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彼女のお願い10個叶えるチャレンジ  作者: 谷地雪@第三回ひなた短編文学賞【大賞】受賞


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5/5

6個目、7個目

「制服でゲーセンデートしたい」


 6個目のお願いを叶えるべく、ぼくは放課後、芽衣子とゲーセンに来ていた。音がうるさくて会話しにくいので、あまりデートで来る場所じゃないと思っていて、ふたりで来るのは初めてだった。


「芽衣子はゲーセン来たことあるの?」

「たまに来るよー。みるとか、さあやとか」


 みるとさあやはクラスメイトで、芽衣子の女友達だ。

 ぼくと芽衣子はほとんど毎日一緒に帰っているけれど、たまに友達同士で帰ることもある。休みの日も、毎回デートの約束をしているわけじゃないので、もし別の予定が入っていたら、先に入っていた方が優先。

 

「友達とは、制服で来ないの?」

「うーん……1回帰って、着替えて集合、とかが多いかなぁ」

「そうなんだ?」


 女子は、私服でオシャレして遊びに出たいものなのだろうか。ぼくなんか、面倒くさそう、と思ってしまう。

 でもオシャレを楽しんでいるにしては、芽衣子の表情が暗い。視線で続きを促すと。


「ゲーセンってさ、22時過ぎると、高校生は追い出されるじゃん?」

「うん、そうだね」

「でも大人が一緒だと、OKなんだよね。それで、あたしデカイからさ。あんま高校生に見られることなくて」


 そういうことか、と内心で呟く。

 芽衣子を大人扱いすることで、夜遅くまで遊んでいられるからだ。

 利用されていると言うと感じが悪いけど、多分友達はラッキーくらいにしか思ってなくて、芽衣子が本気で嫌がったらやめてくれるだろう。

 芽衣子もそれはわかっていて、友達の役に立ちたいから、黙っているんだ。


「じゃあ今日は、制服デート楽しもうね」

「……うん!」


 そこからぼくらは、クレーンゲームをやったり、音ゲーをやったりして楽しんだ。

 高校生カップルに、たまに微笑ましい視線が向けられたり、逆にとげとげしい視線が向けられたりする。

 ゲーセンなんて、何歳になったって来れるけど、制服で来れるのは今だけ。

 ぼくらは今しかない時間を、めいっぱい楽しんだ。


「プリクラ?」

「そう! これを制服で撮りたかったの」


 制服で来た最大の目的は、プリクラを撮ることだったらしい。

 プリクラコーナーは男子だけだと入れないので、実はぼくは初めてだ。

 ちょっと緊張しながらビニールのカバーをくぐると、眩しいほどのライトに目が眩んだ。


「これどうすればいいの?」

「音声で全部指示してくれるから、その通りにするだけでいいよ」


 芽衣子の言う通り、ブース内にはやけに明るい音声のガイドが流れた。

 それと芽衣子の指示を聞きながら、速いスピードで切られるシャッターになんとかついていく。


『次でラスト! 仲良しポーズを決めちゃおう♪』

「優斗、こっちくっついて」

「う、うん」

『3! 2! 1!』


 ――ちゅ。


『お疲れさま! 落書きコーナーに移動してね☆』

「い、行こっ!」


 さっさと鞄を持って出ようとする芽衣子を、ぼくは慌てて引き留めた。


「えっちょっと、えっ⁉」

「は、早く出ないと、時間切れになっちゃう」

「いやだって」

「キ、キスプリ、撮ってみたかったの! いいじゃん! 7個目ってことで!」


 言い捨てるようにして、芽衣子は落書きコーナーに行ってしまった。

 ええー……。

 

 出来上がったプリクラには、不意打ちをくらった間抜けな顔のぼくが映っていた。

 でも、これは、初めて芽衣子からキスしてくれた記念写真でもあるわけで。


「……芽衣子、これ、スマホに貼っても」

「絶ッッッ対いや‼」


 撮ったの芽衣子なのに。

 仕方なくぼくは、滅多に出さない生徒手帳の内側に貼った。

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