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僕のブレスレットの中が最強だったのですが  作者: Estella
第一章 伝説の始発点//in人間界
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ろっかいめ 限界を超えた訓練の日々かな?「4」襲撃

「うえぇ!?」


 朝、起きたルネックスは残酷な情景を目の当たりにした。

 魔物が村を襲っている。そして先頭ではロゼスが戦っている。


 こういうのが初めてだったルネックスはどうしたらいいか分からなく、とりあえずフェンラリアに助けを求めることにした。

 【入れて】と願い、ブレスレッドに入る。


「フェンラリア! 助けて!」


「るねっくす!? どうしたの?」


 創作世界クリエイトスペースに入ったルネックスはフェンラリアにそういう。

 いきなりのことで驚いたフェンラリアは戸惑う。


「魔物が、村を襲ってる! 僕はどうすればいい?」


「……しかたないから、ぜんりょくでたたかおう! けどぞくせいはみせちゃだめ、しんたいきょうかだけがいちばんいいほうほう」


「わかった! 今すぐ行ってくる!!」


 フェンラリアからアドバイスをもらったルネックスは急いでブレスレッドから出た。

 残されたフェンラリアは寂しそうにルネックスの去った場所を見つめていた。今度はいつまでもと言うわけではなく、すぐにどこかへ消え去ってしまった。


……

。。。



 鞘からあの幻の短剣を取り出す。部屋が一度輝き、それが収まるとルネックスは真顔でドアを開ける。

 そのとたん熱風が彼を襲い、ルネックスはドアに打ち付けられたが、鍛えた体力を盾にしてすぐに起きあがり、敵のいる場所を見て……固まった。


「なぜ……ドラゴンの種族が此処にいるんだ!!!」


 ドラゴンに対する知識はそれほどはない。しかしルネックスの何倍もある大きさの赤い羽、膨大な体、炎を吹き、その魔力の強さ。それで認知した。

 種族の名前はそれほど詳しくは分からない。しかしこのドラゴンが普通の強さではないことがわかる。


「ルネックス! お前は帰れ!」


「ロゼス……」


 剣を握った満身創痍のロゼスがルネックスに向かって叫ぶ。なにやらかっこよく言っているが、その真意は「お前は邪魔だから来るな」ということに過ぎない。

 そしてルネックスがそれに応じる必要はない。

 短剣を手にしたまま、ドラゴンに向かって歩いていく。

 端で隠れていたフレアルはそれを見て焦り向かおうとしたものの村人たちに取り押さえられる。


「ロゼス……僕は手伝いたいだけだ」


「んなっ、待て、ルネックス!? 貴様ごときがああああ!!」


 ロゼス達に見えないようにルネックスはドラゴンの後ろに回り込み、たっぷりと身体強化をしてから肘でドラゴンの柔らかい部位を突き刺す。

 一見簡単そうに見えるが……ドラゴンの心臓がある部位は凹み、「ズン」と音を立てて倒れた。


(さて、けがをしたように見せかけないと)


 しかしドラゴンはそんなに簡単ではなかった。真意で言うと、このドラゴンは簡単ではなかった。

 即立ち上がり、ルネックスをにらんだ。

 ロゼス達とフレアルはそれを驚きに満ちた表情で見つめている。


(やばい、本当にやばい!!!)


 恐怖を感じたルネックスはもう一度ドラゴンの後ろに回り込み、短剣を心臓がある部位に向けて横線を引く。銀の糸を引いた短剣はドラゴンの心臓に刺さ……


『ニンゲンよ……』


「わあああああああ!?」


 ドラゴンは短剣を避け、なぜかルネックスに向けてしゃべりだした。

 ドラゴンが喋れることをルネックスは初めて知ったのであった。

 ルネックスは短剣を鞘の中に仕舞い、絶叫を上げながらもなんとか姿勢を整えてドラゴンと向き合った。


『オマエ……只者ではないな???』


「僕はただの人間ですよ、こんな僕より彼らの方がよほど強いですからね」


 そんな謙虚なルネックスの言葉は、ドラゴンの心をも揺り動かした。

 ロゼスは嫌悪そうにルネックスを見つめている。フレアルは完全に惚れている。


『その謙虚な心……いろんな意味でやはり只者ではない、一騎打ちで勝負をしよう』


「それはまた、色んな意味で助かりますね」


 ドラゴンがその太く大きな手を上げると、ルネックスとそのドラゴンは別の空間に消え去った。

 やっと体力をとりもどしたロゼスは彼が消えた場所に向かって走るが、そこには何も残っておらず、結局村人たちが駆けつけたときロゼスが一番近くにいたため、ロゼスの手柄となった。

 ただ、フレアルの心と目にはルネックスの戦闘しか映っていなかった。そして、心臓が千切れるくらいに心配し、そして倒れてしまったのであった。


……

。。。



「へえ、こんな空間出せるんですね」


『我をなめるでない、これくらいは簡単だ』


 簡単だ、とは言っているが空間を作り出すのは所為次元を捻じ曲げ無理やり穴をあけることでもある。それにどれだけの魔力を使うかは計り知れない。

 ドラゴンは神族系統な故に、きっとできるのだろう。

 フェンラリアの力をもってしてもきっと一、二回くらいしかできない業だろう。


「僕が本当に貴方に勝てると思うのです?」


『いや、勝てるとは思っておらん。しかし我は素晴らしい戦いがしたいのだ』


「ドラゴンはそんな好戦的だったという覚えはありませんね」


『我は奴隷じゃ。まあ奴隷と言うより契約なのだが』


「ええええぇぇえっぇえええ!?」


 ドラゴンを奴隷にするほどのご主人様はどれほど強いのだろうか?

 ルネックスには考えつかなかった。

 契約というものはよくわからなかったが、とりあえず奴隷と言う考え方をしても違いはしないようだ。


『我のご主人様が誰かはいずれわかるはずだ、そのご主人様が我に性格というものをくれたのだ』


「なるほど、歴代のドラゴンたちはみなただ無限ループをしていただけなのですね」


 ルネックスは意味を理解することができた。

 つまり彼らは最初から感情がなく、神に決められた行動をして死んでまた生まれ変わるという無限ループをしてきたということなのだろう。

 その解釈を聞いたドラゴンは「うむ」と頷き、間違っていないことを証明した。


「そうですか……そのご主人様がどうして貴方をこんな小さな村に放り込むのです?」


『いいところに目を付けたものだな、この村に強い邪気のオーラを感じたのだよ』


「ちなみに戦ってみて、誰からですか?」


『……これは忠告だが、ロゼスと言うヤツ、気を付けるのだ、いずれ本気で敵となる』


 もともと敵なのだが、という考えは飲み込む。


「で、なぜ村を半壊させたのです?」


『あー、そ、それは……少し力を出したつもりなのだが、強すぎてな」


「つまり扱えてなかったのですか?」


『いや、人間界の基準が分からんのだ。我ら竜界は知名度が下がり続けているから人間界に行かんのだ……』


「ほぉ……」


 ルネックスのその返事に、ドラゴンはハッと何かに気付き、話すことを止めた。

 ドラゴンは自分が話しすぎたことを承知し、戦いに移るためにすっとその姿を消した。ルネックスが警戒しようと思ったその時には遅く、彼はすでに後ろに回り込んでいた。

 すばやく短剣を後ろに向かって銀の線を引く。

 ルネックスは、短剣の力を何も考えずに全力で引き出す。今のドラゴンの言ったことも考え、彼は冒険者になりたいという決意をもっと固めた。そのためにも。


「僕は色んな意味で負けるわけには行かないのです、帰らなければ、いけないんです!」


 話しながら短剣を振り回すのには体力がいるのだが、あいにくルネックスの体力は鍛え上げられている。しかし彼も人間の範疇は超えていない。

 せいぜい腕が立つ冒険者程の実力だろう。しかしこの短剣は違う。

 当たってもいないのに、ルネックスが振るたびにドラゴンにはダメージが与えられた。


『精神の……力か……少年よ! それを使い続けては危険だ! まだ使いこなせていないだろう!?』


 ドラゴンがその短剣のからくりを見抜き、ルネックスに忠告の声をかけるがもう遅かった。


 ブレスレッドの中でそれを察知したフェンラリアは、ルネックスに向かって悲鳴ともなる絶叫を上げ続けた。しかしルネックスは今、狂っている状態である。

 この短剣は普通の場合でもとんでもない実力を放つ。しかし怒りの状態になると人はなにも構わず力を放出してしまうくせがある。

 今回のルネックスは帰りたい一心でその事態が起きたのだろう。

 そしてその短剣は怒りをそのまま力にする代わりに、使用者の生命力を奪う。


「僕は……貴方に負けるわけにはいきません!!」


『しかしその短剣は……!?』


「帰りたい、帰りたいんです、冒険者に、なりに行くのです!」


 魔力の使い方はそれほどわからないが、強力な魔力。それを全力で放出し、適当に振り回し続ける。

 それは相当な生命力を消費しているようで、ルネックスはすでに肩で息をしている。

 と、ここでルネックスのブレスレッドが微かに揺れた。


「―――――――――――――――す!――――――――――――るねっくす!」


 そこから懸命に叫んでいたフェンラリアの声が、微かながら届いた。

 ドラゴンの体力もすでに大量に消耗しているようだ。

 これ以上攻撃して殺してしまえば、竜族を敵に回してしまうのではないか?


「僕……は――――――――――」


 それだけ言うとルネックスは短剣を落とし、そのまま倒れて気絶してしまった。

 満身創痍のドラゴンは体を小さくし、擬人化する。そしてそのまま少し高度なバージョンの転移を使用しルネックスの家に彼を送り込む。

 ルネックスのブレスレッドを見ると、男の姿になったドラゴンはそれに施術をする。


「リアス様!!」


 フェンラリアはブレスレッドから飛び出す。人間でいうと幼女くらいの身長になった彼女はリアスと呼ばれたドラゴンを見つめ、一礼をする。


「フェンラリア……彼は、聖神に気に入られているようだ」


「そんな! そんなのって……」


 フェンラリアの知る限り、聖神に気に入られた者は生贄となり、最後には破滅してしまう。


「しかし幸運なことに聖神は彼を見放したようだ、これからは我が彼の主となる」


「ディステシアさまの加担もあります」


「そうか、それは頼もしいな、ディステシアは強いと我が認めたからな」


 リアスが何者なのか、それはまだ知ることはない。

 しかし、フェンラリアが「ただの」大精霊ではないこと。ドラゴンが「平凡な」ドラゴンではないこと。ディステシアが「本物の」ひとではないこと。

 それは分かるだろう。


 男、もといリアスがルネックスを愛おしそうに見つめると。


「さあ我は行かねばならない。我の主、創造神クリエイターエンジェルが呼んでいるようだ」


「ふふ……るねっくすが起きないうちに行ってください」


 最後にリアスは微笑むと、ふっと消えてしまった。フェンラリアはそれと共にブレスレッドに吸い込まれ、ルネックスの意識が戻った。

 このリアスが何者なのか、まだ明かすときは来ていないようだ。


「うぐっ……」


 唸りながら、ルネックスは懸命に起き上がろうとする。

 その寸前に、彼はブレスレッドに吸い込まれた。ルネックスの茶色のクルクルパーマという特徴のある髪は、銀色の長髪へと姿を変えた。


 もちろん、フェンラリア以上の力を持つ者のみにしか見えないのだが。


……

。。。


『んー見放したんじゃなくて幸運を与えたんだけどなあ。でもまあ喰われて欲しいかなー』


 真っ白な部屋で、女性が口をゆがめた。

いきなり謎回とか私はバカか。

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