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それ!今宵の宿はココに決めた!なのじゃ♪

やや短いです。


すいません。


「で、打ち明け話と云うのはなんだ?」


 夕闇に包まれた中山道の割と大きな宿場町〖蕨宿〗で、お世辞にも大店(おおたな)とは云えそうもない〖まんまる屋〗の軒先に、自然な形で侍女の雛と並んで縁台に腰かけた兵庫助は、背を伸ばし覗き込むような姿勢で以て自分よりも一回り歳若な女子を見詰める。


「しっ、御静かに。参られましたよ」

「ん?飯盛り女でも誘いに参ったのか?」

「バカ!違いますよ!」



 ガタンッ!!



「ぬしら、左様なところでのんびりしておるでない!飯じゃ!宿が取れたのじゃ!喜べ♪」


 満面がこぼれる様な笑みを浮かべた飯井槻さまが、なぜだか白髪の爺様の首根っこを引っ掴み暖簾にバンと力一杯ぶつかって、引っ掛け棒から落としながら儂らに向かい捲し立ててきたのだから堪らない。


「厄介さんが参られたな」

「はい。参られました。厄介なのが」


 はあ…。


 儂らはお互い目を合わせ肩をドタンと落とし、件の話はあとに回すことにして、取り敢えずはノリに乗っている飯井槻さまの相手をするためヤレヤレと立ち上がった。


「で、宿と飯の確保はいいとして飯井槻さまよ、その御老体は誰なのだ」

「うん?この薪にしたらよく燃えそうな爺様のことか?これはココの主じゃ♪」

「ちょっと嬢ちゃん、いいかげん放してくれんかのう。わしの首が絞まる、絞まるから…の…う」

「何やらその宿の主人とかいう爺様が、顔を白黒させてるんだが?」

「大丈夫じゃ♪些細な事柄を気にするでない♪」

「そんな。。息が…頭に血が…。それにアンタ、わしはまだ泊まれるとは云って…。。あ、ああ。あそこにいるのは一昨年死んだ婆さん。。おまえ生きておったのか、わしも今からそっちに行くよぉ……」

「爺さん!その〝行く〟は〝逝く〟の方だから!気を確かに!しっかりしろ!」

「ああん婆さん。年寄りになっても逝くのが早いのう。。うしししし♪」

「逝ってよし! で、なんだったかな飯井槻さまよ。飯の話だったかな。献立はなんだ?」


 顔が黄土色になった爺様は、向こう岸の方がとっても御似合いで住みやすそうなので、取り敢えず放っておくことにした兵庫助は、飯井槻さまに今宵の飯の内容を確かめる。


 めっちゃ腹減ってんだから仕方ないよね。


「全くもう!根っからのバカですかあなた方は」


 いや、バカなのは逝くから!オラも婆さんと逝くから!って、絶賛三途の川を渡河中の爺様と、それに笑顔で引導を渡し中の飯井槻さまなんだが?ねえ、どうして儂を睨んでんの鶵ちゃん?


 儂の話はどうでもいいとばかりにそっぽを向かれた侍女の雛は、よいしょっと慣れた手つきで絶命真直の爺様を飯井槻さまから引っぺがし、他の一行の有象無象の連中を手招きして呼び寄せ、サッサと宿の中へと入って行った。


 あれ?なんか儂、さりげなく置き去りにされてない?


 ホー。ホー。と鳴くフクロウの囁きと、夜も更けたというのに盛んに強引な客引きを敢行する飯盛り女の群れの、如何にも元気で淫靡な誘い声を聞きながら、しばらくしてソレに気付いた兵庫助は、うっ!と慌てて宿屋の直された暖簾をくぐったのだった。





 この当時、京に向かう街道の一つである中山道には六十三次あった。


 その江戸から数えて二番目の宿場町に行き着いた飯井槻さまと愉快な仲間たちはココ、まんまる屋に半ば無理やりに今宵逗留する運びとなった。


ここまで読んでいただき感謝に堪えません♪


でわ!またぁ~♪

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