第十四話 刀の軽さ
2週間、ただただ剣を振り続けた。俺のあの時の決断でみんなが死なないように。地下の暗い部屋で、ここを出たら一緒に行こう、と2人に言ったあの言葉を俺は絶対に忘れない。徐々にだが剣は軽く感じるようになっていた。
―――俺が、2人を守るんだ!
さっき竜也さんが俺たちの部屋に来て第6会議室にくるように言った。
「湊、蒼、行こうぜ!」
俺は初任務を前に心なしかワクワクしていた。
部屋に入るとすでに2人、俺たちを待っていた。
「来たか。生活習慣、何とかなったっぽいな。」
竜也さんが、いや、竜也隊長が言った。
「はい。ありがとうございました。今日は明日の任務のことですか?」
湊が聞く。
「そうだ。あと…」
「じゃーん!できたぞお前ら!これが…マスクだ!」
黒光りした硬そうなものが取り出される。
「かっけぇぇ!守さんすげぇぇ!」
「だろだろ!存分に使え!」
蒼の少し嬉しそうな顔を見て俺も思わず笑う。呼吸が楽になるなら、そんなに嬉しいことは無い。
「そのマスクは施設を出る時に着けろ。基本は武器庫収納な。」
「そしたら、俺たちが勝手に整備しとくからな!」
そういうと守さんは去っていった。嵐のような人で俺は守さんが結構好きだ。名前もかっこいいし。
「よし。じゃあ、改めて、俺が第1部隊隊長の竜也だ。お前らには俺の部隊で近距離戦闘員として入ってもらう。近距離は最前線で敵を殺さなきゃいけねぇ。一番危険なとこだ。気、抜くなよ。」
全員が息を飲む。
「うちの部隊は中距離との連携と作戦重視。適宜状況で俺が作戦を変える。スピーカーはよく聞いとけ。」
「はい!」
俺たちは揃って返事をした。すると、湊が聞いた。
「あの、守さんが情報調査員…?みたいな人を言ってたんですけど…」
「ああ。あいつらは現場の状況や敵の情報とかを教えてくれる。ただこれは基本俺や舞子みたいな隊長、副隊長枠だけな。お前らは俺からの指示が主だ。」
「じゃないと混乱しますよね…」
蒼が言った。
「部隊全体に知らせたいことがある時も、俺か舞子に言え。そしたら俺たちが全員に知らせる。」
「敵って具体的には反政府軍、とか?」
俺は3年前に殺したやつらを少し頭に浮かべた。
「"主に"な。ただの犯罪組織の時もあるし、武器を違法で作ってる施設を破壊しに行くこともある。」
蒼は少し驚いていた。
「いろいろやるんですね…」
「ただし、絶対に一般人は殺しちゃダメだ。例え俺たちが一般人に殺されかけてもな。」
―――は?
「なんでですか!?殺されかけてもって、俺たち正当防衛じゃないすか!」
俺は声を荒らげた。
「説明書にもあったろ。俺たちに一般法は通用しねぇ。そもそもが犯罪者の俺たちが正当防衛なんて言葉で守られるわけねぇだろ。」
全員が口を結んだ。
―――犯罪者
やけにその言葉が重く感じられた。
「わかったな。」
「はい」
俺たちは返事をすることしかできなかった。




