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彼女のお願い10個叶えるチャレンジ  作者: 谷地雪@第三回ひなた短編文学賞【大賞】受賞


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2/5

2個目

「ヒールを履いてデートがしてみたい」


 恥ずかしそうにそう言った芽衣子に、ぼくは「うん、いいね」と答えた。


「いいの?」

「もちろん。なんで?」

「だって……ヒール履くと、あたし、余計デカくなるし……」


 もごもごと口の中で呟く芽衣子に、ぼくは少し考えた。

 確かに、芽衣子は背が高いことを気にしているから、より高くなるのは気になるだろう。

 でも、そのこと自体を嫌だと思っていたら、そもそも「ヒールを履きたい」と言わないはずだ。

 履きたいのに履かない理由は、なんだろうか。

 周りの視線? それとも、ぼくのせい?

 男子の中でも背が低いぼくは、芽衣子と並ぶと更に小さく見える。

 芽衣子がヒールを履いたら、身長差は今よりもっと気になるだろう。


「ぼくの方が小さいのが、気になる? ごめんね。そうしたら……うーん、ちょっと、シークレットブーツとか探してみるから」


 物理的にすぐに身長を伸ばすことはできない。でも、ごかますことはできる。

 芽衣子が身長差を気にするなら、出費は痛いけど、そういう靴を探してみよう。


「ち、違うの! あたしじゃなくて、優斗(ゆうと)が……嫌なんじゃないかなって……」

「なんだ、そんなの。気にしないよ。ぼくの方が小さいことなんて、最初からわかってるんだし。芽衣子が好きな格好してくれた方が嬉しいよ」

「ほんとに?」

「うん。今度の日曜日、履いてきてよ。オシャレして、ちょっといいカフェでも行こうか」


 芽衣子は、結構女の子らしいものが好きだ。甘いものとか、かわいいものとか。

 それをからかわれたこともあるらしいけど、ぼくは芽衣子がかわいいと思っているから、かわいいものは似合うと思う。

 それを伝えてから、芽衣子はデートの時、だんだん自分の行きたいところを教えてくれるようになった。

 そうだ、芽衣子の行きたがっていた、くまのパンケーキを出す店にしようかな。

 日曜は混むだろうから、予約しておかなくちゃ。


 そして迎えた日曜日。

 待ち合わせ場所に現れた芽衣子は、やっぱりかわいかった。

 高いヒールは、芽衣子の長い足を、さらにきれいに見せていた。

 太めなのを気にしている割りに、スカートは膝上が多い。

 足首丈を買うと、芽衣子にとっては短くなってしまうらしい。ふくらはぎ丈だと太い部分が強調されるから、いっそ短い方がいいんだそうだ。


「すごくかわいい。ヒール似合うね」


 並んで立ったぼくがそう言ったことに、芽衣子はほっとしたみたいだった。

 さあ、今日は日曜日。一日芽衣子と一緒にいられる日。

 めいいっぱい、楽しもう。

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