第四十一話 音の正体
『妙に静かだな』
『地下に行くまでは何もないっぽいですね。床が抜けるのも地下二階のみの可能性が高いです。』
翔はこういうが、私はどうにも気がかりだった。
『侮れないな。』
部隊を引き連れ、先日進んだ地下三階への階段のところまで進んだ。微かに声が聞こえる。
―――呑気な奴らだ
『奥に人がいるな。』
『勇さん、多分さらに下があります。』
『地下四階か?』
『おそらく』
『ふぅん』
階段を降りると、足音が近づいて来た。
『来るぞ!せいぜい気張れよ!お前ら!』
槍で敵を薙ぎ払い、次々と倒していく。仲間も後ろで刀を振っているのが見えた。毎回のことだが背中が熱くなる。しかし、一瞬で辺りの敵は消えた。
―――人数が少ない
『人、少なくないですか?』
『翔もそう思うか。だが、進むしかない。行くぞ!』
廊下を進むと、薄暗い広間に出た。自分の心音と仲間の小さな息だけが聞こえる。
―――カチッ
わずかな音。しかし私はその音をしっかり聞いた。
『戻れ!』
私の声と同時に床が揺らぎ、広間にいた全員が下に叩きつけられた。背中が痛い。
『痛った…』『うっ…』
『全員無事か?今回は随分と規模が大きかったな!』
『勇さーん!大丈夫ですか?!』
翔がさっきまで繋がっていた廊下から顔を出していた。マスクだからどうせ聞こえるが。
『全員生きてる!』
周りを見渡すと、この部屋はさらに広かった。一本だけ廊下が続いている。
『下に降りないと先がない!お前らも降りてこい!』
倒れているやつを起こしながら、廊下に避難したやつを下ろした。
『すみません。見誤りました。』
翔が少し不服そうに言った。
『私は警戒していた。気にするな。』
そういうと、さらに不服そうな顔をした。
『しかし、地下四階はあったな。私はないと思っていたぞ。』
『まあ…』
さっきより少し眉が下がった。こればかりは年相応だな。
―――わかりやすい
先の廊下を見ると、真っ暗だった。床が破壊されたのに人の気配がない。
『ライト』
『自分で持ってるでしょう』
『そうだったな!』
出る前に守が斧とともにライトを持たせてくれた。「地下と言ったら斧とライトでしょ!龍坊が来た時間に合わなかったんだよな〜ヘルメットもいる?」と楽しそうに言ってきた。こちとら死にに行くかもしれないのに呑気なやつだ。ありがたく使わせてもらおう。
廊下を照らすと、長い廊下と数メートル先に曲がり角があった。私たちは音を立てず進んでいく。
『これ、壁から槍出てきて全員即死とかないですか?』
『それをやるのは竜也たちだろう。壁に少しも違和感がない。ここでやられることは…』
その時、遠くで爆音が鳴り、床が微かに揺れた。爆発というより何か硬いものが破壊された音のように感じる。続けてまた、今度は先程より小さい爆発音がした。
『なんですか!?』
『わからん…わからんが…』
私は一度音の方向を見た。壁しか見えない。それでも、妙な胸騒ぎ。
―――嫌な予感がする
『先を急ぐぞ!』
暗い廊下の中を私たちは進んで行った。




