第二話
「どうぞ」
羽山の前にお茶が出された。
「はぁ、どうもっス」
羽山はお茶を出してくれた巫女に礼を言ってからお茶に口を付けた。
ほのかな苦みとほどよい湯の加減。
美味いし、飲みやすい。
「入れ方、上手っすね」
「そうですか?」
鈴を転がしたような、軽やかな声が嬉しそうに言った。
「俺、喫茶店でバイトしてるからわかるんすよ。この加減がなかなかできなくて」
「相手を想う心一つ、ですよ?」
「ははっ」
(俺は、客をもてなす心が足りないってことかよ)
羽山は内心で毒づきながらも、顔は笑って見せた。
「でも」
羽山はあたりをぐるりと見た後、言った。
「山の手にこんな大きな神社があったのは知らなかったなぁ」
「周囲がお屋敷ばかりですから、目立たないんです。仕方ありません」
「しかも、巫女さんまでいたとは」
羽山は、改めて巫女を見直した。
整った顔立ち。長い髪。シミ一つない巫女装束――
年の頃はほとんど違わないのに、今時、清楚という言葉がこれほど似合う存在も珍しいだろう。
羽山はそう思った。
それは侵すことが許されない、汚れを知らぬ白絹のような存在。
だからこそ、バイト仲間とは異なる存在であることを羽山に自覚させるのに十分だった。
(まず、態度を改めねぇとな)
羽山は言った。
「俺、羽山っていいます。羽山光信」
「申し遅れました。私、ここ桜杜神社の巫女、松笛詩織といいます」
30分後
「―――へぇ?」
羽山は、神社の縁起が描かれた巻物を見ながら、詩織の説明に聞き入っていた。
「―――というわけで、この神社がつくられました」
「成る程」
とはいうものの、羽山が見つめていたのは、巻物でははなく、詩織の唇。
ほんのりとした桃色の唇を、羽山の目が捉えて放さなかったのだ。
「橘比売が祭神っていうから、珍しいなと思ったら、この辺にそんな伝説があったとは知らなかったな」
「羽山さん、こういうのに関心があるのですか?」
「俺、大学で博物学やるのが夢なんです。特にこういう伝説や神話、民話なんてのは大好きです」
「あら。珍しいですね」
「よく言われます。―――そういえば、さっきの舞ですけど」
「あれですか?」
「狐の面をつけていたのは、橘比売の亡骸を狐が護ったという縁起からですか?」
「はい。だから、ウチは稲荷もあるんですよ?」
「―――へぇ」
数日後 明光学園教室
「さて」
放課後、羽山がさっさと席を立った。
「あ、羽山君、帰りにラーメンでも」
声をかけたのは水瀬だ。
「悪りィ、用がある」
それだけ言うと、羽山は教室を出て行った。
「―――珍しいな」博雅も驚いた顔を隠せないでいた。
「あのラーメン好きが」
「折角、水瀬君がおごってくれるっていうのに」
「桜井さん、ひどいよぉ……」
同日 明光学園校門付近
「みぎゃっ!」
校門を出た途端、水瀬は首根っこを掴まれ、壁に押しつけられた。
というか、壁にめり込まされた。
「!?」
「お久しぶり」
殺気を秘めた低い声の持ち主は、なんと、涼子だった。
「り、涼子さん!?」
「ちょっと手を貸して」
そういう涼子の眼は、完全に座っている。
「ど、どういうこと―――へっ?」
キラリ
涼子の手に握られたメスが喉元に突きつけられた。
「光信、どこにいるか知らない?」
「し、知らない」
メスが水瀬の喉、頸動脈に正確に押しつけられる。
「切っ先以外、全部銀製よ?この意味、わかってるわね?」
「だ、だって!ラーメン食べいこうって誘ったのに、用があるって!」
「―――そう」
不意に、涼子の力がゆるんだ。
「……涼子さん?」
不思議に思った水瀬がのぞきこんだ涼子の顔は、今にも泣き出しそうだった。
「ど、どうしたの?」
驚く周囲に、涼子はとんでもないことを言い出した。
「光信、私に飽きちゃったのかなぁ……」
喫茶 南風
「羽山君って最低っ!!」(×4)
ちなみに、美奈子、未亜、ルシフェル、綾乃の4人の言葉だ。
涼子の説明はこうだ。
最近、折角の休みなのに全然連絡がとれない。
訊ねていってもアパートにいない。
何か、ずっと悩んでいるようだが、そのことについて何一つ語ろうとしてくれない。
嫌われるようなことはした覚えがない。
だけど、もし、そうなら直したい。
でも、それが何か告げてももらえない。
「羽山君、そんなヒドい人だったなんて」
「女を何だと思ってるのかしら」
「せめて、一言でも言えばいいのに」
綾乃も美奈子も、ルシフェルですら、羽山の態度は許せるものではないらしい。
「そうそう。―――で?ルシフェルさん。その辺、秋篠君なんてどうなんです?」
血は争えないのか、興味津々で訊ねたのは由里香―――ではなく、綾乃だった。
「心配はないと思いたいけど、博雅君ってね?―――」
「うっそーっ!!」(×4)
「で、でも、それだったら、悠理君だって―――」
「やっだーっ!!」(×4)
「勘弁してくれ……」
「綾乃ちゃん、それ言わない約束なのにぃ……」
水瀬と博雅は、下手に話が大きくならないよう、隅で小さくなって祈るしかなった。
「まぁ、恋人のことを全て知りたいって、女の子としては当然ですよね」
「でも羽山君、なんで涼子さんに言わなかったんだろう」
美奈子は不思議そうに言った。
「服一つ決めるのにも、涼子さんの好みを最優先させる羽山君が」
美奈子が意見を求めた未亜は、ずっと黙ったままだった。
「未亜?どうしたの?」
「あの噂、本当なのかなぁ……」
「噂?」
「羽山君、山の手の神社の巫女さんとデキてるって」
桜森神社
「涼子さん落ち着いて!」
メスを握りしめる涼子の眼には尋常ではない光が宿っている。
「聖域です!こんなところで凶状は禁止!」
「離して!離しなさいってば!」
涼子は騎士3人がかりで押さえなければいつ暴れ出すかわからないところまで来ていた。
「せめて一刺し!」
「看護婦がそんなことしていいんですか!?」
「私、外科だからいいのよ!」
「違う!それ、何か違う!」
「あれ?涼子さん?」
突然、背後から声をかけてきたのは、羽山だった。
羽山の顔をみた涼子のパワーはフルスロットルにたたき込まれ―――
神社の白い砂利が朱色に染まった。
「……あのですねぇ」
水瀬の施療魔法を受け、何とか復活した羽山は、泣きはらした目の涼子に言った。
「俺、涼子さんしか見えてませんよ」
「……」
普段なら嬉しい言葉だろう。
だが、今の涼子にはその言葉は届いていない。
「羽山君」
「瀬戸さん?珍しいな」
「あの、ここに何しに来ているんですか?」
綾乃はもとより涼子寄りの立場だ。
正直、涼子の先程の振る舞いは、綾乃から言わせれば手緩いにも程がある。
あんなのは児戯だ。
あれが悠理君と私だったら、今頃、この世の地獄という言葉がふさわしい光景を披露してあげた。
だいたい、涼子さんが悪い。
殺る覚悟があるなら、もっと過激に、より残虐な方法をとらなければならないのに。
これだから素人は困る。
綾乃は内心でかなり物騒なことを思いながら、羽山に訊ねた。
「羽山君が神社に用があるとは思えないんですが」
「俺だって初詣くらいはするよ」
「それは、そうですが……」
「あのな?今度、奉納舞があるんだ」
「奉納舞?」
「そう。神社の例祭―――で」
羽山は困ったという顔で言った。
「俺、舞をやることになってな」
「羽山君が!?」
「ああ。いや。この神社、舞が出来るオトコがいなくてな。で、俺がやることになった」
「それ、なんで涼子さんに言わなかったの?っていうか、最近、涼子さんに冷たい理由はその辺?」
「桜井、なんでお前まで?ままいいが。何のことかわかんねぇよ。―――舞の足運びがどうしてもうまくなくてな。最近、ずっとそればっかり考えていたんから、そのせいかな。ここん所、舞の練習ばっかりでアパートにもほとんど戻っていないし。涼子さんが、そう思うなら、非は俺にあるな」
結構、難しいんだぞ?と羽山は言った。
「じゃ、巫女さんとは!?」
「信楽……」
「にゃ?」
「事の原因はお前か?」
「にゃぁ。何のことかなぁ?」
「最近、お前によく似たガキがうろちょろしてるのが気になっていたんだが?」
「知らないよぉ?」
「ウソつけ」
「ホントだよ?バレないように―――」
「お前だろうが!」
相変わらずのドタバタ劇が始まったのをため息混じりで見ていた水瀬が言った。
「二人とも、ここは聖域だよ!?」
その声は珍しく大きく、そして鋭い。
追いかけっこを始めていた二人の動きが止まった。
「あ、わ、悪い」
「ご、ごめんね?」
「―――まったく。いい?ここは神様の聖域。遊ぶ場所じゃないの!」
水瀬の目は真剣だ。
「そういえば」
博雅が思い出したように言った。
「水瀬、お前、実家は神主だったな」
「そう。だから、こういうのは厳しいんだよ」
「やっぱり、そうなるのか?」
「さっきの境内での流血沙汰だって、社家の者なら、絶対に許されないことなんだから」
「血の穢れってヤツか?」
「そう。絶対のタブー。羽山君が社家で、涼子さんがその奥さんだとして、涼子さん、あんなことしたら、即離婚モノだよ?少なくとも、ウチではね」
「!!」
「―――瀬戸さん?」
綾乃の息を飲んだ音に驚いたルシフェルが、綾乃の顔をのぞき込む。
その顔は真っ青を通り越して白くなっている。
「だ、大丈夫です」
「本当?」
「はっ。はい。あれが悠理君だったら、神社を血で染める程度では済まさなかったことなんて、考えも」
「お母さんだって、あんなことしたら離婚沙汰は避けられない。お母さんは、例え夫婦ゲンカでも、神社に被害を出したことはないから、今の地位が盤石なんだから」
「き、気をつけます」
なぜか綾乃が冷や汗混じりにそういった。
「ま、水瀬君が予防線を張りきったところで」
「黙っててよぉ!」
ここぞというチャンスで図星をつかれた水瀬と、それを冷ややかに止めるルシフェル。
「とにかく。ここまで騒ぎになったんだから、神社の方にご挨拶だけでも」
「そうだな……あれ?」
気が付くと、人の気配がしない。
いつもなら、神楽殿にいる詩織の姿が、ない。
「―――詩織さん?」
手分けして境内を探したが、誰もいない。
社務所は閉まったままだった。
ついさっきまで、神楽殿にいたはずの、詩織や他の巫女達の姿が、消えていた。
博雅の回想より
結局、羽山のいう「詩織さん」は見つからなかった。
それが、涼子さんの疑いに再び火をつけたのは疑いの余地がない。
「他のオンナの存在をごまかそうって、でっち上げたんでしょう!?」ということになるらしい。
女の嫉妬は相手構わず所構わずというが、本当に厄介だ。
大体、羽山も羽山だ。
涼子さんにさっさと何があったか話さえしておけば、こんな失態を演じることもなかったろうに。
恋人との間で隠し事じみたことをするからこうなる。
俺とルシフェルを見習え。
俺はたった一つ……いや、両手両脚の指の数に何とか……少なくてもその3倍くらいか?その位しか、やましいところはないんだぞ?
まったく。
……そういえば、俺は何で「浮気だけは止めておけ」と盛んに勧められるんだろう?謎だ。
とはいえ、気にはなった。
羽山が浮気を誤魔化すにしては、話が細かすぎる。
水瀬やルシフェルのいう所によると、誰かが住んでいるのは間違いないという。だが、羽山という客がいるのに、肝心の家主がいないとは、何事だ?
「羽山君、その詩織さんって人、本当にいるの?」
桜井の質問はもっともだった。
「俺がでっちあげで奉納舞まで考え出したというのか?俺はそこまで物好きじゃない。大体、この袴だって、詩織さん所の借り物だぞ?」
「手が込みすぎているって気はするけど……」
「水瀬!お前まで!」
「巫女さんが本当にいるのはわかってるよぉ」と、助け船を出したのは、意外にも信楽だった。
「しっ!信楽!お前は味方してくれるのか!?」
「ただぁ。巫女さんだからって目の色変えるのはよくないと思うよぉ?女の子はねぇ。服じゃなくて、中身だよ?な・か・み」
「だぁぁぁっ!俺にはそんな趣味は!」
羽山が慌てて視線を送った先には、怒りに我を忘れている涼子さんの姿があった。
「……光信?」
あの平家の亡霊に魅入られた法一の耳に聞こえてきたのは、こんな声だったんじゃないか?
本当にそう思った。
こりゃ、夢に出るな。
「巫女くらいならしてあげるわ!?ナース、レースクイーン、メイドにスク水にボンテージまで、今までだって幅広くしてあげたじゃない!」
「……」(×女子全員)
女子全員がどん引きしていた。
「うっわー」あきれ顔の信楽と、
「羽山君、そんな趣味が……」桜井。
「まともだと思っていたんですけど……」瀬戸。
「人は見かけによらない」ルシフェル。
「普段だって、ご飯つくる時は、裸エプロンでしょう!?それでも足りなかったの!?巫女がよかったの!?それならそうと早く言いなさい!」
「違ぁぁぁうっ!!」
羽山の絶叫も、涼子さんには届いていない。
「……変態」(×女子全員)
他の女子には間違いなく届いていたが……。
学校新聞に載せる。いや、どうせ載せるならもっと脚色して。ううん。載せることをネタに強請った方が――という女子の会話の向こうで、涼子さんが動いた。
「光信!?こうなったら徹底的に話しあいましょ!?どんなコスプレがお好みなのか、納得いくまで聞かせてもらうからね!?」
がしっ!
涼子さんは羽山の襟首を掴むと、そのまま引きずり出した。
「だから!境内での凶状は禁止!」
そういう水瀬に涼子さんは言った。
「境内以外なら、いいんでしょう!?」
月ヶ瀬神社 水瀬邸
「おそい」
縁側でそう呟いたのは博雅だった。
神楽の楽譜を貸してくれるというからここまで来たというのに。
水瀬が姿を消してからすでに10分以上。
遅すぎる。
「ったく、あいつ、何をしているんだ?」
博雅は腰を上げると、水瀬の部屋を探して歩き出した。
歩いてみると、意外と広い。
角を曲がった先、襖の向こうからごそごそと音がする。
ここが、水瀬の部屋らしい。
「おい水瀬!」
博雅は、声をかけながら、襖を開けた。
ノックもしないで……。
同じ頃、ルシフェルは、茶道教室に通うため服を脱いでいた。
着物の着付けは、練習したおかげで一人で出来るようになった。
だが
「……」
着付けの本に書いてあった。
下着は着けるとラインが出る。
見られたいものではない。
ルシフェルは、タンスを開くと、一番奥に隠すようにいれてあった一枚を取りだした。
これならラインが出ないだろうけど……。
ルシフェルは、それをみつめながら唸った。
もし、何かの弾みで博雅君にこんなのをつけているのを知られたらどうなるだろう。
誤解されるだろうか。
軽蔑されるだろうか。
しかし―――。
ルシフェルは鏡の中の自分を見て覚悟を決めた。
私だってこれをつけてもいい位の年頃。
そうだ。
よし。
ルシフェルは意を決してそれを身につける。
ちらと鏡に映った自分の姿を見るが、やはり何だか恥ずかしい。
自分が好色な女になったようでいやだ。
やはり今すぐにでも別な下着に取り替えたい。
でも、ラインが出て、それを指さされるなんてこともごめんだ。
ようは、知られなければいいんだ。
そう思い直したルシフェルが長襦袢に手を伸ばした時。
ガラッ
不意に襖が開くと同時に、唯一見られたい(本心)、最も見られたくない(建前)相手が顔を表せた。
「おい水瀬!」
「……」
「……」
二人は、しばらくの間、凍り付いていた。
目の前で、何が起きているか、互いにわからなかった。
そして、それが理解できた時――。
博雅の視線は、全裸に近いルシフェル、こと、やたらと色っぽい下着に釘付けになった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
胸を隠してうずくまるルシフェルにも、その悲鳴すら、釘付けになった彼の視線を外すことはできなかった。
あくまで博雅の視線は、ルシフェルの白い肌に描かれたTの字に食らいついて放そうとはしなかった。
「あ、ご、ごめん!」とはいうものの、だ。
「で、出て行って!」というルシフェルの言葉も意味は成さなかった。
「あ、ご、ごめん!」
「せめて見ないで!」
「あ……ご、ごめん」
「これだけ頼んでも聞いてくれないの!?」
ガンッ!
手近にあったものを片っ端から投げつけるルシフェルの攻撃を受け、博雅はやっと部屋から出て行った。
「どうしたの?」
廊下の角から顔を出したのは、お茶を持った悠理だった。
「ルシフェの悲鳴が聞こえた気がしたけど」
「あ、ああ、なんでもない」
頭にひっかかったものをむしり取った博雅は、そう言って悠理を押しやって縁側に向かった。
「?」
「ち、ちょっとな」
無意識に手にしたものをポケットにねじこんだ博雅は、悠理に作り笑顔を浮かべ、何とかごまかそうとした。
「博雅君」
「?」
「鼻血、出ているよ?」
「テッシュ、あるか?」
「……」
しばらくした後、着物姿で出てきたルシフェルを、博雅は軽く100万回は惚れ直していた。
青を基調とした落ち着いた中に、ルシフェルの秘めた華やかさが醸し出されているような、そんな姿は、どんな芸術家だって形にすることは出来ないだろう。
博雅の目の前には、その具現化出来ない「美」が立ってた。
「博雅君、何かいってあげたら?」
「えっ―――あっ、ああ―――」
言葉が思いつかない。
「惚れ直した?」
「もちろん―――って、何を言わせる!」
「だってさ。よかっね、ルシフェ」
しかし、二人は顔を合わせようとしない。視線を合わせられないのだ。
そんなことにとことん鈍い悠理は、不思議そうに言った。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
「ふぅん……あ、ルシフェ、遅れるよ?」
「う、うん……」
ようやく、ちらっと博雅を見たルシフェルが小さく、呟くように言った。
顔も声も痛々しいまでに涙ぐんでいる。
「……エッチ」
それを聞いた博雅は言下に言い切った。
「せ、責任はとるって、あの時いったろう!?」
1時間後、博雅は名残惜しそうに帰っていった。
責任ってなんだろう。と、悠理が考えながら玄関の草むしりをしている時だ。
石段を上がってくる女性がいた。
「あれ?」
「お久し」
理沙だった。