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終末世界の生存競争  作者: 神凪儀天水


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29/29

29話

 陣に戻ってから、俺はミランダ大佐に呼び出された。おそらく聖域結界を展開していない間に負った怪我の治療をしてほしいのだろう。俺はE11小隊を伴ってミランダ大佐に呼ばれた場所に行くと、怪我人がある程度重傷者順に並べられていた。


「ミランダ大佐、お呼びと聞いたけど」

「はっ。アルス様にはこの者たちの傷を癒して頂きたく」

「いいよ。思っていたより被害は少ないな……」


 取り敢えず重傷者から順に治療を開始していく。1人、2人と元気になって礼を言ってその場を去っていく。そして順調に傷を癒していると、中にはこれを機に話しかけてくる人もいたが、そこはツィエラたちに止められていた。他にも治療待ちの軍人がいるからな。


 そうして怪我人を治療しているとあっという間に時間が経ち、夕方になってしまった。その間に各小隊長がミランダ大佐に呼ばれて次の作戦行動の内容を聞いていたりとやることはやっていたようだ。


 最後の怪我人を治療し終えて俺はテントに戻る。今日は大変だったな……。まさか3ヵ所同時に戦線が崩壊するとは思わなかったから驚いた。それにしてもエーテルが枯渇したら戦力にならないのはいつの時代も同じなんだな。


 そして夕食を食べて、今日は結構働いて疲れたので早めに眠ることにした。


 翌日。

 朝食を食べてからテントを片付け、荷物をクールスに積んでいく。今日で作戦開始日から6日。そして今日エイト・クエレーレ・カスタルムに帰還するためもう陣は片付けてしまっていいそうだ。

 あとはまたクールスに揺られて2時間ほどでエイト・クエレーレ・カスタルムに辿り着くだろう。


 早速移動を開始して帰路に就く。その間はまたミランダ大佐の小隊と同じクールスに乗っている。護衛も兼ねてミランダ大佐の小隊も同じ車両に乗っているのだが、E11小隊にとっては今でも緊張してしまうらしい。みんな固くなっている。


 行きは俺の隣にツィエラが座っていたが、帰りはベロニカが隣に座っていた。なのでふかふかのクッションはベロニカと共有している。ベロニカはツィエラよりお尻が少し大きいから隣に座ると密着感が増して何とも言えない気持ちになるが、役得だと思っておこう。現代の男はこういうのを全て放棄しているのだから本当にもったいないよな。


 そんなことを考えている間にエイト・クエレーレ・カスタルムに到着した。そしてそのまま俺たちは俺の家まで送り届けてもらう。家の前で降ろしてもらい、ついでに荷物は貰えることになった。せっかく使わせてもらったのでありがたく貰うことにした。それにまたそのうち従軍の依頼がくるだろうし軍服も持っておいた方がいいだろう。


「アルス様、この度の従軍、ありがとうございました。おかげで死傷者、重傷者は1人もでませんでした」

「軍人がそれだけ優秀だったってことだろ。思ってたより怪我人少なかったし。次があるならまた呼んでくれ。楽しみにしてる」

「はっ。またよろしくお願いします」


 そう言ってミランダ大佐は行ってしまった。そして俺たちは家の中に入ると、


「おかえりなさいませ」


 アイーシャが玄関で出迎えてくれた。


「ただいま。何か変わったことはあった?」

「いえ、特に変わったことはございませんでした」

「そっか」


 そして俺たちはそのまま順番に風呂に入り、さっぱりしてからアイーシャの作った昼食を食べる。従軍していた時の携帯食料も悪くないけど、やっぱりこういった手作りの料理が一番美味しいな。


 昼食後、俺たちは武器の手入れをして、アイーシャはこの6日間で溜まった洗い物をこなしてくれる。この杖、結構頑丈だからエーテル弾の多重展開にも全然耐えてくれたな。正直途中で杖が壊れるかもしれないと思った時もあった。だがそんなことはなく、杖は最後までしっかりと役目を果たしてくれた。今の俺の大切な相棒だ。まだ手にしてから2ヶ月も経ってないけど。


 それから、少し自室で昼寝をしてから起きたら夕方になっていた。そのまま1階に降りるといい匂いが漂ってくる。アイーシャが夕食の用意をしているのだろう。その間に俺はテーブル席に座って料理を待つ間に今回の従軍を思い返す。

 思っていたより短い従軍だった。だけど最後の戦いは中々スリルのある危ない戦いだったんじゃないかと思う。ミランダ大佐も内心ではヒヤヒヤしていたんじゃないだろうか。なんたって数少ない男が下手をしたら死んでいたのだから。

 俺の特技の1つが狙撃でよかったと本当に思う。でなければおそらく今回の戦いで死んでいただろう。


「料理が完成しましたよー!」


 そう言ってベロニカとアイーシャが料理を運んでくる。何故かベロニカもアイーシャと一緒に料理を作っているらしい。アイーシャは最初は遠慮したらしいが、今では一緒に料理をしているあたり、妥協したのか仲良くなったのか、まあ悪くない傾向だろう。


 そしてみんなで料理を食べる。E11小隊の和気藹々とした会話を聞きながら食べる料理がここでの普通であり、あたりまえであってこの食卓に着くと帰ってきたんだな、なんて思いが込み上げてくる。


 そして最後にデザートを食べてから今日も早めに眠りにつくのだった。


 そして翌日。


「おはようございます、アルス様」

「おはようアイーシャ、何か用か?」

「はい、精子提供の義務が本日期限となっております」


 それを聞いた瞬間、フィオーネが急に慌ててどこかへ行ってしまった。まあ逃げても必ず順番で回ってくるんだけどね?


「そっか、もうそんなに日が経ってたか。朝食後に少しのんびりしてから義務を果たすよ」

「かしこまりました」


 そしてアイーシャの作った朝食を食べる。ただしフィオーネは未だに戻ってこない。さっきから水の音が聞こえるからおそらく風呂に入っているのだろう。やはりツィエラとベロニカが話したせいで先に身を清潔にする方を選んだか。だがまあそれは悪いことではないので良しとしよう。


 そして食後のコーヒーを飲んでいると、フィオーネが風呂から出てきた。のだがその顔は既に上気して白皙を紅く染めている。


「フィオーネ、先に朝食を食べた方がいい。時間かかりそうだから」

「じ、時間がかかるんですか……?」

「それはもう、わざわざ風呂にまで入って準備してくれたんだから時間をかけないと失礼だろう?」


 それを聞いてフィオーネはさらに顔を紅くし、下を向いてしまう。が、朝食は食べるらしい。

 他のE11小隊の面々からは同情的な目で見られながらフィオーネは朝食を食べ、


「それじゃあ義務を果たしてくるよ。いこうか、フィオーネ」

「……はい」


 こうして俺は4度目の義務を果たした。

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