異世界転移
僕がサンドバックになればよかった。でも現実はそう単純にはいかなかった。
僕が五歳の誕生日を迎えた日、突然母の行方が分からなくなった。父と一緒に母が行きそうな場所をくまなく探したが母の手がかりはいっさい見つからなかった。
その翌日、父はなぜか慣れない畑仕事を始めた。野菜を育てるためらしい。庭に白い粉を大量に運び込んでスコップで大きな穴を掘っていたことを幼いながらも覚えていた。
この映像がただの夢なのか実際に起こったのかは不明だ。最近そんな夢をみることが多くなった。
「嫌な夢だな」
ネットカフェのシートの上で仰向けに寝そべり、スマホをいじっている。
「どうやらまだニュースになっていないようだな」
にわかに信じられない。僕が父を殺すなんて。あんなことしておいて殺されて当然だ。でもたとえ正当防衛だとしても僕は父を殺してしまったのにはかわりない。
今頃学校のみんなはゴールデンウィークの真っ最中なんだろうな。
腕にあるアザを見ながら物思いに耽る。
スマホを放り投げ左手で目を覆う。心地の良いクラシックの音楽が店内に響いている。
高校1年5月18日、父が死んだという知らせを受けた。僕にはもう関係ないことだ。やっとあの苦痛から開放されたんだ。
突然のことでどうしていいか分からない。シングルファザーなので頼る人がいなかった。
父の遺体を放置してネットカフェに逃げこんでいた。高校生の僕には荷が重すぎる。
「これからどうすればいいんだ……」
お金もないし、住む場所もない。これからどう生きていけばいいのか。
いくら考えても良い案が何もでてこない。沸沸と今後の不安が沸き上がってくる。なんだかんだあってもずっと親の支配下の元で生きてきたんだ。急に放り出されても困る。
「いっそ、死んじまいたいな」
そんな言葉が漏れた。死ぬつもりなんて微塵もなかったがいずれはそうなるだろう。
ふとどこからか女声が聞こえくる。聞いたことない声だ。
「Bless me with your faculty. Come on, my toy! Making my Syota in the magic circle.」
「えっ?」
気がつけば自分のまわりに魔法陣のようなモノが広がり、その中に僕の体が吸い込まれる。
「I'll have my Syotaexciting my hurt! インフォケーション!」