ある日の日記・65回
六十五回
一月六日
しばらくは宗教の本を読み尽くそうと思っていますので!――
このドラマを書くことは中止にします。
暇があった時にだけ書くようにします!――
君達も彼等も、自分が本気になって改心することを信じていないみたいですネッ!?
「あんなにヒネクレていたんじや、とても信仰したって直りっこないヨ!」
――などとバカにしている者や。
「仮面をかぶっているとか、遊んでいるとか言っていながら、本当はあれが地じゃないの!」
――などと、自分の過去の思い出話しを信じられないでいる者……
とにかく僕は、本当に変わりつつあるのだ!
イヤ!――変わらざるを得ない苦境のドン底に落ち込んでいるのだ。
だから続けるしかない……
今の所は……
「本当に、あの人に昔、陽気だった時や、気さくで面白かった時があったのかしら? 信じられないわねっ」
「あんなこと言って、またウチ達をひっかけようとしているんだワ」
……、とにかくウソ偽りなく、そのような頃もあったのだ!
君達が信じられないのも無理のないことだが。
だから似ても似つかないようだと言ったでわないか!
信じてくれなくても良いんですよ別に。
でも君達が言うように、やはり自分自身にとっても、昔の良き我が姿に立ち返ることが、今後の大きな課題でしょうねっ。
「いくら日記で言ったって、実際現実で行動に移しきれなければ何にもならないワ。信じてくれったってネエ~。自分の目で見ていない以上、信じられる訳ないじゃないの!」
「でも藤田さんは、それでも『自分を全て信じてくれる娘』というものを求めているのヨ!」
「しかしやっぱりネエ~。彼が本当にウチ達の眼前に姿を現すまで、悪口言い、批難して、イブリ出してやるワ。そしてそうやって本当に彼が日記で言っているような人だったら全てを信じるワ。それまで可哀想だけどネエ~。もう少し様子を見てみるしかないわネッ。」
「良い男だって皆が言うから見に行ったのに、大して良い男じゃないじゃないの!ガッカリしたワ」
「アッ!そうですか」
今日はチヨッと睡眠不足なこともあり、体調がすぐれなかったのです。しかしもうネェ~。どんなであっても、チッともモテやしませんし、そんなことはどうでもいいことなんです――ハイ!
マァ~、小説にするんだったらもう少し詳しく書かなければ面白味がないのですが、今は面倒臭くて要点だけを書くことで済ませときます――
――アァ~っ!!とうとう彼女も肉欲の誘惑に負けてしまったのか!。
「藤田さんはアンタのことを好きだったから、あんなことを書いてモタイさんから遠ざけようとしたのヨ」
「それならそう言えばいいじゃないの!チッとも言わないから分んなかったのヨ」
――イエイエ!
僕が彼女のことを好きで、あのように書いたと受けとめてもらっては困ります。
モタイさんの前では、
「もし俺の好きな娘がもて遊ばれるんなら腹も立つけど、今は俺もアイツに腹を立てているからネッ」
「そうだなぁ~。俺もあんまり好きじゃないんだヨ」
「少し生意気だヨ」
「ウン!いっちょう引っかけてやるか!それで奴がどんな女か分かるし、藤田にも教えてやるヨ」
「そうだネッ。オモシロそうだ!ウフフ」
僕が彼女のことに腹を立てているかどうかはハッキリしないし、好きかどうかも分からない。
しかしただ現実の会話においては、こういう会話を交わしているのです。
それとも知らないで、彼女は平然とウソぶいている。
「初めてだから、あの人のように上手な人から手ほどきされたいの!」
――どうゆうこっちゃ~!現代の女は貞操観念ちゅうもんがなかとじゃろかネェ~!
マッタク!目も当てられんバイ!
どうにでもシチクレ!勝手にセエ~!
――どうですか?
これでお分かりでしょうが、男の世界とはこのように醜いものなんですよ。
「ウチ、ガッカリしたわ。あの人だけは一般の男のようにイヤらしい心も(普通)欲もない人だと思っていたのに……。あの人を知るまでは本当に男というものを信じられないでいたの! でもあの人を知ってからは、今の世の中にもあのように素直で真面目な人もいるということを知って、ウチ心を入れかえたの! 自分も真面目にしていさえすれば、いつかきっとあのように素直で真面目な男性にめぐり会えるかもしれないと思ってネッ! だからこの頃は不思議と何の抵抗もなく、素直な心になって、女らしく振る舞えるようになったの! それなのに――」
「本当ね!あんなにヤアラしい顔していても、やっぱり普通の男達とかわりないのよ! 男ってイヤらしい生き物ネッ!」
「でも、高田さんは今やっているからそうだとしても、藤田さんの方はまだ分からないワ。口で言っているだけで実際にはそのようなことやっていないと思うのヨ。本当はやっぱり真面目な人なのヨ」
「でもやっぱり分かんないワ!何にも(女の味を)知らないで、あんなこと書けるかしら?」
「冗談じゃないよ!藤田さんは良い人だよ。あんな良い人どこ捜したっていないよ。藤田さんは悪者になろう、悪者になろうとしてばかりいるんだよ。本当はものすごく良い人なんだよ。俺が保証するよ!」
「そうかしら!。そうかもしれないわネッ。じや~、やっぱり藤田さんが前に言ったように、今の世の中、全て逆さまっていうことかしら。悪い者にかぎって良い人間のように思わせたがり、良い人にかぎって反対に自分を悪く見せよう見せようとしているのかもしれないわネッ!」
「するとやっぱり藤田さんは良い人なのかしら?……」
「そうよ! もし藤田さんが悪い人だったら、あんなこと書いて皆から嫌われるようなことしないと思うワ」
「やっぱり何かを教えたかったのヨ。自分を悪者にしてでもネッ」
「昨日の文章、途中で切れてたでしょう!? あの先、続きがあるのよ。文章を面白くしようと思って、先を書かないでいたのよ。それで様子をみて、最後に自分の本当の気持ちを書くつもりなのよ」
「そうねっ。まだ結論を出すのは早いわ」
「でもやっぱり、いくら口先だけのことだとわ言っても、イヤらしいわねっ。女の口説き方イロハだって……」
「高田さんから教わったらきっと恐ろしい人になるわ! 今まで女の味方だと思っていたのに、今度はウチ達の恐ろしい敵になるなんて、ひどい人ねえ~!」
「でもあんなに可愛い人にだったら、こっちから引っかけられたいわねっ!」
「ウフフ、そうねえ~」
――そりゃ~、当然なのだ! どこに……
日本中捜し歩いても、こがん良か男はおらんとぞ!
もし俺に、そのような悪しき邪心があったら、当の昔にワサン達を一網打尽にものにしと~くさい!
そいをやらんやったちゅうこつは、やはり俺は良か男で、ワイドン達の味方ちゅうこったい……、そうゆうこつ!
「藤田君は、たとえそんなこと言っていても――、そんなことを覚えても、女を引っかけることなんか出来やしないよ。真面目な男だよ」
「そうだね、男の俺でさえ惚れるくらいの良い男だよ」
――マァ~、そりゃ~ないか!
しかしやはり僕は良い男だと思いますよ。何せ、口ではあのように、まったく将来性ゼロ、家の一軒も建てきらない不甲斐ない男だと言っていても
実際は、今日、上役の人達が言ったように
仕事の成績はトップで、もうチャンと僕の〇役になる椅子は用意されているという。
将来性を一番買われている立場にあるんです。
本当に控え目で――




