013 十二駅目 隼・エウロパ・イオ
まほろば皇国鉄道貨物ターミナルにて・・・
雫はプラットホームを歩いていた、その前には黄色のヘルメットを被って指示を出している人物がいた
??
「12番ホームにコンテナ塔載貨車を4両と燃料タンク貨車を2両に有蓋車(屋根付きの貨車)を10両連結してくれ、今日列車の車種は長距離空間内走向蒸気機関車F50を2両重連して出発させるぞ、出発時間は今日の午後6時だ、それまでに貨物の積み込み及び機関車の補給を済ませとけよ」
雫
「隼主任」!
雫が呼ぶとヘルメットを被った人物が振り向いた
隼
「おっ、雫一等機関士じゃないか!どうしたんだこんな所まで」?
彼女の名前は隼・エウロパ・イオ、まほろば皇国鉄道貨物ターミナルを取り仕切る主任である
年齢は38歳、周りからは男性と思われる事もあるが隼は女性である
彼女はガーランドとまほろば皇国との混血であり、28年前にまほろばに来てまほろば皇国鉄道に就職し、現在に至る
隼
「君が私の所に来るなんて珍しいな、何かあったか」?
雫
「えぇ・・・報告と次の僕の運行日程表の確認と・・・頼み事がありまして・・・」
隼
「頼み事」?
雫
「あっ、その事については後で言いますので・・・」
隼
「そうか・・・なら、後で報告書を持って私の部屋に来い」
雫
「了解です」
そう言って隼は現場指揮に戻った
・・・お昼過ぎ・・・
雫は報告書をまとめて隼の部屋の前に来ていた
雫
「・・・(さて・・・どう切り出そうか、今の蒸気機関車から降ろさないでくださいなんて言えないし・・・)」
心の中で雫は悩んでいた、隼主任はとても厳しいと言われている・・・K80から降ろさないでくれと言っても拒否されてしまいそうだと・・・
コンッ!コンッ!
隼
「どうぞ」
雫がノックして中に入った
隼
「来たな、雫一等機関士・・・報告書をここに置いておけ」
雫
「はい」
雫が報告書を置いた、すると・・・
隼
「でっ、頼み事って何かしら」?
雫
「は、はいっ」!?
突然言われて雫は少し戸惑った
雫
「は、はい・・・じ、実は・・・」
隼
「実は」?
雫は言おうとしたが中々言葉に出せない、駄目と言われたらどうしようか・・・もうティアと会えなくなってしまう・・・それだけは嫌だった・・・まだ出会って間もなく、実体化できたばかりのティアと離れてしまったら彼女がどう思うか・・・
隼
「雫一等機関士・・・言いたい事があるならはっきり言いなさい」!!!
隼からの一喝で雫は思いきって言った
雫
「じ、実は・・・自分が今運転しているK80型貨物輸送用空間走向列車一号車輌から降ろさないでもらいたいのです」!!!
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