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終末世界の生存競争  作者: 神凪儀天水


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12/29

12話

 そして午後。

 ベロニカたちが来るまでに家の中にある電子機器の使い方を教えてもらうことにした。


「こちらはラジオでございます。それぞれ8チャンネルありまして、各番号ごとの要塞の電波を捕まえて放送を聞くことが可能です。ただし他の要塞の放送は要塞同士が近づかなければ聞こえないことがほとんどです」


 ラジオ。帝国時代にはなかったものだ。一方通行の通信機みたいなものだな。あとで使ってみよう。


「そしてこちらキッチンにありますのはオーブンです。調理器具の1つでして、菓子作りにも使われております」

「昔でいう石窯みたいなもん?」

「そうですね、似たようなものです」


 オーブンは石窯。俺、覚えた。そして冷蔵庫は病室にもあったから説明はいらないが、あとはあれだな。


「こちらはインターフォンといいます。来客を知らせる時に音が鳴ります」

「今朝それから音がなってびっくりしたよ、使い方が分からないしなんかアイーシャが映ってたし」

「モニターで相手を映して知人かどうかを判別することで知人でない場合は無視することも可能です。むしろ知らない人からだった場合は身の安全のために無視してください」

「分かった」


 インターフォン。敵かどうか見分ける貴重な電子機器だな。確かに昔はそんなものは存在しなかったから扉を開けた瞬間襲い掛かられるなんてこともあったしこういうのがあると便利でいい。


 なんてアイーシャから電子機器の説明を受けていると、部屋に電子音が鳴り響く。それをアイーシャが即座に対応してくれる。


「アルス様、ベロニカと名乗る少女が来ておりますが」

「今日の来客予定の人だから家に入れてあげてくれ」

「かしこまりました」


 こうして俺は動かずともアイーシャがいることで出迎えもできるようになった。使用人がいる生活って便利でいいねえ。

 しばらくするとベロニカ……だけでなくツィエラとフィオーネもやってきた。


「こんにちはアルス様! 昨日ぶりですね」

「こんにちは3人とも。昨日ぶりだな」

「さっそく使用人を使いこなしてますね、上手くやっていけそうですか?」

「まあ大丈夫っぽい。それよりオーブン使うんだろ? 自由に使ってしまっていいから」

「いやーありがとうございます! 最新式のオーブンを使えるなんて腕が鳴りますねえ! アルス様の分も作りますから楽しみにしていて下さい!」


 そう言ってベロニカはキッチンへ行った。何を作るのかは知らないが、あれだけ張り切っているのなら下手なものはでてこないだろう。

 そしてツィエラとフィオーネは俺と一緒に椅子に座る。そこにアイ―シャが紅茶を出してくれる。


「アルス様の使用人って若いのね、何歳くらいなのかしら」

「俺も分からないけどなんか聞かない方がいいかと思って聞いてない」

「使用人は20代が選ばれることが多いですが、おそらく10代ですね。珍しいです」

「ところでアルス様、その小隊カタログって護衛用に渡されたやつ?」

「ああ、そうだよ。見る?」


 ツィエラが見ると言ったので手渡してやる。するとフィオーネと一緒に小隊カタログを見始めた。すると流石はAランク小隊だとかシャリエッタがCランク小隊なのにどうして私はまだEランク小隊なのかしら、などといろいろ言っているが本当にどうしてEランク小隊なんだろうな。


 そんな2人を眺めながら紅茶を飲んでいると、


「アルス様は護衛を付けるの?」

「検討中。だけどアイーシャからは絶対につけた方がいいって言われてる。俺が1人で図書館に行こうとしたら辿り着かないらしい」

「ああ、それは絶対に辿り着きませんね」

「過激派ってそんなに怖いの?」

「手段を選ばないので怖いわよ。それにここから図書館って少し距離があるから移動するのに時間がかかるし」


 移動に時間がかかるのか。なら俺も自動二輪コルソリアムクールスを貰うべきだろうか。だが運転ができないから持っても無駄か……いや、運転できる護衛を用意すればいいのでは?


 男性保護法の中に自動二輪コルソリアムとかクールスを支給してもらえる方法ってあったりするのかな。もしあるなら支給してもらって運転を任せればかなり楽に移動できる。だがたまには歩いて運動もしたい。少なくとも昔みたいな筋力は必要だろう。軍に入りたいし。


「男性で自動二輪コルソリアムとかクールスを持ってる人っているのか?」

「いないんじゃないかしら。男性は外に出たがらないし」

「他の男性の生活が気になるな……。それより俺って頼めば自動二輪コルソリアムとかクールスを支給してもらえるかな」

「それは頼めば可能だと思いますが、運転免許を持っていないと運転はできませんよ?」

「貰っても乗れなきゃ意味がない……」


 運転免許、とらないといけないのか。なんかめんどくさそうだな。というか男性が運転免許取るの許してくれるのか?


「一応聞くけど、男性が運転免許取ることってできるの?」

「無理でしょうね。男性が運転してるのがばれたらその乗り物ごと包囲されるわ。過激派に。それに運転免許を取る時って座学と実習があるけどどれも女性が担当官だから普通に男性は怖がって免許を取ろうとはしないわ」

「アルス様、少しよろしいでしょうか」

「アイーシャ? どうした?」

「運転免許をとるくらいなら運転できる護衛を付けてくれた方がありがたいです。というより間違いなく要塞側からもそう推奨されます」


 ふむ、俺が運転免許を取ることは難しそうだな……。運転ができて護衛ができる小隊なんてあるのか? いや探せばあるんだろうけど、取り敢えずはE11小隊に聞かないことにはどうにもならない。


「E11小隊でクールス運転できる人いる?」

「ベロニカと私ができるわよ?」

「じゃあ護衛はもうE11小隊にしよう。他の小隊とは関わりないし」

「それは軍の上層部次第ね」

「軍の上層部?」


 どういうことだ? 男性の保護の護衛は男性が好きに決めていいんじゃないのか? それともランクに制限があるのか? いや、だとしたらそもそも護衛の小隊カタログにEランク小隊なんて載せないだろう。つまり他に何かあるということだ。


「私たちの小隊は軍の上層部から嫌われてるから。そのせいで一向にEランク小隊から昇格できないし。多分私たちを指名しても別の小隊を勧められるわよ?」

「別に一般の女性たちから俺を守るだけだろ? モンストルムと戦うわけじゃないんだからEランク小隊でも問題ないとおもうんだけど」

「確かにモンストルムとの戦闘はないわ。それに護衛任務についたら解任されるまでもうモンストルムとの戦闘をすることもないでしょうし。相手はただの女性だけだから護衛に差しさわりはないの。でも上層部がきっともっと上のランクの小隊を勧めるわ。私たちに、というより私にいい思いをさせないようにするためにね」

「ツィエラってなんでそんなに軍の上層部に嫌われてるんだ?」

「私の母が軍の少将なのよ。だから軍に入って小隊を作ったら親の七光りって言われてね、そのせいで依頼は危険度の高いものが回って来るし、昇格は中々させてくれない」


 どこの組織もやっぱり腐ってるところは腐ってるんだな。帝国も宰相が腐ってたから民には嫌われてたっけ? 皇帝はいい人だったけど。


「いつの時代も組織って腐ってるんだな、たかがお偉いさんの娘って理由で嫌われるなんて馬鹿げてる。でもその割に小隊のメンバーは4人もいるんだな」

「ベロニカは幼なじみだから一緒についてきてくれたのよ。フィオーネは結構説得したけど」

「そういえばそんなこともありましたね、今となっては懐かしいです」

「懐かしいってまだ1年も経ってないわよ」

「あとの1人って入隊予定って書いてあったけどなんでまだ入隊してないんだ?」

「まだ学園を卒業してなかったのよ。で、もう少ししたら軍の入隊式があるから、その日付けでE11小隊に配属予定よ」


 学園に通っていたのか。それでまだ軍に入れなかったと。つまり学園にいるころから才能に目を付けていたのか? それはそれでやるな、ツィエラ。


 そうやって俺たちが軍についてやら護衛についてやら話をしていると、結構な時間が経っていたらしく、ベロニカができたてのクッキーを皿に盛ってやってきた。


「みなさんできましたよー、最新式のオーブンを使って最初だからクッキーを焼いてみました! 上手くいったので次はもっと凝ったお菓子を作りますね」

「次があるのか……」

「もちろんです! またオーブン貸してくださいね、アルス様」

「まあいいけど」

「それじゃあ食べましょう、結構な自信作ですよ!」


 そして俺たちはベロニカの作ったクッキーを食べ始める。バターの香りがするクッキーはほどよい固さで食べやすく、そして美味しかった。


「……美味いな」

「そうでしょう! 私はお菓子作りが得意なんです!」

「なら今度バターケーキ作ってくれよ」

「いいですよ! でもどうしてバターケーキなんです? もっと凝ったものも作れますよ?」

「孤児院にいた時にシスターが良く作ってくれてさ、それが美味しくて好きだったんだ」


 懐かしいな。シスターの作ったバターケーキが美味しくて子供の頃は何度もねだった記憶がある。それもエルマリアと一緒に。こっそりエルマリアとバターケーキを作ろうとして失敗して怒られたこともあったっけ?


「そうだったんですね、じゃあ次はバターケーキを作ってあげましょう!」

「ああ、頼むよ」

「それよりアルス様は邸宅の護衛はもう決めたんですか?」

「それがツィエラがE11小隊にしても他を勧められるって言うんだよ」

「あー……その可能性はありますね、というか高いですね」


 ベロニカも他を勧められる可能性が高いと判断するのか。まったくいつの時代も組織ができるとすぐに腐り始める。どうせ内部では派閥とかも分かれてるんだろうな。


「親が少将だからって普通嫌がらせするか? むしろ逆だろ、おだてて覚えを良くした方が有意義だと思うけど」

「私の親はそういうの嫌いなのよ。昇進・昇格したければ実力で昇りつめろって言うタイプなの」

「ああ、媚び諂っても無駄なのか、そりゃ嫌がらせになるな」

「嫌がらせがなければ今頃私たちだってCランク小隊だったのに!」

「この小隊ってそんなに任務受けてるのか?」

「そうね、回される任務が危険度の高いものばかりだから本来ならもうCランク小隊になっていてもおかしくはないわ」


 本当に軍の上層部が嫌がらせをしているせいで昇格ができないのか……。だがいつまでもEランク小隊だと不便じゃないか? それで危険度の高い任務を回すって相当悪質だな。だけど物の試しにE11小隊に護衛依頼だしてみるか。


 それからまた雑談をして盛り上がりながらベロニカの焼いたクッキーを食べて午後を楽しんだ。


「それじゃあ今度はバターケーキ作りに行きますね!」

「アルス様、体には気を付けるのよ」

「アルス様、またお会いしましょう」

「ああ、またな」


 こうして3人は帰って行き、夜になったので俺は夕食を食べて眠ることにした。

 ちなみにアイーシャは俺の部屋から1番遠い部屋を選んだらしい。

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