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終末世界の生存競争  作者: 神凪儀天水


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20/29

20話

 翌日、朝食を食べ終えて食後のコーヒーを飲んでいると、


「アルス様、お手紙が届いております」


 アイーシャから手紙を渡された。宛先は無名、だが俺の家の住所だ。そして差出人は武器製作の研究開発課。つまりツィエラたちの武器に関することか。

 手紙を読むと真エーテル鉱石を使った武器が完成したので取りに来てほしいとかかれていた。


「ツィエラ、武器が完成したらしいぞ。取りに来てくれだってさ」

「分かったわ。私とフィオーネでクールスを使って全員分取りに行ってくるわ。ベロニカとグリューエルは護衛をお願い」

「はいはい!」

「分かりました」


 そしてツィエラとフィオーネが武器製作の研究開発課へ行ってしまい、護衛の数が減った。

 が、それはまあ仕方がないので今日こそはこの海上要塞のどこで肉を生産しているのかを突き止めようと思う。


「ベロニカ、この海上要塞のどこで肉を生産してるか知ってる?」

「もちろん知ってますよ、今日はそこに行きたいんですか?」

「ああ、前からどうやって肉を生産してるのか気になってたんだ」

「じゃあ今日の午後は肉の生産地に行きましょう。結構距離があるのでツィエラたちが帰ってきてからクールスで行きましょうね」

「分かった」


 さて、こうして暇な時間ができたわけだが、何をしようか。精子提供の義務期限まではまだ4日あるし、急がなくていいだろう。庭で杖でも振るか? だが体を動かしたい気分ではない。ならせっかくだし二度寝でもするか。

 そう決めて俺は自室に戻り優雅に二度寝を決め込むことにした。


 それから1時間ほど眠り、目を覚まして1階に降りると、ちょうどツィエラたちが帰ってきた。


「おかえり、武器の具合はどうだった?」

「ただいま、武器はまだ見てないわ。見る時はみんなで見ようかと思って」


 そう言ってツィエラとフィオーネは武器が収められたケースをテーブルに置く。そしてE11小隊の面々がそれぞれのケースの前に立ち、ケースを開けていく。


「これが、新しい武器……」


 フィオーネの武器は持ち手の部分しかない。が、そのまま庭に出てエーテルを注ぎ込んで武器を具現化させると、しなやかなでありながら斬撃性を備えた紅色のエーテルの鞭が生まれた。そして鞭を軽く振ると、ヒュン、と風切り音を立てて空を切る。


「エーテルの流し込みやすさが段違いですね。それに鞭の攻撃力も以前とは比べ物にならないほどに上がっています」

「フィオーネの武器は鞭だったのか、中距離型だな」

「はい、私は中衛ですので。普段は鞭に雷を纏わせて戦っています」

「雷? もしかしてアビリティは雷魔法?」

「その通りです」


 雷魔法か、かっこいいな。帝国時代でも人気のあった魔法だ。早いし威力の出る魔法だから重宝されていた。

 そしてフィオーネが庭から戻ってくると、次はツィエラとグリューエルが庭に出た。どちらも剣の柄の部分しかないが、これもエーテルを注げは刃が生成されるのだろうか。そして2人がが武器の具現化をすると、やはり紅色の刃が生成された。


 すると2人が急に向かい合い、そして剣戟を始めた。エーテルの刃独特の風切り音がするが、刃通しがぶつかった時のバチバチというエーテルが散る音も懐かしい。ただ2人の刃の形状が少し違うな。ツィエラのは両刃なのに対してグリューエルのは片刃だ。少し珍しいような気もするが、そういう武器もあるのだろう。


 そして2人は満足したのか武器をしまって戻ってくる。

 最後は一際大きなケースに納められたベロニカの砲撃銃だが、流石にこれは庭では試し撃ちはできない。どこかで軍の訓練施設を借り受けないといけないな。

 ベロニカはベロニカで新しい砲撃銃を見て喜んでいるからまあ今日のところはいいだろう。


「それにしても近距離と中距離の武器って小型化されてるんだな」

「ええ、持ち運びが便利だし、金属の刃よりエーテルの刃の方が切れ味がいいから」

「なら軍の訓練施設にあったヘヴィメタル製の像も斬れるのか?」

「あの金属は特別よ。むしろ壊せるほうがおかしいわ」

「そういうものか」


 だがこれでE11小隊の強化は完了した。あとは試し撃ちをしてから任務が回ってくるのを楽しみにしているだけだな。

 なんて考えていると、キッチンからいい匂いが漂ってきた。そろそろお昼の時間らしい。全員ケースを自室に片付けに行き、俺は椅子に座って料理が来るのを待つ。


 それから昼食を取り、少し休憩してからいざ肉の謎を解明しに行こうとした時だった。

 家のインターホンが鳴り、来客を知らせてくる。それにアイーシャが対応するが、


「アルス様、軍のミランダ大佐がお見えです」

「ミランダ? そんな知り合いはいないけど」

「アルス様が1番最初に欠損部位の治療をした大佐ですよ!」

「ああ、あの武人か。アイーシャ、家に迎え入れてくれ」

「承知いたしました」


 そして俺は椅子に座り、俺の後ろにツィエラたちが控える。なんか来客時にはこういう配置が護衛の基本らしい。

 そしてアイーシャに連れられてミランダ大佐が姿を見せる。確かにあの時ジムで隻腕だった女性だ。


「失礼します」

「ジム以来だな、今日はどうした? 茶でも飲みに来たのか?」

「いえ、本日はお願いがあってまいりました」

「お願い?」


 そう言いながらミランダ大佐は立ったまま、


「本日より7日後、モンストルムの集団を討伐する作戦が決まりました。そこに従軍して頂きたく本日はお願いに参りました」


 従軍、ということは俺がその作戦に参加することになるのか。となると必然的にE11小隊も参加することになる。つまり戦場で新兵器を試せるわけだ。


「従軍するのは構わないけど、護衛小隊は連れていくぞ?」

「もちろんです。配置につきましても常に1番安全な場所に配置いたします」

「あれ……? もしかして狙撃兵としてじゃなくて回復魔法の使い手として求められている感じ?」

「狙撃……? ああ、軍人を御身1人でなぎ倒したという話ですか。今回は回復魔法の使い手として従軍して頂きたく思っております。今回の作戦には多くの軍人が参加するため死傷者も増えると思われますので」

「なるほどね、分かった。回復魔法の使い手として従軍するよ」

「ありがとうございます」


 これで俺も前線に出れる。ようやく待ち望んだ展開になってきた。そのままなし崩し的に軍属になって階級を上げていくのもいいだろう。


「作戦行動時の食料の調達等はE11小隊の分も含めて軍で行いますので当日の早朝にお迎えに上がります」

「分かった。よろしく頼む」

「はっ! 本日の用件は以上となります。私はこれにて失礼させていただきます」


 そういってアイーシャが見送りに行き、ミランダ大佐は家から出ていった。


「だそうだから7日後に戦場に出れるぞ」

「いや、普通男性を戦場に出したら駄目なのよ? 知ってる?」

「知らない」

「アルス様にはこっちの常識を教える時間を確保しないと駄目ね……」


 なんか少し不穏な言葉が聞こえた。またお勉強をするのか? 言語話せたらそれで良くないか?

 しかし大佐自ら従軍の依頼をしにくるとは思っていなかったな。もっと適当な感じに手紙とかで指示書が送られてくるものだと思っていた。それが大佐自ら来るのだからそれなりに誠意を見せたんだろうな。


「しかし大佐自ら従軍の依頼をしにくるとは思いませんでしたね」

「それだけアルス様の扱いが丁重ということよ、ベロニカ」

「ですね、普通なら従軍自体あり得ないのに、アルス様が好戦的だから……」

「いえ、私たちE11小隊に対する嫌がらせの可能性もあるわ」

「あの大佐がそんなことするか?」

「大佐はしたくなくても上層部からの指示だと逆らえませんからね」


 なるほどねえ、軍だから上下関係は厳しいのか。そしてアイーシャが戻ってくると、


「アルス様、少しよろしいでしょうか」

「いいよ」

「7日後の従軍とのことですが、日数を考えると精子提供の義務のスケジュールが今から行わなければ厳しくなるかと思われます」

「……完全に忘れてた。じゃあ今日と従軍の前日に済ませてしまおう」


 そういえばそうだった。従軍していようと俺は精子提供の義務があるからあまりこの要塞から離れられない。現地で誰かに子種を仕込むなら話は別だが、そうでないなら前日に義務を果たしていくのが賢明だろう。


「従軍って何日くらいかかると思う?」

「そうね、長くて10日くらいかしら」

「ならやっぱり前日に義務を果たしておかないと駄目だな。というわけでベロニカ、昨日言った通り手伝ってもらおうか」

「へっ? あれはただの冗談だったのでは……?」

「まさか。さあ、部屋に行こうか」


 俺はベロニカの手を取ってそのまま自分の部屋に向かう。そして他の護衛の面々は気まずそうに顔を赤らめて目を逸らしている。


「ちょ、ちょっとまって下さいアルス様! 私よりもツィエラの方が美人ですよ!」

「ベロニカも同じくらい美人だよ。それに今日はベロニカの気分なんだ。大丈夫、流石に妊娠するような真似はしないから。まだ」

「まだっ⁉ アルス様⁉ アルス様! ちょっと待ってくださいよお!」


 顔を真っ赤にしながら喚くベロニカの手を取って俺はそのまま自室に入る。

 金髪碧眼ツインテールに傷1つない白い肌。そして大きい胸。これほど魅力的な女性なんて帝国時代には見たことが無かったからきっとはかどるだろう。

 そして精子提供の義務を果たすのだった。ベロニカは今日、過去に失われた女性の羞恥を知った。

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