表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界の生存競争  作者: 神凪儀天水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/29

2話

side ツィエラ


「目的地の洞窟に到着したわ。これより調査を開始します」

『了解、危険だと判断したらすぐに切り上げてね。その時はサードかセブンに要請を出しましょう』

「分かってるわ、フィオーネ」

「それじゃあ行こっか、ツィエラ」

「ええ、行きましょう、ベロニカ」


 私とベロニカで洞窟の中へ入っていく。この洞窟は最近起きた地震によって入り口が地上に出たらしいもので今まで未発見とされていた洞窟だ。もしかしたら過去の文献資料などが手に入るかもしれないし、モンストルムの生息域、巣があるかもしれない。


 私とベロニカは洞窟に入り、エーテル武装を構えながらゆっくりと奥へ進んでいく。しかしこの洞窟はなんというか洞窟っぽくないわね……、どちらかというと建物、施設だったような印象を受けるわ。


 そう思った時だった。


「ツィエラ」

「ええ、エーテル濃度が1ランク上がったわ」


 エーテル濃度。現代におけるエーテルの密度を表す機械装置によってその場のエーテルの濃度を計測することができるようになった。エーテル濃度の高い場所ほどモンストルムの発生率は高くなると言われているけど、今のところ発生する兆候はないわね……。


 そのまま進むと、途中で十字路に出る。


「ベロニカ、どっちに行く?」

「こういう時は王道でまっすぐ行こうよ」

「分かったわ」


 こうして私たちはまっすぐ道を進むことにした。私が正面を警戒して、ベロニカが後方を警戒する。グリューエルがいてくれたらもっと楽だったんだけど、今日は連絡がつかなかった。まあまだグリューエルは学生だから仕方がないのだけど。


 こうして進んでいる間に、またエーテル濃度が上がっていく。まだ洞窟に入ってからそんなに時間が経っていないのにもうエーテル濃度が2段階も上がってる。この洞窟、もしかしてモンストルムの巣になってるのかしら?


 それから探索すること1時間ほど。エーテル濃度が順調に上がっていく割りにモンストルムは全くといっていいほど出てこなかった。戦闘も覚悟していたけど、どうやら往路は杞憂で終わりそう。


 そして私たちは一つの扉に辿り着いた。両手で開けるタイプの大扉だ。


「ベロニカ、何かあったら砲撃できるようにしておいて」

「分かった、ツィエラが開けるのね」

「うん、中がどうなってるのか調べたいから」


 そう言ってベロニカは背負っていた砲撃銃を構え、いつでも砲撃できるようにする。そして私は大扉を両手でゆっくりと開けていく。


 その瞬間、ビービーとエーテル濃度の計測器が危険音を鳴らし、そのままショックアウトしてしまった。


「嘘、エーテル濃度が高すぎて故障した?」

「この先、一体何があるのかな……取り敢えず大扉開けようよ」

「そうね」


 そして大扉を開けきると、そこは洞窟、というより研究所のような場所になっていた。いろんな見たことのない研究装置が置いてあり、稼働音を鳴らしている。


「ここの施設、まだ動いてる……?」

「でもなんの施設なんだろう? 資料漁ってみる?」

「そうね、とりあえず研究資料を漁ってみましょう」


 そう言って私達はこの施設の資料を片っ端から読み解こうと試みた。しかし、


「どれも古代語……解読に時間がかかるわね」

「私は古代語苦手なんだよね……解読できるかな」

「少しでもいいから頑張って、でないとこの施設がなんなのか分からないわ」


 私たちは古代語の資料を少しずつ読み解いていく。するとここはエーテルの供給機関で何かにエーテルを供給していたらしい。一体何に? とは思ったけど今はそれはどうでもいいこと。今も稼働しているこのエーテル供給機関の操作方法を調べないと。


 それから資料を当たっていると、研究者の日記のような物がでてきたのでそれを読むことにする。取り敢えず最後のページから読んでみよう。


「奴ら……が、ばら撒いた、世界中の、人間を滅ぼす、兵器を? だがそれは……不完全の、ものだった、らしい……滅んでいく、のは、男ばかり……つまり、男にのみ作用する……兵器がばら撒かれた……このままだと、人類は、そう遠くない未来に滅ぶ……」


 最後のページがこれだなんて、結構不吉な内容ね。でもこれって今の世界の男性が少ない理由に繋がることなのかしら?

 それからしばらく遡って読んでいると、また気になる文章を見つけたわ。


「突然、世界に、化け物が……現れるようになった。その化け物は、人間を、殺し、獣は……殺さない。おそらく、世界の、人理防衛機能? が発動したのだろう……我々人間は、星に見捨てられた」


 人理防衛機能って何かしら? それに化け物ってモンストルムのことであってるかしら? この時代にはモンストルムがいなかったのね……。だとするとこの日記に書かれている星に見捨てられたっていうのはどういうことなの……?


 私はさらに日記を読み進めていく。すると、かなり前のページまで遡ってきたようだ。だが重要な研究のことについてはあまり書かれていない。そう思ったが、取り敢えずすべて読むことにし、そのままページをめくると──


「ようやくだ、ようやく源……泉? のスキル? を持つ人間を見つけた。こんなスキル? を持つ人間は、初めてだ。こいつさえいれば、研究が、無限、にはかどる。孤児院、出身のガキ、だから誘拐しても、問題にはならない。成長防止……? の措置を施して、一生、無限のエーテルを、生み出してもらおう。この水槽の、中に閉じ込めて、おけ、ば……2度と目覚めることもないだろう……」


 スキル? なんのことかしら? それに人間を成長防止の措置をして水槽に?

 そう解釈した後に周囲を見渡すと、確かに水槽があった。そして水槽の中にはおびただしい枚数の札が張られた人型が浮いている。そしてその水槽からコードが伸びていて、いろんな機械に繋がれている。


 もしかして、まだこの水槽の中にいる人は生きている? 成長防止措置をされたから? それに誘拐されてるってことでしょだとしたら助けないと!


「ベロニカ! この水槽割れる?」

「割ろうと思ったら割れるけど、どうしたの?」

「この資料に水槽に成長防止措置を施した人間を入れてるって書かれてる!」

「人間……? っ! 人体実験か何かかな! すぐに助けないと!」


 そう言ってベロニカが砲撃銃で水槽を一撃で破壊する。そして水槽内の変な臭いのする液体と一緒におびただしい枚数の札を付けられた人型も流れ出てくる。


 私はその人型に近づいて急いで札を剥していった。札は防水加工されているみたいで、強引に引っ張っても濡れていないうえに丈夫なのか破れることは無かった。

 そして全ての札が剥し終わって──


「お、男の人?」

「嘘、私男性を直接見るのは初めてかも」

「私もよ……でもどうして成長防止措置なんてされていたのかしら? スキル? とかいうのが関係しているのかな?」

「スキルって何、ツィエラ」

「さっきの資料に書かれていたの源泉っていうスキルを持ってるからこの人は誘拐されて実験に使われていたみたい」


 そう言いながら男の人の心音を調べる。すると心臓が止まってる。息をしていない。けどまだ温かい。蘇生する余地はある!


「ベロニカ、この男性心停止してる! まだ温かいから今すぐ心肺蘇生するよ!」

「了解!」


 そして男性の胸に手を当てて心臓マッサージをしていく。心臓マッサージをする度に男性の口から液体が吐き出されていく。おそらくあの水槽に閉じ込められていたから肺にまで液体が入っているのだろう。


 それから心臓マッサージを続けること数分、ようやく男性の口から液体がでることが無くなった。これで多分肺から液体は吐き出させたと思うんだけど……。


「ねえ、ベロニカ。どっちが人工呼吸する?」

「それは……ここは水槽から助け出した特権として私が」

「でも文献で見つけ出したのは私よ?」

「……順番。順番に人工呼吸をしていこう」

「……そうね、平等が一番よね」


 ということで最初は私が人工呼吸をすることになった。この世界における男性の立ち位置とは希少で保護認定されている存在。めったにお目にかかれる異性ではないのだ。だから男性に興味を持つのは仕方のないことで……そう、それにこれは救命措置なんだから問題ないはず! さあ、やりなさい私!


 意を決して男性に口を付けて人工呼吸を行う。2度、3度繰り返してから再び心臓マッサージを始める。そして次はベロニカの番だ。ベロニカも頬を紅く染めながら男性に人工呼吸をしている。やっぱり恥ずかしさと嬉しさが混ざっているのね。


 そう思っていると、


「ゲホッ、ゲホッ!」


 男性が息を吹き返した。それから苦しそうに呼吸をしている。


「大丈夫⁉」

「息を吹き返したのね、これでなんとか命は繋げたわね」


 そして咳と呼吸を苦しそうに繰り返していた男性の息が整い始めた時、初めて男性が目を開けた。黒髪に黒目。今時珍しい色ね。でも顔は結構整ってる。年齢は私たちと同じくらいかしら?


 ベロニカが男性の背中をさすりながら声を掛けている間に私は男性の分析を進めていた。すると、


「君たちは、誰だ?」


 男性が口を開いて声を出した。しかも古代語で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ