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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・66回


六十六回



 だから君達にも、他の同僚方々にも、自分の大いなる力量というものが分からないでいるのです。

その為に今まで再三僕のことをバカにし、「使いものにならん!」という、他愛のない批難をしていたのです。


 しかしこれで君達にも分かってもらえたでしょう?

本当は――、最後にはやはり真面目な人間が勝ち残れるのです。

たとえ要領が悪くてもネッ。

真面目にしていさえすれば、いつか必ずその真意を買って(見抜いて)もらえるようになるのです――


だから今――、本当は口下手で要領の悪い人達を代表して、その人達の良さ、価値というものを上役の人達に分かってもらえるように、自分が身代わりになって示していたのです。

たとえそのように損する性格を持っているとしても、決して自分を卑下することはないのです。

自分の後輩である田中も、俺と同じようなものだが――


 だからこそ俺のことを手本にして、今のままのペースでやっていったらいいことなのだ。

人それぞれに良い面も悪い面もある。

このような職場(仕事場)にあっては、やはり適応適正ということをすぐに察知して、その人に一番合った場所に配置してやること――

これが本当に本人のことを思いやり、より仕事能率を伸ばす基本だということは子供でも分かっていることです。

だから自分を批難した上役の彼が言ったことは、それで彼の配下にある人達には適応される理論なのです。

だから僕は何もその事については言わないし、賞賛に値するものだと思います。


 しかしそれを頭から、僕や、僕達の職場に浴びせかけるのはチヨッとのぼせ過ぎ(行き過ぎ)ていると思うんです。

見て下さい!いくら彼が批難しても、僕や僕達の職場も、けっこう順調に伸びているのだし、彼がとなえている理論以外の理論をもって、各人、立派にやれているのです。

要は――

アァ~、前もって断っておかなければなりませんが


「いくら仕事(成績)が良くても、奴は自分のことしか考えていないんだよ!」


ということに対しての反論ですが――


イエイエ、もう本当は何も言いたくないのです。

離ればなれにいて、自分の居場所以外のことが分かる訳ないのです。

たとえその中の一人から事情を聞いても、もしかしてその人も、本当のことを知っていないのかも知れませんし。


 だからそのような人から聞いても、決して本当に全てが分かったということは言えないのです。

結局は「他人のことに口をはさむな!」ということですネッ。


 僕が自分のことしか思っていないなんてことは、まったくの――

ウワベだけしか見きれない浅はかな人の言うことなんです。


 たしかに僕は終業時間がきたら、皆と話さないでさっと帰りはしますが

これは仕事以外のプライベートな時間として、誰にも遠慮することなく使用できるものです。

仕事内のことでは、あんまり自分だけ成績をあげても他の調子の悪い人達の気分を害するということを知っていても

イエ――、前は自分もそのようなことを気遣って極力ペースを落としていたのです。

しかし自分の性分としては、何かを目的にしようとしますと何でも我無者羅にしなければ気がすまないというところがありました。


 だからそのように他の者のことを気づかい、ダラダラしていることに、いい加減ウンザリしていたのです。

しかしそのように気づかう者(僕の親友や長谷部)が居なくなってからは――

とにかくもうこんなダラダラしたやり方はゴメンだということで、

もうやり方においては他の者がどのように思おうとも、マイペースでやろうと決めたのです。


 調子の良い機械、悪い機械があることは分かっていますし、それによって成績も著しく違ってくることも分かっています。


 僕のように良い機械につき、良い成績をおさめている者は幸いでしょう。

悪い機械につき、成績もふるわない者は、このように能率の良し悪しを表示されて、ただ表面的な評価をされて、自分の悪さを指摘されれば、やはり「俺の方は機械が悪いからふるわないんだ、奴のは機械が良いから生産も良いんだ。もし俺があの機械についたら、奴以上に生産をあげてやるんだよ!」


と言います。


 しかし、それはただウワベだけを気にしている者の言であって、

もしそのようなことを気にもとめない真面目人間であったら、俺のように良い成績を残しても、チッとも満足いきません。


「機械が良いから……」ということを言われたら、


「そんならその悪い機械を俺にやらせてみろ! たとえこっちの良い機械ほどにまで生産を上げられないにしても、自分なりに最高のベースにまで高めてやる。それでもこっちの良い機械よりも生産が低かったらそれで良いじゃないか! 要はその機械でそれに見合った最高の成績を上げたらいいことなんだ! そして自分なりに精一杯やっていたらそれで良いことなんだ」


と。


 それで僕としては、たとえトップの成績を残せていたとしても、チッとも満足していませんし、そのように悪い機械についた人達の言い分を聞くと、素直に自分がトップで上役の人達から高く評価されているということを喜べないのです。


 それにまた自分が自分のことばかりしか考えていないという批難に反発する第二弾としては、

このように悪い機械が、ポツンポツンとあって、それについている者が不振になっている時には、それをうめる者が居なければなりませんし

僕としては、全体の成績を重視して、今の所、その人達の分までやろうとゆう気持ちで精を出しているのです。

正真正銘その気持ちは持っているのです。

それにやりにくい紙、面倒臭い紙なども、この頃はなんの不平も言わずに受け入れています。


 と言うことで、僕としては決して精を出しているのではないということ……デス。ハイ!


 マァ~、オペレーター、一人の機械についている者にとっては、とにかく自分の生産を(成績を)せいいっぱい上げることだけを考えていたら、それが全体の成績を向上させる原動力ともなりますし、二人以上の場合はそれなりに、また違ったやり方があると思います。

それはそれ……として、

ただ人間関係の面において今の所、皆と離ればなれになっていて、それで自分本意な人間というふうに誤解をされているのです。


 マァ~、この事は以前から重々反省していることですし、逃げるようですが、今何を言われても、それで自分が変わるということはないのです。

常に僕はマイペースだし、来るべき時が来なければどうしようもないことなんです。

今沈んでいても、いつか必ず出てくることをここに確約しておきます!

この点においてはこれで終わり!




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