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終末世界の生存競争  作者: 神凪儀天水


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21話

 精子提供の義務を果たした後、俺はそのまま眠くなってきたので昼寝をすることにした。ベロニカは恥ずかしがってすぐに出ていってしまったが、1階でおそらく他のメンバーから追求を受けていることだろう。


 そして1時間後。目を覚ました俺は1階に降りる。するとベロニカと目が合うが、すぐに顔を赤らめて目を逸らされる。少しいじめ過ぎたかな。だが後悔はしていない。そして他の面々も若干顔を赤くして目を合わせないようにしている。

 俺は飲み物を用意してもらおうとアイーシャを呼ぼうとしたが、1階に見当たらなかったので自分で紅茶を淹れて飲むことにした。

 だがやっぱりアイーシャが淹れた紅茶の方が美味しいな。


 それからゆっくりして過ごして今日は結局外には行かなかった。

 そしてアイーシャが帰ってきてから夕食を作ってもらい、そのまま就寝した。


 翌日、従軍6日前。いつも通りの朝で朝食を食べて食後のコーヒーを飲んでいると、


「アルス様、今日の予定はどうするの?」

「今日は午後から軍の訓練施設に行きたいな」

「軍の訓練施設?」

「ああ、ベロニカの砲撃銃、まだ試してないだろう? だから試し撃ちさせてあげたくて」

「なるほどね、了解」


 ツィエラと今日の予定を話し合って、今日の行動指針を決める。

 そして昼食まではそれぞれのんびりと過ごし、昼食後。


「それじゃあ行きましょうか」

「私の砲撃銃の試し撃ちがようやくできるんですね、楽しみです!」


 そう言ってベロニカが息巻いているが、また俺と目が合うとあう、と目線を逸らされてしまう。

 少しショックを受けながらクールスに乗って軍の訓練施設まで行く。

 そして到着してから男性の特権で1枠もぎ取ってもらい、ベロニカの砲撃銃の威力を試すことにした。機械装置の操作はフィオーネがして、ベロニカは定位置に立って砲撃銃を眺めている。


「それじゃあ像を出すわね」

「はい!」


 そしてモンストルムを模したヘヴィメタル製の像が配置される。


「それじゃあ、始めます!」


 そう言ってベロニカが砲撃銃を構えて像に向かって砲撃を始める。

 その瞬間、砲撃銃が紅く輝き、光が収束されてエーテル弾が発射される。そのまま像に命中し、爆発を起こして土煙を上げる。

 そして土煙が晴れると像の一部が抉れていた。


「え……そんなに威力出るんですか? まだエーテルそこまで込めてませんよ?」

「エーテル鉱石の質がいいから流したエーテルがそのまま弾になってるんだよ。今までのは質が低かったからエーテルを込めても何割かは外に漏れてたんじゃない?」

「じゃあこれがエーテルをしっかりと込めたエーテル弾……」

「帝国時代はこれが普通だったんだけどな」

「す、すごいですよアルス様! これエーテルの消費量が減るし威力は上がるしいいことしかないじゃないですか!」


 なんてベロニカが叫んでいる。さっきまでの目線逸らしはどこへいったのやら。だが砲撃銃の威力が上がっているという事実が分かってよかった。

 それに一撃ごとのエーテル消費量が減るということはそれだけ弾数が増えるということだから戦力的にはかなり大きな強化だ。


 それからベロニカはエーテル弾の威力調整をあれこれ試し、最後に全力の1撃を放つと、また土煙があがり、土煙が上がると、ヘヴィメタル製の像の頭部が吹き飛んでいた。いつぞやの俺がやったことと同じレベルの威力を出していたみたいだ。


「あわわわ、軍の設備壊しちゃいましたよ! どうしましょう!」

「これは……大人しく報告して怒られるしかないわね、ベロニカが」

「そうね、ベロニカが怒られるしかないわね」

「ベロニカ先輩、備品破壊の罪は何になるんでしょうか……」

「みんな見捨てないでくださいよー!」


 小隊でベロニカを斬り捨てる方針になりつつあるようだ。というかベロニカをからかって笑っている。

 そして他にもフィオーネの鞭やツィエラやグリューエルの剣の試しもしたが、本人たちは性能に満足していた。

 それから備品破損の報告をして、E11小隊と俺で怒られに行ったが、俺がいたからか軽い注意で済んだ。そして後日訓練施設の備品強度を上げる案を提出されることになった。


 そして夕方、軍の施設から出て家に帰る。帰宅するとアイーシャが夕食の用意をしていて、風呂上りに夕食を食べて眠りにつくのだった。



 翌日、従軍まであと5日。

 今日こそは肉の生産地に行きたいと思い、ツィエラに要望を伝えてみた。


「肉の生産地? いいけど、あまり面白いところじゃないわよ?」

「いやいや、海の上で肉が食えるってのが不思議で今の内に謎を解明しておきたいんだ」

「変なところに興味を持つのね、アルス様」


 なんて言われたが、俺としてはかなり興味があるからこれだけは従軍前に行っておきたいのだ。

 そして午後、クールスに乗って肉の生産地に行く。車に乗っているのに30分ほどかかるとかかなり遠いところにあるんだな、肉の生産地。


 そして肉の生産地に到着した。クールスから降りて杖を持ってツィエラについていく。そのまま施設の中に入ることになった。施設に入るにあたって何か記入事項があるらしく、ツィエラがいろいろと記入している。そしてその記入を終えてから中に通される。

 施設の中に入ると施設内な天井がガラスになっていて、日光が施設内に入るようになっていた。そしてその日光に当たりながら牛が日向ぼっこをしている。


「おお、牛だ……見るのは484年ぶりだな」

「アルス様、昔の牛もこんな感じだったんですか?」

「ああ、もう少し黒かったけど大体こんな感じだった」


 そう言って牛の頭を撫でると、牛が反応して手を舐めてくる。愛い奴め、もっと撫でてやろう。

 なんて牛と戯れていると他の牛もやってきて、気付けば正面には視界一杯に牛が詰まっていた。


「おお、牛だらけだな」


 さっきからモーモーと鳴いて牛がこちらに近寄ってくるが、馬房みたいに遮られているため、牛は一定以上の場所からこちらに近寄れない。

 しかしこうやって牛が育てられていたのか……まさか海の上で牛を育てていたとは驚きだな。


 次に別の施設の中の道を通って別の施設に入ると、鶏の鳴き声が聞こえてくる。それもかなりの数だ。すると綺麗に整列された鶏の入った檻が並べられている。

 そんな鶏を眺めていると、子供の頃に鶏の卵を貰ってエルマリアとともに育てたことを思いだした。ちゃんと孵化してひよこになって芋虫とかあげてた記憶がある。そして最終的にはトウモロコシをあげて成長してからは一緒に走り回っていたが、ある日院長が鶏肉に変えてしまったという悲劇が起こった。

 あれは中々衝撃的だったな……。


「鶏、お前たちもいつか殺されるのか……」


 孤児院での出来事を思い出してそんな哀愁が漂う雰囲気になっていると、


「アルス様、鶏にあまり感情移入しすぎないほうがいいわよ」


 とツィエラに声を掛けられる。


「ああ、そうだな。それは身をもって知ってるから大丈夫だ」


 そう答えて次に進む。次の施設には豚がいた。だが大半の豚が眠っている。こっちの豚は色がピンクだな。俺の時代はもっと毛深くて茶色だったけど。それから豚に近づいてみるが、豚は一向に反応を示してくれない。どうやら豚は俺には興味がないようだ。


 そして豚はもういいやと思って次に行こうとするが、


「ここが最後よ?」


 とツィエラに言われてしまった。


「え? 馬は?」

「馬? アルス様の時代は馬の肉を食べていたの?」

「怪我して走れなくなった馬とかは食用に回されてたぞ。結構美味かったんだけど」

「この要塞では馬の飼育はしていないわ。というかどこの要塞も馬の飼育はしていないと思うわよ」

「そうか、馬の肉は食べれないのか……」


 あれで以外と美味しかったから少し残念だな。

 そして全ての施設を回り終えて、この建物を1周する。これで全部か。結構時間かかったな。他の施設には魚の養殖もあるらしいが、そちらはあまり興味がないから行かなくていいや。

 取り敢えず今日はもう帰ろう。


 ツィエラの運転するクールスに乗って俺たちは家に帰るのだった。

 ちなみにその日の夕食はハムカツなる肉を衣につけて揚げたものだった。やはり肉は上手い。


 それから時間が経ち、従軍前日になった。

 最近は雨などで外に出れず、家で雨を眺めていたり、池の魚を眺めていたりしていた。

 もう自分で見て回りたいと思った場所は見たからこれ以上外に出る用事がない。他に見どころのある場所があるのなら行ってみたいが、要塞の広さには限りがある。これ以上は見たい場所なんてそうそう見つからないだろうな。


「アルス様、本日男性保護法のもと精子提供の義務の予定日でございます」

「ん? そうか、明日から従軍だからもうそんな日か……」


 そんな話をした途端に護衛の面々が顔を赤くして下を向く。やっぱりベロニカが内容を話したのだろう。それでツィエラたちは俺から視線を外しているのか。


「──ベロニカ」

「えっ⁉ ちょ、この前次はツィエラにするって言ってたじゃないですか! そこにツィエラいますよ!」

「冗談だよ、今日はツィエラにするから」

「あの、アルス様? せめてお風呂に入らせてくれない?」

「駄目」


 そして俺はツィエラの手を引いて自室へと足を進める。ツィエラは顔を赤くしたまま特に抵抗することなくついてきて、今回の義務も無事に果たすことができたのだった。


まあ、ツィエラに関しては母親から好きにしていいって言われてるしな。

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