水道工事
「あれ、おっかしいな……」
今朝起きてみると、台所の蛇口から水が出なくなっていて、どうやらどこかが破損しているらしい。
こんなクッソ寒い日だから、凍結してしまったのかもしれない。
どっちにせよ、このままでは困る。
「水道工事なら、なんとかなるかもしれないな」
咄嗟に水道屋さんへ電話をかけ、「30分後に向かいます」というお答えに安心した僕は、リビングに置いてあるテレビの電源を点け、ソファでしばし横になった。
わざわざ来てくれるなんて、近頃の水道屋さんはずいぶん便利になったもんだ。
そう思いながら、僕は、ただただ時間が流れるのを待った。
それからしばらくして、そろそろ来る頃だろうと思い、起き上がったが……
ガシャァアアン!!
「なっなんだ!?」
突然、外から大きな物音がした。
僕はすぐ玄関を出て、音のなった方へ走った。
が、すぐに事態は飲み込めた。
大きく『出張サービス』と書かれたトラックが、隣の家の前で無残にも横転している。
間違いない、これはアイツの仕業だ。
僕は、キッと加害者が住む家の方を睨んだ。
(水道屋は、何も悪くないというのに……!!)
なぜこうまでして、アイツは僕を邪魔にするのか。
とても頭に血が上った僕は、何か言ってやろうとその家のインターホンに手を伸ばした。
が、寸でそれを押しとどめる。
(ここで押せば、またあのアンテナのような攻撃がくるかもしれん)
だが、僕はいつもと違っていた。
関係のない人を巻きこんで、車を横転させ、運転手は……運転手さんは……!!
「ひぃやぁぁああ!!」
なんとか生き延びたみたいだが、ものすごい速さで遠くへ走って行った。
こんな事があって許されるものか!
攻撃なんざ怖くないぞ!
いい加減、これ以上の厄介は起こさせない!
僕はインターホンを押した。
ピンポーン と、鳴って数秒だろうか、
僕はその時すでに気絶していた。
いや、正確には、インターホンのボタンを押した瞬間、電流が伝わってきて、耐えきれず気絶した。
目を覚ましたのは冷たいコンクリートの上、そして最初に目に映ったのは……
「君、そこで何してるの? もしかして、酔っ払い?」
警察でした。