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Slinger - スリンガー -  作者: 速水ニキ
第二章 因果ノ楔
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強襲作戦 p.4

 風を切り裂き、空中から猛スピードで落下したメリッサは道の真ん中に刺さった避雷針リードランスとそれに接近していた財閥の兵士達の間に着地した。

 着地の瞬間にメリッサの足元で爆炎が発生、凄まじい衝撃が辺りへ広がり、地面を揺るがす。


 熱波は避雷針リードランスに向かっていた兵士達を立ち止まらせ、空から舞い降りたスリンガーを前に装備しているアサルトライフルを構える。

 戦闘服を着た兵士達は手慣れた様子で銃を構え、彼らが戦闘経験豊富であることをメリッサは瞬時に察知する。


「”組織”のスリンガーだ! 撃て!」


 兵士達がライフルを構え、一斉にメリッサめがけて発砲。

 だが、メリッサは拳を道路へ叩きつけると、爆炎の波が前方へと吹き出し、衝撃が拡散すると飛来してきた銃弾全てを焼き尽くす。


 炎の波はそのまま兵士達をも巻き込み、後方へと吹き飛ばす。

 兵士達は地面へと叩きつけられ、急いで起き上がって反撃を試みる。


 しかし、メリッサの後から飛行船を飛び降りたスリンガー達が続々と到着し、兵士達とメリッサの間に着地していく。

 スリンガー達も己の銃を財閥の兵士達へと向け、”組織”と”財閥”、それぞれが武器を構えて一触即発状態となった。


「無駄よ。命が惜しかったら立ち去りなさい」

『そうだそうだ! 今日のメリッサちゃんは力の温存なんざ必要ねぇから厄介だぜぇ!』


 メリッサがルーズを兵士達に向け、そのルーズが野次を飛ばすも相手は狼狽えず、仲間同士互いに顔を見合わせ、頷く。


「お前たちだけが特別だと思うなよ、スリンガー!」


 兵士達が腕に巻いていた黒い端末をおもむろに取り出すと、そのスイッチを押す。


『命令待機(Stand by)』


 端末は起動すると同時、そのボディに緑色のラインを引いて輝き、機械音声を流す。

「イクス・オン!」

『転身開始(Equip)』


 音声認識とデバイスからの命令受諾の返事が鳴ると、異変は起きた。

 兵士達の背中に這うように装備された、骨の形をした外装が生物のようにうねり、変形を始める。


 機械は兵士達の身体を鎧のように絡みつつ、その伸縮を外側へと延ばす。

 変形を重ねたそれは蜘蛛の足に似た触手へと姿を変え、兵士達はそれぞれ背中から八本の機械の腕を出現させた。


『ハァ?! なんだありゃ!』

強化外骨格パワードスーツ?!」


 ルーズとメリッサが同時に声を上げ、兵士達は一斉に駆け出す。


「攻撃開始!」


 急ぎ、メリッサも命令を下した。

 対峙していた両陣営は同時に発砲し、銃撃戦が幕を切って落とされた。

 スリンガー達が持つ大口径のハンドガン、通称ヴォルフは、使用者の渦と攻撃対象者へ抱く感情を媒介に弾の生成と弾丸の威力を向上させる邪術兵器だ。


 その威力は並大抵ではなく、通常兵器やちょっとした防弾装甲などを軽く突き破る威力を保有している。

 スリンガー達はヴォルフを矢継ぎ早に発砲し、その轟音は街中に鳴り響く。


 すると、財閥の兵士達は背中から生やした機械の腕を自身に巻きつかせ、その場にしゃがみこんだ。

 丸みがかった即席の要塞に身を隠した兵士達を銃弾の雨が襲うも、弾丸は鋼の壁に食い込み、中の兵士までは届かない。


「ヴォルフの弾丸を防いだ……装甲車くらいなら簡単に貫けるのに」


 銃撃が効かないことに驚いていると、財閥の兵士達が触手の隙間を縫ってアサルトライフルの銃口をのぞかせた。


 お返しとばかりに今度は前方から銃弾がスリンガー達を襲う。

 ある者は道を逸れて建物内や障害物に隠れ、近くに身を隠す所がない者は着用しているロングコートで身を包んで屈む。


 生きた獣の皮から作られた衣類は銃弾程度なら防ぎ、傷が付いたとしてもしばらくすると再生される仕様だ。

 メリッサもロングコートを盾にして身を屈ませ、銃弾を撃たれながらも相手の様子を伺う。


『おいおい、なんか敵の武器すごくねぇか! 強化外骨格なんざ初めて見たぜ!』

「あれがジークとリーエンの国から流出された兵器ということね。技術水準が明らかに組織と同等かそれ以上よ」


 鳴り止まない銃弾はメリッサ達スリンガーを攻撃し続けるも、長くは続かない。

 ライフル内の弾丸が底を尽き、一瞬だけの間が訪れる。


「近接戦闘! 敵の兵器も無傷じゃない! こちらの邪術と弾丸を打ち込み続ければ勝機はある!」


 メリッサは身を覆っていたロングコートを翻して立ち上がり、右手に銃を、左手に腿に下げていたナイフを掴み、突進する。

 敵に向かって走りながら弾丸を何度も打ち込み、敵の強化外骨格へダメージを与えて、注意を引く。


 機械の触手に包まれていた敵がリロードを終え、銃口を再び触手の隙間から突き出して攻撃を再開。

 だが、メリッサは足へ爆炎の邪術を発動させ、足元の爆発から生まれた推進力を利用した高速移動、”ラビットダンス”を発動。

 人間の限界を超えた移動速度は、数舜前までメリッサがいた場所に小さな炎だけを残し、財閥の兵士の視界から姿を消す。


 一瞬にして手前の兵士の眼前へと現れたメリッサは、炎をまとった蹴りを、銃弾である程度ひび割れた機械の腕へと叩きつける。

 再び生じた爆炎は傷口を拡大させ、機械の腕ごと中の兵士を吹き飛ばす。

 爆発によって強化外装の腕一本が吹き飛び、兵士の姿が露わになった。


 間髪入れず、メリッサは銃を構え、一瞬の間を置いて引き金を引く。

 銃弾は狙いたがわず目標の脳天を貫き、絶命へといたらしめる。

 その様を目撃した敵兵士達は、こもり続けるのは不利と判断し、防御に回していた腕を展開した。


「くそ、応戦しろ!」


 兵士達は機械の触手と装備していたアサルトライフを構え、スリンガー達との近接戦闘へ移行する。

 シャム、気を付けて。

 胸中で同僚のシャムの無事が気がかりになるが、近くにいた財閥の兵士へ突撃してその不安を無理やり払う。

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