第三十話 赤い刀
『はぁ…はぁ…』
『蒼、まだ歩けるか?』
陽を背負いながら俺は聞いた。
『うん…』
『ごめん、湊。俺の足で…』
『気にすんな!あんなの防ぎようがないし、困ったらお互い様だろ』
少し暗い建物を進んでくと、階段が見えた。
―――上にいける!
二人を登らせ、上の階に出たその時
「おい!ガキが上がって来たぞ!」
『っっ!』
想定してなかった訳じゃない。
―――厳しい…
すると、蒼が剣を抜いて構えた。
『僕、まだできるよ…!陽は下がってて!』
『蒼…!』
俺は陽を床に座らせ、剣を強く握った。蒼と呼吸を合わせ、二人で斬りかかる。さっき聞いた鉄のぶつかる高い音がすぐ近くで聞こえる。でも、何故か震えてはいない。
―――二人で訓練して良かった…!
攻撃をかわし、すぐに背後へ回って剣を振るい、一人倒した。
「ぐあぁあ」
『うぁっ』
敵の叫び声と同時に、知ってる声が鳴る。蒼が壁に蹴り飛ばされた。
『今たすけ…うわっ』
左から振り下ろされた刀をすんでのところで止めた。
『はぁ…げほっ…っっ』
『蒼、立て…!』
陽の声が響く。俺がこいつを離したら、陽がやられる。でも、このままだと蒼がやられる。
「なんだ、このガキもう死にそうじゃねぇか!おら!」
蒼の前にいた男が蒼の肩を刺した。
『ああぁぁぁっっっ』
蒼の肩が赤く染まり、俺たちにだけ悲鳴が聞こえる。
「つまんねぇよなぁ。ちょっとくらい声出せよっ!」
『うあぁぁぁ』
もう一度、今度は蒼の足が赤く染まる。
『このや…』
陽の声が突然途切れた。
何も聞こえない。
耳鳴りがする。
呼吸が荒い。
息がまともにできない。
気づくと、床が真っ赤に染まっていた。
腕が落ちている。足も、首も、落ちている。
俺の刀から赤い血が滴っていた。




