大根
私の生まれは暖かい土の中だった。
暖かな土に包まれ、冷たいみずを飲み成長していった
生きている途中で、私を脅かすものがいくらか訪れた
そのたびに近しい物が犠牲になり生きてきた。
私は土の力を奪って生きてきた。
私は今日もここで生きている。
私の生まれは湿った綿の上だった。
硬いガラスと湿った綿に包まれて生きてきた。
生まれてからこれまで何不自由なく、伸び伸び過ごしてきた。
私は与えられた栄養を飲んで生きてきた。
私は今日もここで過している。
私は幾らか時間を過した。
そして今日花を咲かせた。
次の世代の種を紡ぎだす大事な花だ。
雨が降ろうと、嵐がこようと取らせはしない。
私は幾らか時間を過した。
そして今日冷たい風の中にさらされ、凍えるような冷たい水にさらされた。
私は他の私と並べられ暗いとこに閉じ込められた。
種がうまれた、花を枯らし、いくつもの時間をかけようやくできた。
さぁ、次なる世代の子を産もう、これから健やかに過せると願いながら。
明るい場所に出た、しばらくぶりの光だ。
でもここは冷たい風が吹き、栄養もない。
ここはどこだろう・・・。
僕の生まれは土の中だった、周りにはたくさんの兄弟達がいる。
僕も早く大きくならなきゃ。
堅い石が私の体を削っている、私の体に食い込んできた。
あぁ、もう花を咲かせられない、体が動かない
私はどうなってしまったんだろう・・・