第三十二話 最初の扉
―――まあまあだったな
男を倒した後、私は先に向かった仲間の元へ走った。階段を降り、先に進むと銃声が聞こえた。それと、たくさんの人が話す声。
―――声…?
『勇!聞こえるか!?』
耳元のスピーカーが鳴った。
『どうした竜也!私は撤退を勧めるぞ!』
『まさにそれだよ!敵の奴ら、別の軍と手組んでやがった!人数が一気に増えた!これ以上は無理だ!』
『部隊を下がらせてすぐ戻る!』
『頼む!じゃあ切るぞ!』
切ろうとした時、ふと頭に思い立つ
『待て!ガキ共が負傷して先に行ってる。途中でいたら拾っていけ。以上だ』
『部隊Aへ告ぐ!撤退しろ!』
通信を切り、銃声が鳴る所へ進んでいく。
―――つきあたり?
廊下が不自然なところで止まっている。明らかに壁の向こうから音がした。
『おい!誰かいるか?』
『勇さん…?います!撤退したいんですけど、壁が閉じられちゃって…』
声が小さい。少し遠いな。
―――建物がわからないなら、何かしら壊す場面もあるかと思って。
私はいい部下を持った。壁を軽く叩く。
―――薄いな
少し離れ、斧を構える。数回振りかざすとたちまち扉が砕けた。廊下のつきあたり手前に数名仲間がいる。人数が減っていた。
『お前ら!撤退するぞ!』
『勇さん!どうやってここに!?』
『どうでもいい!急げ!』
『はい!』
部隊に必要なのは無駄に思考をめぐらす人間じゃない。聞き分けのいい、やるべき事がすぐわかる人間だ。
生きている奴らを引き連れ、来た道を全力で戻る。何人か転がっている仲間がいたが
―――これでも最小限だな
途中で変な敵が倒れている場所があった。身体がバラバラになっている。生きている敵はいなかった。
『勇さん!』
最初の扉に着くと聞き慣れた声がした。翔だ。
『お前は本当に優秀だな!』
『何ですか急に…』
こいつはいつも褒めると少し眉を下げる。
大砲を吐き出した車は多くの負傷者を乗せて帰っていった。




