表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
となりの家に関れば。(冬)  作者: ゆうまに
3/3

スーパーにて 1




「今日はいつもより寒いな……」


手を摩りながら、ストーブの前でしゃがみ込む。

もう2月も半ばだというのに、一向に暖かくなろうとしないこの頃。

むしろ寒くなったと感じる。


今日はある物を買いにスーパーまで行かなければならない。



それを買うのに問題が一つある。


まず、スーパーまで無事に辿り着けるか、だ。


今日のご近所さんの機嫌によるかもしれないが……。

今まで邪魔をされなかった事などない。

今日邪魔をされないという保障すらできない状況だ。



「さて、と……」


手袋とマフラーを忘れずに装着し、憂鬱になりながらも自宅を出た。



頬に突き刺さるような寒さを感じる。


道路は雪解け水が水溜りと化し、あたりは水浸しだ。


「これだから都会は……」


田舎なら、雪は溶けずに残る。

しかし都会では田舎より気温や道路の温度が高いせいか、雪がはやく溶ける。

しかもこんな寒さの中だ、水溜りの水が冷やされて足元が冷える。


「……ったく、長靴でも履いてこればよかったのか……ってあれ?」


愚痴を漏らしながら歩き続けていると、すんなりとスーパーに着いてしまった。

いや、いい事なんだけども。


あの、隣家に何もされなかったのが不思議でならなかった。


「ま、まあ……いいか……」


もしかしたら寝てたのかもしれない、だったらラッキーだ。

むしろこれからもそうであって欲しい。

というか、頼む。お願いします。


スーパーの入り口で一人佇む男、何やら両手を合わせお辞儀している。


「……ん?」


背後に人影を感じ、そこを退こうと身を引く。

同時に顔をそちらに向けると、そこには若い女性が突っ立っていた。

長い黒髪。なぜか背筋に寒気を感じるその黒い瞳。

俺は自然と、その人を凝視していた。


女性も、俺から目を離そうとしない。


二人の間に、変な空気が漂いつつあった。


「あの、何か……?」


俺はかろうじて動じず、そのままの姿勢で女性に尋ねた。

女性はうんともすんとも言わず、俺から目を離さない。


「…………」


なんなんだこの人は?


何か嫌な予感がする。直感だが……感じる。

この人はやばい。


俺は女性と反対方向ーースーパーの中へと歩き始めた。

その女性から逃げるようにして。


その刹那。


「……グフッ‼︎」


背中に何かが刺さった。

貫通はしていないようだが……痛みが並じゃない。


そこで始めて俺は気づく。


そこに居た女性の髪が……あの隣家の住人の髪に似ていることを。

その女性は不敵な笑みを浮かべて、嘲笑うように俺を見ている。


やられた……!


まさかここまで来て、俺の邪魔をするだなんて思いもつかなかった。


背中に感じる痛みが段々と引いて行く一方、俺は急激に瞼が重くなるのを感じていた。


「お前……一体何を……」


ついに俺は、意識を保つことができなくなり、気絶してしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ