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神縛のカラス  作者: 銀鮭
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第四十二話 合流

俺はもう刀を握ったままただ呆然と立っていた。陽も床に膝を着いている。すると、別の部屋へ行っていた舞子さんたちの班が来た。

『さっきのなんの音!?すごい音したんだけど…!』

舞子さんが部屋を見渡した。そして、俺と目が合った。それ以上は何も言わなかった。

『ほら、立て。陽。』

『はい…』

竜也隊長に言われてなんとなく立った陽はそれでもまだ目が遠くを見ていた。いや、蒼を見ていたのかもしれない。俺ももうどこを見ているのかよくわからなかった。

『向こうの部屋は行き止まりだったわ。敵が数名いて変な機械があったけど、もう壊れてて破壊しても何ともなかった。』

『じゃあこっちの道か。暗いな…守に感謝だな。』

『ほんと、ただの遊び心なのか気が利くんだかわかんないわね。』

『よし、ライトを持ってるやつはつけろ。俺に続け!』

竜也隊長と舞子さんに連れられて、暗い廊下を進んで行った。さっきとは裏腹に音は何も聞こえない。自分の息が大きく聞こえた。



『竜也、聞こえるか?』

『勇!どうした?』

『今長い廊下をただ進んでいて、曲がったりはしてるものの確実に地下通路の方面へ行っている。』

『俺も廊下は進んでいる。方角はよくわからんが…』

『貴様本当にズボラだな。』

『その言葉、任務中以外で一番お前に言われたくないな…あ!開けた場所に出るぞ!』

『ん?お!私もだ!』


『あ』

俺と勇の声が重なった。二部隊が同時に出た場所は、地下とは思えない、いつもなら見慣れてるような大きさの空間だった。

『竜也!』

『勇!』

『久しいな!元気だったかー?』

『近所のおばさんかお前は!』

暗く、冷たい空間に二人の声が浮く。

『広いな…』

『一部しか見えないが、広い上に何もない。…おっ!』

勇が陽を見つけ、声をかけようとしたとき俺は勇の肩を軽く止めた。湊と陽の目にはまだ光がない。

『やめとけ。』

これが俺にできる精一杯だった。隊長として仲間を、ましてや子供を、守れなかった…守る選択を出来なかった俺の償いだ。勇は湊と陽を見ると、察したのか舞子と同様何も言わず、俺との個人のスピーカーに切り替えた。

『どっちだ?』

『両方…いや三つだな。』

『…!敬意を表そう。』

これだけで伝わるのは、俺たちが長年生き残っただけでついた無駄な経験だ。病気か殺されたか自殺か。

―――嫌な世界だ

すると、翔が割り込んできた。

『この空間、広すぎませんか?石を試しに投げたらすごい響きましたよ。敵も見えないし、おかしくないですか?』

『敵がいないのが妙だな。さっきも少なかったし逃げたのか?』

『いや、こっちは人は多かった。そもそも逃げたなら龍か伊代から連絡があるはずだ。』

『人数はそっちの通路に割いたのか。運が悪かったな。』

ライトで照らしても周りには何もない。音もしなかった。部隊を引き連れ奥へと進んでいく。

『…竜也、止まれ。』

『あ?なんだよ急に。』

『地面がおかしい。』

『地面?』

『うわぁ!』『うっ!』

突然、後方で声がした。仲間が数名串のように刺されている。地面から長い槍が突き出していた。

『下だ!足元見ろ!!』

勇の声が響くとほぼ同時に一斉にしたから槍が伸びた。仲間が次々と赤くなっていく。死にはしないが、動けない。すると、勇が自らの槍を地面へ突き刺した。

『お返しだっ!』

「ぐあぁ!」

勇が不気味な程に笑い声をあげながら次々と槍を刺していく。突き出ていた槍も引っこ抜き、また地面へ刺した。

『中に人がいる!動けるやつは地面に刺せ!』

『竜也隊長!ハンマー!』

さっきまで死んだ魚のような目をしていた湊が俺に叫んだ。目が以前より凛々しい気がする。

『ハンマー…!ハンマー持ってるやつは地面崩せ!』

そこからはほぼ乱戦だった。刺されては刺し返し、崩しては殺した。銃声と地面を破壊する鈍い音が広い空間に鳴り響く。暗闇でほぼ足元は見えない。敵が持っていた照明が壊した穴から漏れ出ている。進んだ分は全て破壊し、地面の敵は消えていった。突然、爆発音が鳴り響いた。地面が揺れる。

『なんの音だ!?』

音がした方へライトを向けると、砂埃が舞っている。

―――ん?

さっきまで耳元で鳴っていた笑い声が消えたことに気がついた。

『勇!?』

返事がない。翔も勇がいないことに気づき、忙しなくライトを振り、視線を走らせた。

『勇さん!どこ行ったんですか!?』

『勇!おい!』

耳元で耳鳴りだけがした。

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