第三十七話 予兆
「湊、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!湊強いもん。」
蒼が何故か嬉しそうに言う。さっき湊たち第1部隊を送り出して俺たちは訓練場にいた。蒼は怪我はほぼ治っているから、少しずつ身体を戻すらしい。
―――いいなぁ
「陽の怪我ももうすぐ治りそうだね。」
「もうすぐったって二週間はかかるけどな。」
「確か竜也隊長が三週間後にもう一度行くって言ってたね。」
「それまでには俺も体戻さなきゃ!」
すると、知らない人の声が聞こえた。
「第1は相変わらずだなぁ?勇。足手まといはいらねぇってはっきり言ってやったらどうだ」
「私の部隊の人数が少ないのは仕方がない。第1に手を借りる他ないな。」
―――勇さん?
「寂しいこと言うじゃねぇか。俺たちの隊だっているぜ?」
「お前らの隊は粗雑で好かん。ただ暴れるだけの野獣どもと組むくらいなら第1の方がよっぽどいい。」
「ははっ。せいぜい次で首取られねぇよう気をつけろよ。」
「言われずともだな!」
その声と同時に勇さんが入ってきた。
「なんだ、お前らいたのか!聞こえてたらすまないな。別にあいつは第1が嫌いなわけじゃない。」
あいつとはきっとさっきの知らない声の人だろう。俺には嫌われてるようにしか聞こえなかった。
「さっきの人って…」
蒼が聞いた。
「あいつは第2部隊隊長の蓮だ。悪いやつじゃない。言葉が少し皮肉めいててな。」
「あれは少しではない気がする。」
俺がそのまま言うと
「あれでもマシな方だ!」
勇さんの声が訓練場に響き渡った。
空が白み始める。任務後、全員で車に揺られながら施設へと戻っていた。
―――みんなボロボロだ…
久々の任務から帰ってきた第1部隊を見て思った。でも今回は死者はでず、無事に帰ってきた。俺は竜也隊長といたから傷もそんなにない。
「湊、お前成長したな!守りやすかったぞ。」
「ね!私も撃ちやすかったわ!」
竜也隊長と舞子さんが言った。まだ守られる対象ではあるらしい。
「ありがとうございます。俺も安心して戦えました。」
この前のようになることはなく、手も震えなかった。
―――これなら、二人を守れるかもしれない!
希望を抱いていながら俺の心臓は何故か速かった。




