁ~。これで奴も失望するだろう」――と。
そりゃ~、失望するにはしましたが――
しかしそれは自分事に関してではないのです。
やはりあのような出世をするのには、妻子も家庭もありながら、他に二号さんや女を作っているイヤらしい奴にしか出来ないのだと!……
もう僕は出世をしたいとゆう夢も希望も持てなくなりました。
とてもとてもあのような醜い人間にまで成り下がって出世したいとも思いませんしねっ。
とにかく彼はプライドがありすぎるよ!
裏でこ汚いことばかりやっていながら、会社へ来るといかにも真面目一点張りのような渋い顔していなさる。
その顔を見るにつけ「とてもとてもこのような奴について行く気にもならないやぁ~」という失望の念にかられるのである。
これじゃ~、若い者の中から優れた人材が育成されるはずがない!
もしまともな考えを持っている者だったら、とてもとても現実のくだらなさを知って即刻止めていくことだろう。
そして後に残る者といえば、モルモットみたいに会社から飼い慣らされ、いいように扱われても、てんで歯向かうことすら考えないでくの坊達ばかりだろうと思う。
だからこの会社はいつまでたっても発展しないんだ!
反発すればすぐ押さえつけようとするし、バカみたいに会社や上役にベッタリくっついている者を優先的に扱う。
そのような能力主義一点張りの、乾ききった牧場に、どうして生き生きとした牛馬が育つことが出来るだろうか?
もっともっと牧草を新鮮にし、周囲の空気を清々しい空気にしなければ――
とてもこれからのデリケートにつくられた若い者は育っていけやしないんだ!
もっともっと伸び伸びと自由にさせることも必要ではないのだろうか?




