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1話 転生だねー



 …はいっ、私、転生しました!


 転生っていうのはあれですね。ラノベでお馴染みのチート云々とか、ゲームの中、本の中とか、色々ござれなファンタジー的何それ的なアレですね!どういうこっちゃ!


 いやー…もうね、もう一度言うけどね、転生ですよ…。


 普段からラノベとかアニメ化されたヤツとか読み漁っている系民族の私たちからすれば、「まさか私、転生してる〜!?」とか「この体ってあの小説のあのキャラ!?」とか聞き飽きすぎてる感じだと思うんだけど、これさ、今現在の私にはナウに起こってる不思議現象なわけでさ、「そのリアクション、そろそろ飽きたって〜」で済ませられる問題じゃないわけでさ!……なので、ちょぉーーーっとお待ちくださいな。



 スウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…


 はーぁ…



 ただいまっす。


 現状報告に入ります。


 まずは新しい身体の特徴からってことで、近くに置いてあった手鏡を拝借。



 ぬぅ!?ぅ…うおっほいッ!なんじゃこの顔は!


 …………美形だなぁオイ!…うわ、……やっば、…ヤッベ、……な、これ…やわ、…………はぁ?


 自身の頬を上下左右に揉みしだきながら、心境を感動と驚きと疑問に埋め尽くされている現状のままでは、一向に ”ヤバい美形” 以外の説明にならないので一旦冷静に整理する。


 まず最初に目につくのは髪の色。何て言うか、本当に真っっっ白だ。日本でも老人ホームとか昼時の公園などではありふれていそうな色合いなのだが、これは草臥れて色素の抜けた白髪というより、絹ッ!って感じの柔らかい白髪。


 見た事のあるイメージの中で一番近いのはロシア人や北欧系だろうか。多分。…そして白いのは髪だけで無く肌もだ。触った感じでは透明感とハリがあって、もっちもちのすっべすべ。産毛どころか毛穴の一つも見当たらないシルクみたいな肌をお持ちだ。


 加えて目の色はローズピンクと桃色のグラデーションで、光を反射するたびに複雑な色合いが現れて何時間でも見ていられそうな出来栄え。カラコンとかじゃ絶対にここまで綺麗な目にはならんよな。人の目を宝石に例えるのはもうだいぶ時代遅れな感じが否めないが、この目はマジにルビーとか(宝石に詳しくないからピンクの宝石が出てこない…悔しい…)そういう感じに例えても不足ないと思う。

 私の瞳に乾杯!


 次に、自身の体を見下ろして肉体の発達具合から推測するに、年の頃は恐らく小学校低学年あたり。赤子の頃から持ち寄った可愛さに加えて、段々と憎たらしさを身につけてくるお年頃だ。

 しかしビジュが可愛い。キレたくなるほどに可愛い。この可愛さだったら多少の憎たらしい行動なら何にも気にならないのではないだろうか。


 まあ敢えて気になる点を一つあげるなら、あんまりこの顔だと主人公って感じがしないところかな。


 どっちかって言ったら、悪役とか…ヴィラン系のビジュかなって……、まあ、どっちかって言ったらだけどね!破滅エンドを迎える悪役に転生とか良くあるよなとか思ってないよ。うん。悪役の後ろに映ってるちょっとした脇役とかだよね、うん。だって私にはこんな感じのキャラ見覚えないもん、大丈夫さ、私は何も知らないから。


 ちょびっと頭を出してきた不安の種を奥の奥へと押し込みつつ、解りもしない不安に頭を悩ませるのは無駄だと視線を手鏡の中へ戻す。




 ビー クールだ、白髪の美少女よ。


 混乱というか、ちょっとしたパニック状態にあったため、こんな深夜ばりのテンションで唐突な一人喋りをはじめていたが、きっとこの後はもう少し落ち着き払った良い感じに格好良い私をお届けできるはずである。多分ね。


 実を言うと、今の時点で既に元の自分だった頃の記憶が朧げになっていたり、この体に元からあったらしい記憶を読み込んで、それによると白髪はこの世界で”不吉な色”らしかったりして、もう先行きが不安になって少なからず憂鬱な気分なのだが、きっと頑張って生きるしかないのだろう。



 あー、1人って寂しいなー。


 自分の本当の名前がわからないって悲しいなー。


 …キリンのビールが恋しいなー。




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