第十七話 声
声が聞こえる。
「いたたたたっ!痛い!痛いです!」
―――陽の声
「ちょっとくらい我慢しなさい!救護室なんだから静かにして!」
―――知らない女性の声…?
「あの、あいつは…」
―――これは湊だ
「大丈夫よ。あっちで休んでるわ」
―――また別の女性の声…?
目が覚めると、白い天井が広がっていた。腕の傷が少し痛む。どこにいるのかがわからない。ただ、昔よく嗅いだ薬品臭い気がした。カーテンで周りは何も見えない。少し開けてみると、女性二人と陽と湊がいた。
「あっ!蒼が起きた!」
「ちょっと!まだ治療終わってない!」
きつい声の若そうな女性が叫んだ。
「もう、ふたりとも落ち着いて」
年は明らかに上だけど綺麗で優しそうな女性が言った。
「大丈夫?」
「はい…あの…ここは…」
「ここは救護室よ。任務で気を失ったの覚えてない?」
そうだ。僕は初任務に行ってたんだ。
「びっくりしたぜ…起きて良かったー!!」
陽が満面の笑みでそう言った。湊は泣きそうな顔で僕を見た。優しそうな女性が言う。
「自己紹介が遅れてごめんね。私は救護長よ。先生って呼んでね。こっちは…」
「渚よ。よろしくね。私は先生の補佐してるから。なんかあったら言って。」
少し怖いけど、言い方が強いだけかな?
すると、扉が開く音がした。
「先生、救護室がうるさいって文句がきたんだが…」
特殊戦闘員の人だ。名前は…龍さんだ。
「ってお前らかよ。仕事増やすな。救護室くらい静かに使え」
「ほんとです!」
渚という人も便乗するように言った。
「ごめんなさい。」
湊が下を向いて謝る。
「まあまあ初任務後だし。いいじゃない、元気いっぱいで。」
「元気な人間が癪に障るようなやつだっているんだよ。ここには」
龍さんの声が少し低くなる。陽が口を噤んだ。
「みんな帰れたのね。お疲れ様。」
もうひとりの特殊戦闘員の伊代さんが顔を出した。一瞬目が合った気がする。
「お疲れ様です。手間をかけてすみません。」
「いいのよ。どうせ巡回はするもの。」
優しい声だ。
「治療終わったら師匠のとこ行ってやれよ。心配してたから。じゃあな」
そう言って2人は行ってしまった。




