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僕のブレスレットの中が最強だったのですが  作者: Estella
第一章 伝説の始発点//in人間界
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ごかいめ♪ 限界を超えた訓練の日々かな?「3」鑑定

 地上にて休憩したのは一週間。

 丸っきり休憩と言うわけでもなく、ロゼス達に色々とやられながらも、一週間を過ごしていた。

 実はそのロゼス達のいじめがルネックスの体力づくりになっていたのは彼本人しか知らない。


 きっとフェンラリアももう待ちくたびれていると想定したルネックスはブレスレッドに入ることにした。

 体力も十分に回復している、もう訓練をしても問題はない。

 実戦の時、思ったより体力が少なく、すぐに倒れてしまったのが残念だった点だろう。

 ここ一週間は、ジョギングをしたりで体力を作ってきた。

 フェンラリアに、失望されないために―――――――――――――――。


……

。。。



「フェンラリア、待った?」


「るねっくす! もちろんまったよ、淋しかったんだよ?」


 ブレスレッドに入ると、フェンラリアが何やら作業をしていた。

 彼女がルネックスを見つけると、即使っていたものを消し、目を輝かせてルネックスに向かっていく。

 ルネックスは少し怪しんだものの、単純な十三歳には何も分からないため放っておいた。


「ごめんね、しばらく戦闘的な訓練は避けようかな」


「うん、それがイチバンだよ。きょうはあたしがちからをつかうばんだよ」


「ええ?! なにをするの?」


「ほら、スライムたおしたでしょ? すきる、あがってるかもしれないから」


 つまり、もう一度鑑定を行うということだ。

 確かに、アルティディアの仕組みは魔物を倒すと経験値が入り、体力が上がり、魔力が上がり、レベルが上がる。

 レベルが一番上げやすく、次に体力、魔力だ。その中でもとても稀にスキルを貰ったりする。レベルが高い魔物を倒すと、属性を貰えることもある。

 ただその確率は低いという言葉では表せないほど低い。

 しかしルネックスの場合体力だけ上がってもそれは大いなる得となる。

 前の実戦はただ魔力の掌握ができなかっただけで、本当はもっと撃てたはずだ。

 しかしその膨大な魔力を十三歳の少年が扱えるはずもなく、微妙な扱いで体力を必要以上に消費してしまったのだ。

 ちなみに運は上昇する者や下がる者がいてよくわからないらしい。


「あぁ、そうだね。少しでも上がってくれているといいけど……」


「あんなにたおしたんだから、あがってるでしょ」


「いやでも、基準が分からない」


「スライムのばあいいったい1経験値があがるとおもえばいいよ」


 基準とは、全く戦闘の経験をしてこなかったルネックスにとって理解するのが至難の業だ。 

 前回の実戦も、実は初めての戦いというか、魔術を使って攻撃したのすら初めてである。

 スキルがない、属性もないと思い込んでいたのだから。


「それと、スキルもぞくせいもないってことはぜったいありえないから、おぼえておいて」


「肝に銘じます」


「じゃ、【ステータス鑑定】!」


 少なくともこの世界アルティディアでは、スキルがない者はいるが、属性がない者は絶対に居ない。そこはロゼスの知識不足だ。

 そしてルネックスのこのステータスで、スキルがないと言われた方がおかしいのである。


 目の前に文字が浮かび上がる。

 ちなみにこれは指定された人物のみがみられるようになっている。



 ルネックス・アレキ


 レベル:12

 魔力:2200

 体力:6800

 運:8100

 属性「水、風、???、???」未覚醒

 称号「魔物殺戮家、???、???、???」未覚醒

 スキル「魔眼LV1、射線LV2、ステータス偽造LV1、気配消しlv1、???、???、???、???、???」未覚醒


「……」


「……」


 これは、黙るしかない。

 稀すぎる属性まで増えているし、ツッコミどころが多すぎる。スライムを倒しただけなのに。数は半端なかったものの、ここまで上がるというのは聞いたことがない。

 あと称号がとても気になる。数十体のスライムだけだ。冒険者ならば何百体も殺しているようなものなのに、あれだけで「魔物殺戮者」とまでの称号がつくとは。


「んー……これはなんともいいようがないね」


「なんて言うか、運のおかげじゃないのかな」


 もう、呆れる以外することがない。

 上がりも下がりも気まぐれな運までわずかながら上がっている。

 本当にこのステータスは異常だ。

 フェンラリアは決意を固めたように、ルネックスに向かって微笑んだ。


「いっかい精霊界にいこうね?」


「えぇ!? なんでそんな神聖な場所に!」


「そんないじょうなステータスみせられて、だまっていられるもんですか!」


 精霊界とは神の住む神界よりも一個下に存在するものだ。精霊が住み、時には人間界へ下りたりと神界よりは平和なのだが、神聖な場所なことに変わりはない。

 ルネックスは飛び上がり、どうしようか迷っている。

 確かにこのステータスははっきり言って危険だ。鑑定スキルを持つ者は、レベルが低くても少なくともステータス偽造LV1に妨げられるほど甘くはない。

 しかし、ルネックスは防いでしまっているではないか。前代未聞と言うわけではないが、十三歳でこれはもう先が計り知れない。


「まえはいってなかったけど、るねっくすのステータス偽造がロゼスのかんていLV50にかてるとはおもってないの。まえはるねっくすをおちつかせるために言ったんだけど、さすがにこうなったらだまっているわけには行かなくて」


「えぇ!? ロゼスって50だったの!?」


「うん、あそびでなんじゅっかいもなんびゃっかいもるねっくすのかんていしてた」


「それ良い事じゃないし……」


 絶対鑑定して卑下していた、とルネックスのその仮定をフェンラリアは認めた。

 スキルは物によって上限レベルというのがあり、鑑定の場合は100まである。限界突破でもしていない限り、そのレベルを超えることはない。


「とりあえず、いこう!!」


 フェンラリアが指を鳴らすと、ルネックスの視界は暗転した。


……

。。。



 地面は雲、空は宇宙、上には城、右には花畑、左には精霊たち。

 そんな豪華な空間の中に、フェンラリアとルネックスは落ちていった。


「みんなーひさしぶりー、管理神サマいるー?」


「あ! ふぇんらりあさま! えっと……精霊城にいるはずです」


 ルネックスの襟を持って引きずりながら、フェンラリアは傍にいた精霊にそう問う。

 精霊はルネックスのことを気にしてはいないようで、フェンラリアの問いに答えるのみだった。驚きの表情すら微塵も見せない。

 どうやら気に入った人間を精霊界にて遊びに来させるのは稀なことではないらしい。


「あのーフェンラリア? 管理神って?」


「ああ、あたしたちせいれいをかんりしてくれるかみさまだよ、おおむかしに神界からおりてきてくださったの!」


「へえ、ありがたいんだね」


「もちろん! あたしは管理神サマだいすきだよ!」


 そう言いながら、フェンラリアはルネックスを城の中に引きずっていく。

 城の中は上位精霊や大精霊しか入れない神聖な場であり、ルネックスは動揺しすぎてもうフェンラリアの引きずりから抗う気力すらない。


「あー! ディステシアさまー!」


 ブオン、という音を立てながらフェンラリアはルネックスの体を一回転させ、立たせた。ルネックスはその重圧を膝を曲げることでしっかりと受け止め、そのまま土下座をした。

 もちろん、ディステシアと呼ばれた女性の管理者のために。


「フェンラリアか、その者は……?」


 来たところを振り返ると、赤い柱が何本も経っており、何だか神社みたいだ。

 フェンラリアの了承を得て顔を上げると、金の王座に座った管理神ディステシアが眼を開けた。

 すべてを貫くような紅い瞳、素朴でながらも美しい雰囲気を出す白い麻のワンピース。そんな彼女に見つめられたルネックスは「うっ」と声を上げ見とれていた。

 その隙にフェンラリアは王座に上がる許可を得てディステシアに今までのことを報告する。


「ほう、と言うことは貴様がルネックスか」


「へ。……は、っはい!! ルネックスです! 十三歳冒険者になりたいです!」


 何故か勢い余って自己紹介をしてしまうルネックスにディステシアとフェンラリアは思わず吹き出してしまう。

 もちろんディステシアは薄く笑っているだけなのだがあれでも吹き出しているつもりらしい。

 ルネックスは顔を赤らめ、ははは、と情けなく笑った。


「冒険者志望か……私の味方でいられるか?」


「えっと……裏切ることはないと思います」


 ディステシアのその言葉の意味を十分に理解することが出来なかったルネックスは首をかしげながらも理解できる範囲内で応える。

 その言葉を聞いたディステシアは満足そうに、フェンラリアは胸をなでおろしていた。


「ならばよい、これから毎日此処へ来い。私が訓練をしてやろう。お前が冒険者になれる年になったら、もうカンペキになっていることを保証しよう」


「えぇ!? 良いんですか?」


「当たり前だ、ただ、私への協力を約束しろ、条件付きでももちろんいい」


「えっと……分かりました。冒険者になるまで、ではなく、それから先も会ってもいいですか?」


「む、もちろんだ。了承ということだな?」


 ルネックスは頷くことで了承することを意味した。

 ディステシアは表情には出ないものの、オーラが輝いており、非常にうれしそうだ。

 それは当たり前の反応だろう、強者に協力をしてもらえるのだ。

 フェンラリアも目が輝いており、反対の意志はなかった。ルネックスは歓迎されたことがうれしくなり、思わずはしゃいでしまった。


「ありがとうございます! ディステシアさま!」


「せいぜい魔族の敵にはなるなよ、今はな」


「いつか魔王討伐でもしたいんですけどね」


「うむ、それまで敵になるなと言うことだ、魔王討伐はいつか私を先頭にするつもりだ」


 まさかの魔王討伐への道も開いたとは、このブレスレッドは神である。

 ルネックスは気のきいたセリフを出すことはできなかったが、うれし泣きをすることで感謝の気持ちが此処にいる全員に伝わった。


「じゃあディステシアさま、あたしたちはもどりますので!」


「ああ、明日また来いよ」


「はい、分かりました! よろしくお願いしますね!」


……

。。。



 ブレスレッドから出た後、ルネックスはベッドに座って呆けていた。今日一日のできごとが信じられなかったのだ。

 最初から話をまとめよう。

 ブレスレッドを見つけて、大精霊に会って、実戦をして。

 これだけでも十分なのに、まさかの精霊界へ行って神に会ってしまうとは。


「これ、夢なら覚めないで欲しいかな……」


 思ったより明日を楽しみにしている自分に苦笑いし、ルネックスは眠りに着こうと思ったのだが。


(ぜんっぜん眠れない!!)


 そしてルネックスは徹夜をして武器を振るい、明日を待つのだった。

 四時くらいになって眠気がが襲い、ベッドに倒れたルネックスは少し寝過ごしてしまうのだった。


 予想外の自分のガキさに、ルネックスは自分のことを知れたと実感した。

まさかの神まで出現ですか……作者も想定外です(゜-゜)

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