輪ゴムが捨てられないのです
ごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ。
皆さまは捨てられず、ついつい集めてしまうものってありますか?
今日はそんな捨てられないモノのお話。
輪ゴムが好きだ。
あの丸くゆるいフォルム、適度な締め付けが好きで、幼い頃は髪の毛をハリネズミのように無数の輪ゴムで縛るのが大好きだった。
太く束ねて魔族の角にしてみたり、アニメのキャラに似せようとしたこともある。
ハリネズミのまま幼稚園に行ったら、先生に怒られたのは今でもショックな出来事だ。母は可愛いから大丈夫って言ってくれたのに……
大泣きする私にびっくりして出てきた園長先生がそのままで大丈夫よ、と言ってくれたが、もう二度とハリネズミで行くことは無かった。
以前働いていた職場では、毎日大量の輪ゴムが捨てられていた。
真新しい半透明の綺麗な輪ゴムだ。まだまだ現役バリバリ、伸びしろしかない輪ゴムだけに。
可能性の塊である輪ゴムがみすみす捨てられてゆく状況に私の我慢は限界だった。
「社長、輪ゴム貰って良いですか? 捨てるのもったいないんで」
「え!? あ、うん、どうせ捨てるだけだから好きなだけ持って行きな」
昔のエッセイにも書いたが、プチプチやラップの芯を集めている私のこと、輪ゴムくらいでは社長も動じない。さらに言えば、プチプチの切れはしももらっている。
それにしても好きなだけ……!? これはあれだな……輪ゴムのビュッフェスタイル取り放題じゃないか!
歓喜した私は、これまた捨てられているジップロックをもらって、各サイズごとに回収するようになった。特に極太の輪ゴムはレアなので、ホクホクしながら持ち帰る日々。
ちなみに、私は輪ゴムを持っていないと落ち着かないので、ポケットには必ず輪ゴムが数本入っている。落ち込んだ時や体調が悪いときは輪ゴムを指の腹で転がしたりびよーんと伸ばしたりすると落ち着くのだ。
人が居ないところ限定ではあるけれど、指鉄砲で「バーンッ!!」とか言いつつ輪ゴムを放つのもおススメしたい。
そんな輪ゴム天国を味わっていた私だったが、ある日気付いた。
――――もう置き場所がない。
そうなのだ。私の部屋はすでに輪ゴムの袋が積み上げられており、圧倒的な存在感を放つようになっていたのだ。
その数……三万以上(適当です
間違いなく我が部屋内最大勢力、上杉、武田並みと言えばその強大さをわかってもらえるだろうか?
捨てるという選択肢はない。
何か良い使い道はないだろうか?
非常時には輪ゴムで脱出用の梯子を作るつもりなので、ある程度の蓄えは必要。
とりあえず一本ですむところを、大胆に四、五本使ってみる。
これはいい!! 背徳感と贅沢緩が混然一体となって、さらに安心感が違う。守られているという感じがする。
――――開けるとき面倒くさいけどね。
細かい部分の掃除に利用してみる。
ホコリなんかが取れて便利かもしれない。
昔、父が割り箸と輪ゴムを使って銃を作っていたことをふと思い出す。
色々調べて連射式の銃が完成した。
思ったよりも楽しい。だが輪ゴムは減らない。
滑り止めと称してボールペンを大量の輪ゴムでぐるぐる巻きにしてみた。
たしかに滑らないけれど、持ちにくい。
そういえば……輪ゴムは伸びるときに熱を発するんだったな。
冬場に使えるかもしれないと腕に大量に通してみたら、思った以上に暖かい。
でもこの姿で外には出られないと気付く。
輪ゴムは減らないのに、毎日捨てられてゆく輪ゴムを見るたび、私の心は痛む。
――――神さま、どうか輪ゴムが食べられるようになりますように
1917年(大正六年)、オーバンドで有名な共和は、世界で初めて低コストで透明感のある柔らかい輪ゴムの生産に成功した。
あれから百年以上――――
次は食用輪ゴムの出番ですよ、期待しています!
ちなみに、株式会社共和さまのHPによると、オーバンドという名前の由来は、「ゴムバンドの王様」「O型のゴムバンド」など諸説ある中、「Oh!これこそ本当のゴムバンドだ!」という説が有力視されているそうです(笑)