第二話 混沌
「この部屋に入って待っててね。」
そう言って警察はどこかへ行ってしまった。
「俺たち、いけるよな?」
「…わからない。陽は、どうしてもカラスになりたいの?」
湊は少し不安そうな顔で聞いてきた。
「こんなとこいたって誰も助けてなんてくれねぇじゃん。」
すると、右から冷たい、蒼の肌が当たった。
「蒼、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
笑いながら言った。でも呼吸は治ってない。毛布に包まれた身体は微かに震えている。俺は蒼の手を握った。
「そうだ。大丈夫だ。俺に任せとけ!」
扉が開いてさっきとは違う警察が入ってきた。
「こんばんわ。暖かいスープを持ってきた。飲みなさい。」
世の中の不況を感じさせないほど肥沃な体と優しそうな声。
「君たちは、3年前に行方不明になった子達であってるかな?」
「もうそんなに…」
湊が俺にしか聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「たぶん、あってる」
「なら今は16歳か。その時の状況を覚えていたりする?」
警察は変わらず優しそうな声で聞いてくる。
「…」
「断片的でも大丈夫だよ。君たちのことを少しでも知れると助かるんだ。」
俺は親を殺されたこと、3人で仇討ちだと言って仲間を殺したこと、その後捕まったっていたこと、全て話した。蒼の手が徐々に温かくなるのを感じながら。
「殺し…何人くらいかな?」
「3人合わせて11人。なぁ、俺たち、カラスになれるか?」
警察は驚いて顔を少し強ばらせた。優しそうな声は消え、ただ一言、言い放った。
「カラス…!」
沈黙が続いた。蒼と湊がスープをすする音だけが聞こえる。しばらくして警察は口を開いた。
「11人か…カラス…正式には国家特務防衛隊に入るには5つ条件がある。①過去の犯罪歴②身元の確認③身体能力④人を殺せるかどうか⑤各防衛隊からの許可、この中で君たちに関係あるのは⑤以外だ。ただ、判断するのは私じゃない。」
「誰がするんだ?」
「詳しくはわからないが、私よりもっと偉い人達だ。だから少し待っていなさい」
さっきの優しそうな、でも少し悲しそうな声で言った。
ーー数日後。
政府の偉いやつとやらから許可が降りた。俺たちは一度もその偉い人とやらには会わずに。




