第三十九話 信頼
「龍坊!来たか!」
守は俺を昔から龍坊と呼んでいる。
「俺もう坊じゃねぇんだが…」
「俺からしたらまだ小僧だ!」
「まあ、いいけど。悪いな、無理言って。」
「ハンマーぐらい一日でできる!お安い御用さ!前、半日で大砲作れって言われた時よりよっぽどいいよ。」
「あぁ…あれは申し訳ないと思ってる。」
「今回のハンマーは小さくて軽くて丈夫!破壊に特化した優れもんだっ!思う存分使ってくれ!」
「助かるよ。ありがとう。」
「おう!頑張ってこいよ!」
守に見送られて俺は伊代と合流した。
「ハンマーできたのね。さすが守。」
「これをみんなに配って、俺たちは先に地下通路の反対側に行こう。」
「二時間も早く出るの?」
「遠いのもあるが、車一台通れるってなると塞ぐのに時間がかかる。それに…」
「先に攻めればこっちに人が来る?」
「それだな。」
ハンマーを竜兄達に託し、俺たちは地下通路の反対へ向かった。
「陽、平気?痛かったら言えよな。」
「大丈夫!一週間もあったし、湊ばっかに任せらんない!」
陽が元気に答える横で蒼が壁を見つめている。この前と変わらず、顔が青白い。
「蒼は平気か?」
まだ壁を見つめている。返事がない。
「蒼?」
「…ん?あっうん…大丈夫!二人もいるし…」
「蒼…やっぱお前今回は…」
俺が言いかけたところで放送が入った。
『第1部隊、第3部隊に通告。第1部隊、第3部隊に通告。2:00にて任務を開始する。繰り返す…』
「放送だ…行こう!」
蒼の言葉を何故か止められなかった。陽はもう何も言わない。あの救護室の時からずっと。俺にも蒼のことは言わなくなった。
「湊!行こうぜ!」
「うん」
「また喧嘩したの?もういい加減にしてよ!どうして私の言うこと聞いてくれないの!?」
「あいつまた他校のやつやったらしいぜ。近づいたら俺らも何されるか…」
「暴力は良くないことなんだ。俺の言ってることがわかるか?」
「どうして…!あんたなんて産まなきゃ良かった!」
「もう、俺たちの前に現れないでくれ。
―――勇。」
―――うるさい
私が何をしようと勝手だ。こんな腐った世界で、身を守るために戦って、何が悪い。
「勇さん、今回は槍ですか?」
翔がいつものように聞いてきた。
「そうだな。ハンマーもあるし、当初6個だったのを龍が『どうせお前は単独行動するんだろ。斧は武器だからちゃんと別に持て。』ってもうひとつ作ってくれたからな!」
「今のちょっと似てました…」
「なかなか上手いだろう!各チームにハンマーは持たせたか?」
「はい。配給済みです。今回は俺と勇さんは同じチームでいいんですよね?」
「ああ!地下三階への通路は竜也のところと私のとで一箇所ずつだからな!私はお前を連れていくぞ。」
「ありがとうございます。無駄な心配が減ります。」
「ほお?言うようになったなぁ、翔。」
笑いながら、マスクを着け、武器を持つ。
『さあ!再戦だ!行くぞ!』
私のかえ声と共に皆が一斉に動き出した。




