第十一話 刀の重み
指示された通り訓練場へ向かった。地下とは思えないほど広いその空間には、すでに何人かの戦闘員が剣を交えていた。その中に、異様な気配を放つ男が立っている。
「来たか…」
男は言った。その声だけで空気が張り詰める。その圧に少しだけ足が痺れた。
―――かっけぇ!
湊が身を引きながらも口を開く。
「あなたが、えっと…先生ですか?」
「師匠と呼べ」
男は静かに答え、周囲の気配を一瞬で掌握する。 蒼は少し震えながら訊ねた。
「何をすればいいですか…?」
男の目が一瞬で蒼に向く。
「お前か…病気持ちは」
3人は思わず声を揃えて息を呑む。
「はい…」
蒼は小さく頷いた。俺は慌てて言った。
「あの!でもこいつも…!」
男は静かに首を振る。
「わかっている。そもそもここに入った時点で戦わないという選択肢は無い。お前らみたいなガキでもな」
ゆっくりと、剣を差し出された。
―――剣だ!
「まずは片手剣からだ。持ってみろ」
俺は驚きながら剣を握った。
「わっ…!」
思わず声が出る。
―――重い…!
湊も重さに驚いていた。
「意外と…重いですね」
俺と湊は一瞬目が合い、ふたりで蒼を見た。蒼の手は震え、やっとの思いで剣を持ち上げる。 男は厳しい目で3人を見回した。
「まずは筋肉からだな。基礎体力を向上させる。剣術以前の話だ」
こうして、3人の修行の日々が始まった。一切手は抜かれず、体力作りから戦闘の基礎、剣の振り方、銃の構え方、姿勢、呼吸法まで、みっちりと教え込まれた。汗と痛みの中で、3人は少しずつだが確実に成長していった。
「俺、本当に戦えるようになるのかな…」
蒼が小さな声でそう言った。湊が少し不安そうに
「やるしかないだろ」
と答える。 蒼は息を切らしつつも、師匠の言葉を胸に、片手剣を握る手に力を込めた。師匠は黙って俺たちの動きを観察しながら、時折小さく頷く。
3人の地獄への扉が開かれようとしていた。




