ある日の日記・44回
四十四回
九月二十五日
『くるま椅子の青年』
その母親は悲しんだ。
生まれるまで、その子の将来の輝かしい姿に夢が飛び交い。
生まれる日を待ち望んでいた。
彼はくるま椅子の上で、くる日もくる日も時間の中を、悲しく走り回っている。
足が動きさえすれば‥‥
この足さえ動けば、あの娘のもとえ、すっ飛んで行って、愛を告白したいと‥‥。
くる日もくる日も、あの娘のことを思い、夢の中を走り回っています!
しかし彼は動けない。
悲しんだ。
何とかして、彼女にひと目、会いたい‥‥。
と、くる日もくる日も思い悩んでいた。
彼の一番の良き友は、木彫り人形。
彼は一人ぼっちだった。
だから、いつもいつも、彼に話しかけていた。
「ネェ。君はどう思う?。あの娘のこと?‥‥。
いい娘だろう。まるで天女のごとく、衆生の中を、光輝いているよ。
美しい。とても美しいよネ。
僕は、あの娘に恋してしまったんだ。
毎日、毎日が、あの娘の思いで、胸ふくらみ。そして、いつも悲しんでいるんだよ。
どうしてって!?‥ 。
僕は動けないんだよ 。
この足を見てくれ。
生まれた時からなんだ。
僕が物心ついた時には、もう、この足は死んでいたんだよ。
学校へも行けやしない。友達も出来やしない。
だから僕は、いつもいつも、この部屋の中で過ごしているんだ。
一度、外の世界へ出てみたいもんだネ。どのような所なんだろう?
この足が動いて、外に出れさえすれば、あの娘にも会えるのにネ。
でもこの貧弱な容貌じゃネェ。たとえ会えたって、彼女は振り向きもしないだろうネ。
だから僕は、こうして、窓際に寄りそって
いつもあの娘を見つめているだけなんだ!
でも、それで良いんだ!
夢見ているだけで、楽しいんだよ。
もう彼女は、僕のお嫁さんになってくれるって言うんだ!
だから、毎日、毎日が楽しくてしょうがないんだよ‥‥ネッ!
楽しいだろ!
しかしネェ。それでも、フッと、悲しくなる時があるんだ。
どうしてって?
やっぱり、夢の中のお嫁さんでしかないんだもん。
悲しいよネッ」
彼は、その夜、夢を見た。
子供の頃、よく母からきかされた、おとぎ話しのようだった。
「ネェ。君。僕が変わりに行ってあげて、あの娘を君のお嫁さんにしてあげようか」
彼はビックリした。
今まで彼が、いくら話しかけても、返事すらしてくれなかった、お人形さんがしゃべっているんだ。
しかも、彼そっくりの姿をして、目の前をいそがしく動き回っている。
お人形さんは、彼の気持ちなんか気にもとめずに、しゃべり続けた。
「ネェ。君。僕は今まで君の良き友であり、良き話し相手だったよネ。
いつもいつも、あの娘への悲しい片想いの話ばかり聞かされて、とてもいたたまれなくなったんだ。
君はやさしい心を持った人間だ。
君みたいに良い人間が、そんなに悲しい顔をしいるのを見ていられなくなったんだよ。
君こそ、この世で一番幸せになるべき人なんだよ。
だから僕は、君の願いを、叶えてあげる。
明日の朝、君が目を覚ました時には、
僕は君の願い通りに動く、あやつり人形になっていると思うよ!
だから君は、自由に君の思いを僕に伝えて動かすことが出来るんだよ。
素晴らしいだろう。
きっと彼女は君のお嫁さんになってくれるよ。
だって。ほかの誰よりも、あの娘のことを好きなんだもん。
じゃ。お休み。
いつか晴れて、あの娘と結婚式をあげられる日が来ることを祈っているょ」
彼は起きて、すぐさま、お人形さんに話しかけた。
「ネェ。君。
君が昨夜、夢の中で言ったこと、本当なの!?
僕の思い通りに動けるって、本当なの!?
じゃ。一度ためしてみるネ。
手を上げてごらん。動く!‥‥
じゃ。足をあげてごらん。ーー(ギギィー)ーー。
動く!
それじゃ、立ってごらん。
そうそう、まっすぐに立ってごらん。
うん。立派だよ。
僕が夢にまで見た、たくましい体つきをしてるネ。
肩幅は広いし、腕は丸たん棒みたいだし。
背は高いし。それに一番僕が気に入ったのは、君のその顔だよ。
とても二枚目だネ。
これだったらあの娘の前に出ても、ちっとも見劣りしないよ。
君が僕の変わり身だって!?‥‥
ちょっと照れ臭いなぁ。
でも、いいや。
あの娘に会うには、これぐらいでなくちゃネ。相手にされやしないからネ。
だって、とにもかくにも、彼女は雲の上の天女のような人だもん。
その娘の旦那さんになるには、君くらい男前で、たくましくなくちゃネ。
気に入ったよ。
君ならきっと彼女をものに出来るよ!」
「それじゃ、今度は、しゃべってごらん。“アァー”って言ってごらん」
「アァー」
「それじゃ、今度は“イィー”って、言ってごらん」
「イィー」
「じゃ、“シー”は」
「シーッ」
「テーは」
「テー」
「ルーは」
「ルー」
よく言えたネ。
あの娘に、この言葉を言うために、これから君は、僕の思い通りに動いていくんだよ。
それじゃ、もう一度その言葉を、続けて言ってごらん。
「アァー、イィー、シー、テー、ルー」
そうそう。うまいよ。
「愛してる」ーー
君に言えるかなぁ~。心配だよ!
でも君のように、たくましい男だったら、きっと言えるよネッ!
期待してるよ!
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実に難しいなぁ~。 しかし、もう実際、現実のことでは言うことは、言い尽くしたから
これからは、チョッとキザだけど、この筋の作文を書いていこうと思ってる。
最初の試みだから、なかなか話がはづまなくて、退屈しただろうネ。
しかし波に乗ったら、もっと早く書いていけるようになるかもしれない。
だから、その日が来るのを期待していてくれ!
本当は、チヨッピリ、途中で投げ出すんじゃないかとゆう心配もあるが。
しかし書き始めたんだから、続けられるしこ、続けていきたいと思う。
君と意を通じることが出来てからも、完結までネッ。
今日は、これまでにしときます。
お休みなさい!




