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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・69回


六十九回



 現代の人達は、あまりにも世間が騒々しくて、頭が混乱しているのだよ!

何が真実で、何が偽りか? 何が大切で、何が必要か?

何が……


 そうやって君達も、誠の姿を見抜くことが出来ないでいる。

そのような時に、昔の聖人がやっているように、世間(下界)から脱して、陰とんの生活をしてみれば一目瞭然にそのことが分かるようになるのではないかと思います。

だから君達も一度ためしてみてはどうですか?


 とにかく、今彼が僕に対して反感(可愛いげない)を抱いていることは、何も僕の人間性を理解し、それが悪いということを信じてやっている行動ではないのだよ!

ただ僕のような思想など、およそ彼が今まで生きてきて、触れたこともないようなものであるがゆえに、自分の内に呑み込めず、従ってイライラし批難しているだけなんだよ!


 たしかに彼の思想、人格というものは、普通の人達よりも高度なものだろうとは思いますが、まだまだ僕からしてみれば、()にはまり(ワク)のあるように見えるのです。

そして彼も征服欲がありますから、自分のワクにはめ込めようとしている。

その中に入っている者達(今の二階の連中)にとっては、彼としても満足のゆくところで可愛く思いますし――、

従ってどのような思いやりも、親切もほどこすことが出来ている。

それによって、またそのことが部下の者達に好感を抱かれ慕われている要因ともなっているのです。


 しかしそれが、こと彼のワクにはまらないでいる僕のような者を見れば、あのように腹を立てるということは、やはり君達にも分かる通り、ワクが(人格の程度による限界)あるのではないかということが理解できるだろうと思います。


 要領が良くて、楽しむことだけしか考えていない者をあやすのは簡単なのだ!

彼に足りない面といえば、今の僕のように、死の誘惑にまでかられるほど思い悩み、苦しんでいる者に対して、あのような、人を小バカにしたことしか言えず、救ってやる力も持ち合わせていないものを尊敬できない。



 まぁ~、僕としては何もそのことが分かっても、彼を卑下するつもりはありませんし、人それぞれ自己に与えられた天分に従って生きていったら良いことなんです。

だから彼は彼で良いのです。


 ただ今彼が僕に対して浴びせている批難は、まったく的に当たっていないということを言いたいだけなんですよ。

ハイ!




 僕の愛情というものは、彼等のように一緒に生活し、話をし、親しみを作ってから、お互いを助け合い、救うというようなものから作られない。

そしてそのようなものを必要としないで、いつの世にも通ずる真の愛情を持っているのです。


 そのような人智のこざかしい細工で作られた、小っぽけなものではなく――

常にどのような時世にも勝り、全人類に通ずる愛情なのです。

つまりワクというものがない訳ですよ!


 だから僕はいつどのような時にでも――


まぁ~


僕は生きることにおいては厳しい方ですから、多少困っていることなんかには手助けしません。

手助けして返って本人の為にならないようなものであったら、素知らぬ顔をしています。


 しかしそれは本人が良くなることを思い、愛のムチをふっているわけで――

決して冷たく愛情がないということではないんです。

そのことは長く自分の心に触れていれば、いつかは分かってくるものなんです。


 だから今の一時期だけを見て、浅はかに判断をくださないでください。

そして本当に手助けをしてやらなければ救われないという時にだけ自分は手を貸します。

これが本当の愛情であり、相手を成長させてやれるものだと思います。


 しかしそれも度が過ぎ、またその真意を理解できないほど心がネジ曲がっている者に出くわしたならば、たまには冷たくののしって、自分から離れていく者もいますが。

しかしそのような者だったら、たとえどこへ行っても良くならないことだし――


(アァ~、これは今現在の自分に足りないことです。本当はそのような者でも救えるほどの愛情を持たなければならないものだと思いますが――)

去る者は追わずということなんです!


もし本当の真心を持っている者だったら、必ず僕の真意を理解してもらえるものだと信じていますし、すこやかに成長していけるだろうと思います。


 ただこういっていても、まだまだ今の自分にはこう言っている通りの言動がとれていないのです。

このことも今のところ、逃げ口上になりますが、将来、自分の言に行動がともなうようになってからの準備トレーニングをしているところです。

まだまだこれからなんです。自分が本格的に力をつけていくのは……


 その道のりは遠く、我が一生を貫いても足りないような大業なんです。



 しかしたとえそこまでたどり着けなく終わろうとも、今の自分は突き進んでいかなければならないのです。




 確かにもういい加減、全てのことにウンザリしてきているのだ!今までの自分のやり方、生き方にウンザリしてきているのだ。


どこの世に自分から人に嫌われよう、損しようとゆう者が居ろうか。

どうしてもイヤだったのだ!自分がいい目をみる為に何か――


しゃべったり、おこなったりすることが……


 愛想も、お節介も、挨拶も、仲間に入ることも……


一言、口を開いて何かを言えば、このように反感を抱かれ対立している冷たいコンクリートの壁をぶち破ることが出きるというのに。

何故か、その一言さえ言うことを許せなかった……


 とにかく自分がいい目をみる為の全ての言動を拒否し、皆からのけ者にされ、一人孤立して、何もいい目をみられない立場に置いていることで満足していた。

気が休まっていたのだ。


 全ての欲、全ての喜び、全ての幸せ、全ての楽しみ……

今まではどうしてもそれらを受け入れることが出来なかった!


 もう君達が来てくれていることも信じられなくなったし、ママさんが何か世話してくれているということも信じられなくなった。


もういつまでも金をポンポン使って、落ち着く為の資金を貯えない生活のあり方に不満が湧いてきた。


これからは会社の上役における不満、反感の念も極力おさえておとなしくしていよう。


これ以上はむかうことは、まったくお互いの利益にも、価値にもならないことだから。


仕事をキチンとやり、本を読み、信仰し、落ち着く為の資金準備をしていくことにしよう。


 とにかくもう飲みに行くことはよそう……


「もう行かなきゃ~いいのに、向こうの人は何にもあの人が来ることを期待していないのよ。行ったって何でもないの」


――ということが真実のことだろうか?


飲み代さえ浮かすことが出来たら、結婚資金ぐらいすぐに貯めることが出来るしなぁ~。

今の所はそういう考えです。


 しかし一寸先はどうなるのか分からないのが人生ですし、そんなに今の気持ちに縛られないようにしたいと思っています。

成るがままにまかせていたらいいことなんですねっ!


 そんなに考え過ぎることはない、本当にもう何もかも信じられなくなっているのだ。




もしこの日記を通じて、僕の気持ちというものが君達(会社の娘)に届いているとしたら、もう少し何か、間に暖かい交流が生まれてもよさそうだというのに――


その気配の一粉たりとも感じられませんし――


 今日もエレベーターの中で、彼女達と一緒になったが、相も変わらず何の気配もない。

 こうなってみると、いくら君達(幻聴)が何かあることをささやいてくれても、信じるに信じられないのだ!

実に悲しいことだが……、本当にもう信じられなくなったのだ。


 ママさん所では、別に自分がそういった身内的という関係があることを期待しないで行けば、別にただのお客として楽しく付き合っていける所です。

もし今の自分に、これからの自分にお金を節約すべき義務というものがまったくなかったら、さほど行く行かないということを思い煩うこともないのです。


 しかし今はただそれがある為に悩んでいる。

人知れず悩んでいる。



 彼等との戦いにおいては、もう終わりを告げたのだ!

僕の方も言うだけのことは言って、胸のつかえがとれましたし――


彼等も、言えば言うほど何かのこじつけをして歯向かってくるということで、いい加減ウンザリしてきていることだろうし――


もうこちらからケンカをふっかけなければ何にも起こりはしないのです。


 ただ自分がおとなしくしていさえすればね……




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