表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
となりの家に関れば。(冬)  作者: ゆうまに
1/3

回覧板



僕はどこにでも居る、ただの大学生。

地方に来て一人暮らししながら大学へ通っている。


僕の家のお隣さんは、とても面白い人です。

あ、いえ。これは嘘です。


ほんとうは、微塵も面白くありません。はい。




「……また来たよ、コレ」


寝起きドッキリか何かなのか、それとも、天のイタズラなのか。

僕が最も嫌いなモノ……は、納豆だが、その次に嫌いなモノは『回覧板』だ。


ただ隣の家に回せばいいもんじゃない。

こっちには命がけなんだ。


「今日が命日でありませんように」


回覧板を手に、僕は外へと飛び出した。


辺りはどうか……、いや、何ともないな。至って普通だ。

問題は……


「んん〜」


唸り声を垂らしながら、僕の目はただ一軒の家を睨んでいる。

おぞましい。この家は、とてもおぞましい。


恐る恐る、ポストへ足を運ぶ……


回覧板の、端っこがポストに入るのを目で確認したので、勢いつけて一気に放り込んだ。


ーーそれが仇となった。


回覧板がポストに入りきった後、目に止まらぬ速さで玄関が開き中からどでかい「こぶし」が飛びててきて、僕の顔面にクリーンヒットさせた。


「ブフォッ!!」


背後の電柱に叩きつけられ、軽い脳震盪(のうしんとう)を起こした。


これは夢ではない。


頭に響く痛みが、そう語っていた。


「いってぇ……」


どんな仕組みなんだ一体。

というか、何で僕が居ると分かったんだ。


そこで、「……はっ!」と僕は気づいた。


「ポスト、か!!」


一見、何の変哲もなく見えるポストに、何かしらの仕掛けが施されていて、僕が回覧板を入れたことによってあの装置が起動したのか!


くそっ! やられた!


「〜っ!!」


言葉にならない怒りが頭に上って、何か言い返してやろうとその家のインターホンを何度も繰り返し押した。


一回、二回、三回、四回……


これでもか、と僕はインターホンを押した。


「んんん!!」


なかばヤケクソになって、昔流行ってたボタン連打の式で押してやった。

これは相手も困るだろう。


しかし、これもまた仇となったーー。


その家の屋根ーー正確にはアンテナの部分が、何やら奇妙な光を点滅させているではないか。


ーーやばい。

僕は直感で分かった。


そして次の瞬間には、その場から離れようと足を動かそうとして、動作に入った。


だが、少し遅かった。


みるみるうちに、アンテナが変形し変形し、ついには……『銃』になった。


「な、なんでアンテナが銃になるんだーー」


ババババババ!!


何の躊躇もなく、銃口から弾が僕めがけて飛びだした。


僕はかろうじて避けて避けて、銃の死角になる自分の家の中へと飛び込んだ。


あれはアカン。当たったら死ぬレベル。


冷や汗なんてもんじゃない、変な汁を垂らしながら、僕はただ未だにヒリヒリする顔を手でさすっていた。



あれが隣家。


今回でよく分かっただろう、隣の家には、関わらない方がいいよ、って。



「……学校行かないと」


そして僕は、何事も起こらなかった事にして、大学へ行く準備を進めた……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ