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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・64回


六十四回



 とは言え、やはり生き方、求めているものが違うといっても、それでまったく切り離され、かかわらなくて良いということは言わない。

今の自分には、それを言動に移しきれないから大きなことは言えないが。


 とにかく同じ仏性を内に秘め、同じ仏から発した兄弟(姉妹)なるがゆえに、何か結ばれる融合点というものがあるはずだと思う。

それを今の僕はうまくのみ込めず、従って、皆と和気あいあいに付き合えないでいる。

これをのみ込むためにも――

 いくら仏のみ教えから離れて、煩悩と戦い、収穫が大だといっても、やはりせんじ詰めれば、我が内にひそむ仏性を見失って、肉欲の奴隷と化している人間のイヤらしい姿を見ているにすぎない。

その形は色々様々で、その一つ一つを知ることも大切なことだが、

しかしこんなに焦っていっぺんに知り尽くそうとしても、とてもおっつかない大業である。


 このことは仏門に入ってからも、決して求められないものでわないし――ネエッ。


 とにかくやり始めるしかないのだ!――


「「アア~ッ!」」


 いよいよ僕が加工課の連中から袋叩きにされる日は刻々と近づきつつある。

どうしてこうまで彼等から反発されるのか分からない。

とにかく自分としては、今現在の気持ちを必死になって整理したいが為に、胸につかえていることをありのまま腹一杯吐き出してきた。

いくら彼等のことを頭から批難して、自分の考えを肯定したいというつもりはなかったのだが

 どうも日頃交際を断ち、話をしないゆえに、自分の真心というものを理解してもらえないでいるのだ!

 その為に彼等は不必要に自分を毛嫌いし、それを下敷きとして自分の持てる批難力を精一杯発揮して、俺のことをののしり、バカにし、腹を立てている。


 こうなってみると、今さら謝っている余裕なんかないし――

彼等のなすがままに任せておこうと思う。


 この、世にも善良な人間を、果たして彼等が袋叩きにするのか?

 自分としても楽しみの1つだし、見甲斐がある。


 誰が……


 どのようなこじつけをして、自分を叩きのめすのか?見ものである。


 今までは彼等の言うことを……


どんな嘲笑も……


どんな批難も……


我慢して聞いてきた。

言いたいように言わせ、振る舞いたいように振る舞わせてきた。


 そのお陰で、彼等の腹の底を分析することが出来たし――

従って彼等に対抗できるだけの批判力も身に付いているのだ!

 誰が、どのような言葉をきっかけに僕に対してケンカをふっかけるのか分からない。


 しかしもう今の自分には、どのようなことを言われても負けないような、屁理屈を身に付けたのだ!

屁理屈を言って、屁理屈を言って、彼等と対抗してみよう――

それも1つにオモシロイ喜劇が生まれそうだからねっ!


「アァ~っ!」


どうしてこうなったのか!?


別に自分は去年一年間、仮面をかぶり――


わざと沈みきっていた訳ではない。

ただ自分の生き方としては、運命の流れに逆らわないようにしている。


 苦しい時には、そのまま苦しみに(ひた)り――

悲しい時には……

沈む時には……

楽しい時には……

嬉しい時には……

幸せ一杯の時には……

等、今現在の、自分の運命が求めているものに素直につき従っていく生き方をしている。


 従って去年は、ただ沈むべき時期だったから沈んでいただけのことであって――

決して自分で沈もうと思って沈んだ訳ではないのである。

その前の自由奔放さ、天真爛漫さ、気さくな奴、陽気な男、素直な自分という姿を知っている者からしてみれば――

それと比べて、去年の姿など似ても似つかないことに驚かされることだろう。

とても同じ人間のようには思えない……とネッ。


 本当に精一杯沈んできた。

人の嘲笑を浴び、コケにされ、バカにされ、あげくの果ては気違い呼ばわり……

何と、それを味わう前には予想もしなかったことだろう。


実に‥、実に過ぎてみれば――

楽しい良き思い出として変わりつつあるのだ。


もう今後は……


今年はそうはいかないゾ!

何でこのようにバカにされていることを、見てみぬふりしていられようか……

今年こそ、今度は彼等を反対に、嘲り笑い、コケにする番なのだ!


「「アッ、トッ、トッ」」


これは秘密の秘密にしておきましょうねっ!

今後の展開の準備が刻々と固まりつつある、今現在の自分の腹の底は、今後の逆転KO劇の、勝利の喜びを想像して、その喜びのアワが


「プカプカ、プカプカ」


煮えたぎっているのだ!


 とにかく、こうご期待を!



「「イヤ~!」


「「ビックらこいた!」


 高田先輩があれほど自分の心を魅了する器を持ちあわせている人だとは予想もしてなかった!

まったく偶然の偶然。


今後の自分の活躍に、一枚も二枚も手助けし、かんでくれるような気がする。


彼から女の扱い方、イロハより、その末端の問題事が起こり、その処理をするやり方まで゛一部始終教授してもらおうと思っています。



たとえ教え込む人が良すぎても、自分のようにウブ(ドジ)で要領の悪い者が、それをどれだけ吸収して、君達を(あざむ)き、引っかけられる力をつけられるかは分かりませんが――


とにかく君達(女性)の扱い方云々については全て彼からご教授してもらおうと思っています。


この点も今後のささやかな楽しみですネッ!

とにかく当分は彼につき従って行こうと思っています。

彼もあれほど力を持っていて、どうして自分には後輩がついてこないのだろうと悩んでいる時ですから――


別に僕のような未熟者がついていったって、チッとも彼を満足させることには至らないとは思いますが――


 しかし一人もいないより自分のような者でもついていたら、少しは彼のコンプレックスを解消する役に立つのではないかと思います。


ですから……、孤立している者どうし、これから手を組んで何やらオッ始めようかと思っています。

君達も良いコンビだと思うでしよう?


僕も思うんです!


加工課の親分さんヨ!

この二人が手を組んだら、今後の親分の座もいつまで保てるかどうか?危ぶまれてきそうですネッ!


 そりゃないか!


 まだまだ彼には到底かないっこありませんし、とにかく当分は、その為の布石をしくことに没頭しようと思っています。


いずれ去年吐いた侮辱のお礼参りをさせてもらう為にもネッ!?


これは冗談です!

ただ力をつける為に、彼のようにとてもおっつかないほどの力を持っている人に反発して、自己を鍛えようという魂胆(こんたん)なだけです


ハイ!




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