第二十三話 対戦
勇さんから対戦をしよう、と言われて陽は嬉しそうに訓練場へ歩き始めた。俺と蒼はその場で口を開けて固まっていたら勇さんに連行された。
―――力強いな…
訓練場に着くと龍さんと伊代さんがいた。
「なんだ、お前らも対戦中か」
勇さんが俺と蒼を引きづりながら聞いた。
「えぇ」
「時間がちょっとできたからな。ん?今、''お前らも''って言ったか?」
―――龍さん!ナイスすぎる…!
心の中で叫んだ。
「あぁ、せっかくだし行く前に見とこうと思ってな!」
「それは…3人を戦わせるの?」
伊代さんが確認するように聞いた。
「いや?私が対戦するに決まっているだろう。ガキが対戦しているのを見て何が楽しい?」
「いやいや、無理あるだろ。」
―――無理です
「そんなことないですよ!対戦!しましょう!」
陽が楽しそうに言った。蒼はもう諦めたように床を見つめている。
「まぁ、好きにしろ。俺たちは戻る。任務の前に殺さないようにな。」
そう言うと2人は行ってしまった。
―――殺す…?
訓練とは思えない不穏な言葉に思わず反応した。
もうここには訓練用の棒を持ってワクワクと構えている陽と今にも誰かを食い殺しそうな目の勇さんとほぼ虚無状態の蒼と俺だけになった。蒼は足が震えている。
「3人同時でいい。ちゃんと、連携して戦えよ。私に棒を当てれたら勝ちだ!」
そう言うと勇さんは長い棒を持ち、構えた。今にも刺さりそうな圧が俺たちにかかる。
―――もうこうなったらやけくそだ!
「おりゃーー!」
陽の掛け声と同時に一斉に切りかかる。何度か攻撃を受け止め、反撃しようとするも、当たらない
―――速い!
蒼はとりあえず避けるので必死だし、陽なんてただ突っ込んでいくから連携も何も無い。ぐちゃぐちゃだ。
「痛っ!」
「ぐぇ!」
「うわぁ!」
背中と腹部に強い痛みがある。三人同時に床に倒れ込んだらしい。
「痛ってぇ…」
「お前が、あんなやる気満々に答えるから…」
俺がそういうと蒼が言った。
「速すぎて攻撃できないよ…」
「何をしてるんだ?とっとと立て。まだ終わってないぞ」
「え?」
陽は目を丸くして聞いた。
「戦場で休憩なんて存在すると思っているのか?それにお前ら、もう少し頭を使え。そんなバラバラに攻撃してて勝てるわけないだろう」
それから4時間ほどずっと対戦し続けた。勇さんは息切れすらしていない。だが俺たちは荒いながらも徐々に呼吸が合い始めていた。
「おらーー!」
「今だ!」
素早く避ける勇さんを俺と蒼でなんとか止めると陽が勇さんの肩に棒を当てた。
「やったーーー!」
3人で叫んだ。
「ふむ、及第点だな。今日は終わろう。また明日な!」
「え、明日?」
俺たちは3人で顔を見合った。しばらく開いた口が閉じなかった。




