第一話 三人の人質
ーーーー暗い。息が苦しい。冷たい。
ーーーーもう何日、いや何ヶ月、何年ここにいるんだろう。
大きな爆発音が建物内を轟く
「逃げろーー!カラスが来たぞーー!」「なんでここがっ!クソがぁ!」「ぐあぁぁぁ!」
鳴り響く銃声、逃げ惑う人々の足音、叫び声
「おい、あのガキ共どうする!」「捨ててけ!カラスに人質なんて通じねぇよ!」
ーーーーそうだ、俺たちは、人質だったんだ。
さっきまでうるさかった足音が、叫び声が、段々と小さくなっていく。やがて声は何も聞こえなくなった。その静けさが、逆に怖かった。
辺りが明るく照らされ2つの人影が見えた。
ーーーー助けて
喉まででかかったその言葉が口から発せられない。
人影が近づいて来た。黒いマスク、黒い服。顔は見えないのに、視線だけははっきりとこちらを向いている気がした。
ーーーーああ、これがカラスか
何か話しているようだが何も聞こえない。
「なぁ!助けてくれ!俺たちも連れて行ってくれ!」
同じ部屋にいたやつが叫んだ。もうひとりのやつは浅い息で何とか呼吸をしている。
「頼む!」
意識はっきりしない中、黒い人達は俺たちを部屋から連れ出し、外へ出してくれた。久々に空を見た気がする。空気は透き通り、冷たい風が肌を触る。
「やった…やったぁぁ!湊!蒼!俺たち出れたぞ!」
陽が泣きながら叫んだ。蒼はまだ呼吸は浅いが、微かに笑っていた。
ーーーー助かった、のか
「あんたら、カラスだろ?!俺たちも入れてくれ!もう行き場がねぇんだ…!」
黒い人達の声はまた、何も聞こえない。
「なぁって!」
そこに昔、町で見慣れた制服の人達がやってきた。
警察だ。
「人質の保護に感謝する。」
警察はなんだか冷たい声でそう言った。
また、黒い人達の声は聞こえない。
「待ってくれ!俺たちは、あっちに…!」
「君たち、よく頑張ったね。こっちへおいで。暖かい所へ行こう。」
気づくと、黒い人達はいなくなっていた。
一枚の羽も残さずに。




