表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女のお願い10個叶えるチャレンジ  作者: 谷地雪@第三回ひなた短編文学賞【大賞】受賞


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

4個目、5個目

「イヤホンわけっこしてみたい」


 芽衣子がそう言ったので、ぼくは安い有線イヤホンを買って、学校に持っていった。

 100円均一のイヤホンなので音質は良くないけど、音楽を聴くこと自体が目的じゃないから、大丈夫だろう。

 ぼくも芽衣子もイヤホンは持っているけど、ワイヤレスしかない。

 昔のドラマで、有線イヤホンを片方ずつ分け合っているのを見たらしく、それに憧れたみたいだ。

 平成ブーム、なんてのもあったし、ちょっと不便なのが逆にいいのかもしれない。

 ワイヤレスイヤホンなんて、片方ずつつけても、情緒も何もないもんな。


 学校の休み時間。

 階段に腰掛けて、ぼくのスマホに有線イヤホンを繋ぐ。

 芽衣子のスマホには、イヤホンジャックがない。そうすると、別途変換アダプタが必要になる。古いスマホで良かった。


「はい、芽衣子」

「ありがと」


 イヤホンを片方渡して、それぞれ耳につける。

 ピン、とコードが張った。


「あ……」

「これ結構近づかないとダメだね」


 安いやつだから、コードが短いのかも。

 ぼくと芽衣子は肩が触れ合うくらいにくっついて、一緒にスマホを覗き込んだ。


「どれがいい?」

「優斗のおすすめ」


 せっかくだから、平成なつかしソングとかにしようかな。

 古いドラマの主題歌を流すと、芽衣子が驚いたようだった。


「あれ!? あたしドラマのタイトル教えたっけ?」

「え? これそうなの?」

「そうだよー」


 偶然にも、ぼくが流した歌は、芽衣子が見たドラマの主題歌だったみたいだ。

 ぼくは歌しか知らないけど、好きな歌だったから、ドラマも今度見てみようと思った。


 肩が触れたまま歌を聴いていると、手が触れた。

 その手がどちらともなく重なって、繋がれて。


「ね、ドラマでさ、やってた繋ぎ方したい」

「どういうの?」

「わかるじゃん」


 すねたような芽衣子にぼくは怯んだ。

 そりゃ、手の繋ぎ方なんて、そう何パターンもあるものじゃないけど。

 間違ってたらどうしよう、と思いながら、ぼくは全部の指を絡めて、しっかりと握った。

 いわゆる、恋人繋ぎ。


「ええと……これで、合ってる?」

「うん!」


 にぱ、と花が咲くように芽衣子が笑った。

 ああ、ぼく、手汗大丈夫かな。

 

 休み時間が終わるまで。

 ぼくらはずっと、手を繋いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ