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【コミカライズ】病んでるときも健やかなときも ~病んだ元王太子の婚約者になったので、全力で癒して健やかにしてみた~

作者: 咲倉 未来

一迅社様より1/31に発売されるアンソロジーにコミカライズ収録させていただくことになりました。

応援して下さった皆さま、ありがとうございます!

••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••

単話配信もスタートしております!

画面スクロールの最後に紹介があります。

ぜひご覧ください!


「セレナ、お前と第二王子の婚約は白紙となった」

「お父様、今度は一体なにをしたのですか?」


 愛娘の婚約白紙が余程嬉しいのか、オセアン公爵はセレナに睨まれてなお、笑み崩れる。


「私はなにもしていな――」

「嘘を吐かないでください」


 セレナは被せるように、父の言葉を否定する。


 オセアン公爵が娘のセレナを溺愛しているのは、有名な話だ。


 亡くなった妻に瓜二つの娘に、悪い虫がつかないよう領地に留め、家人は女人と男は初老の者しか置かない徹底ぶり。

 茶会は、オセアン公爵家主催のもののみ参加が許されていて、もちろん招待客は公爵のお眼鏡に適った()()()()が招かれる。


 オセアン公爵の奇行は、これだけにとどまらない。


 セレナは一人娘のため、将来は婿をとり公爵家を継ぐ身。

 実は、王太子の婚約者候補にと国王から内々に打診を受けたことがあったのだけれど。

 このときオセアン公爵は、娘の姿絵をワザと冴えなく描かせて、病弱で領地から出られない設定をでっちあげた。


 ねつ造した釣書を、堂々と王家に送りつけたのである。


 その甲斐あって、セレナは候補選定の茶会すら招かれずに落選した。

 もはや父の愛は、溺愛を通り越して執着の域に達している。


 セレナは、年々酷くなる父の過保護に危機感を募らせ、また十六歳になり婚期を気にするお年頃にも差し掛かったせいか、切羽詰まっていった。


(このままでは、私は結婚すらできなくなってしまうかもしれない。なんとかしなくては!)


 母を亡くした悲嘆ゆえだと、父の愚行を最大限許容してきたセレナだったが、この件だけは譲れなかった。


『我が公爵家の存続が危ぶまれます。ちゃんと相手を見繕ってきなさい! このクソ親父!!』


 セレナは生まれて初めて父を口汚く(ののし)り、言われたオセアン公爵もショックで寝込んだ。


 その後、反省したオセアン公爵は知り合いに声をかけて、一応真面目に婚約者候補を探し始めたのだが。

 それが人伝に王家の耳にまで届くと、事態は思わぬ方へと転がった。



 実はこの国の王家には、七人の王子がいる。王太子以外の六人全員に、将来平等に爵位と領地を授けるのは難しい。

 国内の貴族へ養子に出すか、他国へ出向いて婿に入るか。なにせ六人もいるので、国王は機会を逃さぬよう目を光らせていた。


 もしかすると、セレナが王太子妃選定から外れた時点で、目を付けられていたのかもしれない。


 オセアン公爵家に、第二王子ファウストとの縁談が舞い込んだのだ。


 断れないので了承したが、オセアン公爵は第二王子を気に入ってはいない。

 ことあるごとにセレナに相手の悪口を吹き込んでいる。


 セレナは父の愚行に呆れかえり、それらを無視して第二王子との面会になんとか漕ぎ着けた。

 互いの印象は悪くなく、次は二人きりで会う約束をしたところだったのに。




「王家からの縁談を断るなど、お父様はなにを考えているのですか!」


「セレナ、婚約白紙は王家からの申し出だ。代わりに第一王子との婚約を押し付けられた」


「は?」


 (さかのぼ)ること半年前、この国の王太子が落馬事故にあった。

 幸い命に別状は無かったが、運悪く足に大怪我を負ったそうな。

 日常生活に支障のない程度に回復する見込みだったが、その後のリハビリで無理をし、悪化させてしまう。


 今では、寝たきりで部屋から出てもこないらしい。




「第一王子が王太子から外れることになった。次の王太子指名はまだないが、第二王子が有力だろう」


「それで、お父様が先んじて婚約白紙を申し出たのですか」


「いや違う。王太子と婚約していたエストレア公爵家の令嬢が、自らは王太子妃となるべく励んでいたから、第二王子の婚約者になりたいと言い出して根回ししたそうだ。我が家は、そのとばっちりを受けたのだ」


 父のこめかみに青筋を見つけて、セレナは開きかけた口を静かに閉じた。


 愛娘が一方的に婚約白紙を求められ、その上、第一王子(やっかい者)まで押し付けられたのだ。


 普通の父親でも激怒する話である。


(お父様、よく耐えてくれましたね。その場でキレて揉めないでくれて、本当に良かった)


「セレナ、嫌だったらすぐにお父様に言うんだぞ。どんな手を使ってでも断ってやるからな」


 冷笑を浮かべるオセアン公爵は、娘に嫌われたくないから一度これらを受けて、話を進めただけである。

 折を見て、手を打つ気満々だ。


 そうとは知らないセレナは、第二王子との婚約を少し残念に思ったものの、塞ぎ込んだ第一王子の心労を思いやった。

 ついでに自分の婚約の行方も心配で仕方ない。


「貴族の婚姻など政治が絡むものですから。このお話、お引き受けします」


 受諾の返事をし、セレナはお気に入りのバルコニーへと向かった。


 仲良しの大型犬サンドも連れ、掃き出し窓を開けて外に出る。

 眼前に広がるサンセットに、潮の香りと波の音。

 病に蝕まれた母を車椅子に乗せて、ここで一緒にたくさんの海を見てきた。


 嫌なことも暗い気持ちも、波の音は全てを消し去ってくれる。


「サンド、新しい婚約者の方は、この海とアナタのことを気に入ってくれるかしら」


 ワン! とサンドが返事をくれたので、セレナは満面の笑みで頷いた。

 第一王子との婚約話が整うと、セレナはぶつくさ文句を言う父の背中を押して、王都へと出発したのだった。



 ◇◆◇◆


 約束の日、登城したセレナの前に現れたのは、第二王子ファウストと、新たに彼の婚約者に納まったエレストア公爵家令嬢のレジーナであった。


「やあ、久しぶり。今回の件はお互いに大変だったね。でも、私たちは仲を深める前だったし、その点は不幸中の幸いだったと思っている」


 どうやら、レジーナにセレナとの仲が政略以外に他意のないことを見せるため現れたらしい。


 レジーナは、我が侭を通し満足しているのだろう。

 愉悦(ゆえつ)を含んだ顔で、セレナを見たあと、ファウストと視線を絡めて腕に撓垂(しなだ)れた。


「仕方ないとはいえ、わたくしの元婚約者のことを、よろしく頼みますね。太陽のごとく輝かしい方だったのに、今は見る影もありませんの」


「心得ておきます」


 まだ一度も対面したことのない相手なのだ。

 前がどうのと言われても、セレナには分からない。

 ただ、こんなにも近しい人たちから距離をとられて、他人に丸投げにされる第一王子が不憫(ふびん)だとは思った。







 セレナは、第一王子の寝室へと通された。


「お初にお目にかかります、ロベルト様。セレナと申します」

「ああ、初めまして」


 返事はあったが、視線は宙に向けられたままだ。

 褐色に赤味のある髪は肩まで伸び、少し頬もこけているように見える。

 セレナは、なにを言えば良いか分からず、しばらく様子を窺うことにした。


 やがて沈黙に耐えかねたのか、ロベルトが掠れた声で話し出す。


「割に合わないと思っただろう。断ってくれて構わない。――ああ、そちらからは断りづらいのだったか」


 その様子が、病床の母の姿と被って見えた。

 本人が一番つらいはずなのに、放っておいて欲しいと何度も言っていた。

 その言葉を耳にするたびに、父が母を諭し、繰り返し口にしていた言葉を思い出す。



 ――病めるときも健やかなるときも、共に歩むと誓い合ったのだから、遠慮せずに頼ってくれたほうが嬉しい



 ロベルトの顔が、ゆっくりとセレナに向けられ、そのレンガ色の瞳に光が灯る。


「まだ、誓った覚えはないのだが」

「っ! そうですね。結婚が成立してからでしたね!」


 セレナは、父の言葉を思い返したつもりだったが、どうやら口にしていたらしい。

 恥ずかしくなり、慌てて別の話題に切り替えた。


「もしよろしければ、我が領地で療養(りょうよう)しませんか? 車椅子の母が過ごしやすいよう作り替えた邸がありますの」


 こんな所で、ひとりぼっちでいたら、本当に歩けなくなってしまう気がした。


「あなたは、それでいいのか?」

「特に、嫌というものはありませんね」


 ロベルトの目が大きく見開かれる。


 セレナは、この婚約話がそんなに悪いものに思えなかった。

 足が少し悪いだけで、母のように不治の病に侵されてもいない。

 気落ちして回復できないロベルトが、なんだか勿体ない気さえしていた。


 悪いことなどなにもない。ちっとも分からないと首を傾げて、セレナは笑う。

 これも、父が亡き母にしていた仕草のひとつだった。




 ほどなくして、セレナはロベルトと婚約し、オセアン公爵家の領地にある邸へと移ることになった。


 セレナとロベルトが邸に足を踏み入ると、サンドが嬉しそうに駆け寄ってくる。


「サンド、待て!」


 セレナの言葉で、サンドはピタリと止まった。

 しっぽをブンブン振りながら、ヨシと言われるのを待っているようだ。腰がちょっとだけ浮いている。


「ロベルト様、サンドです。人懐っこい子なんですよ」

「ああ、立派なゴールデンレトリーバーだな」


 二人が会話していると、耐えられなくなったサンドが車椅子に座るロベルトの膝の上に前足を乗せた。


「あ、サンドったら! まだヨシはしてないわよ」


 サンドはしょんぼりとして、ロベルトの膝の上に顔を乗せて目で不満を訴えた。

 怒られてもロベルトの膝の上から離れる気はないらしい。


「ふっ」


 サンドの仕草に、ロベルトが口元を綻ばせた。

 その小さな変化をセレナは見逃さない。


「サンドばかりずるいわ。ロベルト様、次は私の歓迎を受け取って下さいませ!」


 セレナは背後に回り込み、行きますよ、と声をかけて車椅子を押した。


「き、君が動かすのか? 家人に頼むのではなくて?!」


「母の車椅子を押してましたから大丈夫です! まずは私のお気に入りのバルコニーを紹介しますわ」

「ワン!」


 ロベルトが戸惑っている間に、セレナは慣れた様子で車椅子を押していく。

 掃き出し窓を開けてバルコニーまで出ると、波の音と潮の香りがロベルトを包んだ。


 ロベルトが景色に目を奪われているあいだに、セレナは車椅子を固定し用意していたブランケットを広げる。

 自分が座る椅子を持ち出してきて、その横に一緒に並んで海を眺めた。


 こうして、ただ過ごすだけの時間がセレナは好きなのだ。

 ロベルトも特になにもしゃべらずに、ぼんやりと海を見つめている。



 風が冷たくなり室内に入ったあとは、セレナは体を温めるために紅茶を淹れた。


「侍女や執事はなにをしているんだ?」


「部屋の外で待機しています。呼べばすぐにきますわ。私がなんでもしてしまうのは、母が、他人が部屋に入るのを嫌がったせいです。今もつい癖で全て自分でしてしまいますね。慣れると頼む方が面倒なのです」


 淹れた紅茶をロベルトに差し出し、セレナは悪戯っぽく笑う。


「そうか」


 二人きりの時間は、存外居心地がよく、ロベルトはゆっくりとお茶を飲んで体を温めた。




 セレナは、ひとり甲斐甲斐しくロベルトの世話を焼き続けた。


 その働きっぷりは隙が無く、ロベルトが棚の上に飾ってある写真立てに目をやると、すぐにセレナが持ってきてくれるし、邸内の車椅子移動も、自分でハンドリムを押す前にセレナがスタンバイするのだ。



 ロベルトは、早々にこの状況に耐えられなくなった。



 そもそも、リハビリすればある程度歩けるようになれるはずなのだ。

 いつまでもセレナの手を借りて甘えてばかりいるのは、矜持が許さない。


「私は明日からリハビリしようと思う」

「では専門医の方を呼びましょう!」

「ワン!」


 翌日からロベルトはリハビリを再開し、一カ月過ぎるころには、杖をついて邸を移動できるようになったのだった。




 邸内を自由に歩けるようになったロベルトは、良く喋り笑うようになった。

 太陽と称された本来の姿に戻ったのだろう。セレナもそのことが嬉しいようで、二人はいつも仲睦まじく一緒に過ごしていた。


 ある日、セレナがサンドの散歩に出かける準備をしていたので、ロベルトも一緒に付いていくことにした。


「はじめて、邸の外にでかけるとおっしゃいましたね」

「そうか。――そうだな。なぜあんなに塞ぎ込んでいたのか、もう思い出せないな」


 城では周囲の憐れむ目がいたたまれなくて、部屋に籠るようになってしまった。

 そのままズルズルとベッドに寝たきりになり、何もかもがどうでもよくなってしまったのだったか。


 場所を変え、対峙する相手が変わっただけで、ロベルトの世界は様変わりした。


 セレナの隣にいると、ロベルトは自分が何も欠けてなどいないような気になれる。

 実際は、歩けば時折痛みが走るし、日中動きすぎれば夜は足が熱を持つのだけれど。


 周囲に(かしず)かれて王太子として過ごしていた記憶すら(おぼろ)げになるほど、セレナと過ごす今が心地よかった。



 邸の近くにある浜辺が、サンドの散歩コースだ。

 砂浜は足がとられるため、ロベルトは浜の手前で腰を下ろして待つことにした。


 セレナは落ちていた棒切れを拾うと遠くに投げ、サンドがそれを喜んで取りに行き戻ってくる。


「いい子ね、サンド」

「ワン!」


 何度か繰り返しながら、サンドと遊んでいたセレナだったが、待たせているロベルトのことが気になり、時折そちらを向いて手を振ってみる。

 直ぐに手を振り返してくれるので、そのたびに安心した。


(あ、でもお母さまじゃないから、具合を気にする必要はないのよね)


 日々元気になるロベルトは、ゆっくりと衰弱していった母親とは真逆だ。

 これからも元気なまま、セレナと一緒に過ごしてくれる。

 セレナのことを置いていったりはしない。


 そのことが嬉しくて幸せな気持ちがあふれだし、棒を持ってきたサンドを思わずぎゅっと抱きしめた。



 その時、ビュッと強めの風が吹き、セレナの帽子が空へと舞い上がって海におちた。

 それを、サンドが追いかけて海に入ってしまった。


「サンド! ダメよ。戻って」


 慌ててサンドを連れ戻そうとしたセレナは、少し高めに寄せた波に足元を取られ、そのまま転んで海へと浸かった。

 慌てて立ち上がり浜に戻ろうとしたのだが、海水を含んだ服は重たく、もたもたしている間に、次の波が彼女の頭に降り注いだ。









「――、セレナ!」


 一瞬、何が起きたのか分からず、ついで激しく(むせ)て咳が止まらなかった。

 苦しくて体をよじると、支えられ背中をさすられた。


 落ち着いてくると、セレナは海で溺れたことを思い出した。

 砂浜でびしょ濡れのまま、ロベルトに抱きかかえられているようだ。


「どこか苦しいところは?」

「だい、じょうぶ、です」

「ああ、よかった。君が無事で本当によかった!」


 きつく抱きしめられて、その背中越しにサンドが家人をつれて戻ってくるのが見えた。


「頼むから、私を置いていったりしないでくれ」


 置いていかれる苦しさを知っているセレナは、しないで欲しいと言われたことにショックを受けた。

 溺れたせいか、頭もうまく回らない。


「セレナ。お願いだから――」


 そんなことしないと言いかけて、それより早く視界が途切れた。






 数日後、セレナは特に怪我も後遺症もなく元気に回復していた。

 ただ、浜への散歩はロベルトから禁止されてしまった。


「せめて私の足が走れるようになるまでは、控えてくれ」


 ロベルトは、あのとき直ぐに駆け付けられなかったことを酷く気に病んでしまったようだ。

 リハビリのメニューを変え、瞬く間に杖なしで歩けるようになっていく。


 次第にセレナがロベルトの世話を焼く機会が減っていき、少しだけ寂しさを感じて、そんな自分を責めはじめた頃。

 いつものようにバルコニーで、夕日の沈む海を二人で楽しんでいた時だった。


「結婚しようか、セレナ」


 ロベルトはセレナの手を取り、返事を待つ。


「はい。喜んで」


 ロベルトとセレナは、王家に結婚の承認を得るため王都へと向かうことになった。




 ◇◆◇◆


 久々の王都行きに、セレナは気が動転し、一度父親に領地へ来てもらおうと言いだした。


「なぜ、オセアン公爵に来てもらう必要があるんだ?」

「なぜって、私は流行りに疎いので。王都で身に着けるものは、いつも父に選んでもらっているのです」


 ロベルトの隣に並ぶのだ。父に聞いて抜かりも落ち度もないように準備しなくてはと、セレナは説明した。


「その必要はない。私が全て選ぶよ」

「そ、そうなのですか?」


「セレナの父上が選ぶのなら、私が選んでもおかしくはないだろう?」

「そうですね。言われてみれば確かに」


 ここにオセアン公爵がいたのなら、割って入って娘に関わる全ての権限を主張しただろう。

 そうなる前にロベルトは先手を打てたことになる。


 邸に王家御用達の商会や工房の主が連日呼ばれた。

 セレナはロベルトの選んだドレスを身にまとい、それを披露しては、また次のドレスに着替えていく。


 全てを選び終わる頃には、へとへとになっていた。


「大丈夫かい? セレナ」

「はい。少し疲れましたが、それよりもドキドキしています」


 こんなに大掛かりなドレス選びは生まれて初めてなのだ。

 しかも着替えるたびにロベルトから褒められて舞い上がっていた。


「ロベルト様はなにをお選びになったのですか?」

「私は、セレナのドレスに対となるデザインで全て用意したよ」


 そういう選び方があったのかと、セレナは感心してしまった。






 王都に到着し、オセアン公爵に許しを得たあと、三人は結婚の承認を得るため登城した。


 案内された部屋へ移動するときから、ロベルトに声を掛けてくる貴族が後を絶たない。


 みな口々に、ロベルトの昔と変わらない姿を褒めたたえ喜んでいる。


「ロベルト殿下が再び城へ戻ってくることを、みんな心待ちにしておりました」


「いやはや、塞ぎ込んでいたという噂はデマでしたか。早く政務に戻られることをお待ちしています」


「王太子の指名は未だありません。ロベルト殿下の今のお姿を見たら、国王もきっと喜ばれるでしょう」


 それらを軽くあしらう姿は、セレナが一緒に過ごしたロベルトと別人のように見えた。


 ――太陽のごとく輝かしい方だった


 レジーナの言葉通り、物腰柔らかく際どい発言をかわす姿は余裕がある。


「セレナ、みな勝手なことばかり言って、すまない」

「いいえ。きっとロベルト様が健やかになられたことが嬉しいのでしょうから」


 楽しみにしていた王都行に、結婚の準備。

 選んでもらったドレスを着て、夢見心地でここまで来たのに、何故かひどく指先が冷えた。




 その日、国王との謁見では結婚の承認は終わらず、セレナは父親と二人でオセアン公爵家のタウンハウスへと帰ってきた。


 国王も王妃も、ロベルトの兄弟たちも、彼の姿をみて喜んでいたというのに。

 セレナは嫌な予感がぬぐえずに、途中からは笑顔を浮かべることすら苦痛を感じた。


 ひとり塞ぎ込んでいたロベルトが、元気になった途端に取り囲んで、なんて現金な人たちなのだろうか。

 でも、その人たちこそがロベルトの家族なのだ。


 ロベルトが笑って会話を楽しむ姿に傷つくなんてどうかしている。

 セレナはロベルトの喜びを分かち合えない自分を知ってしまい、やるせない気持ちになった。





 翌日、オセアン公爵家のタウンハウスに、前触れなしでエストレア公爵家の馬車が乗り付けられた。

 現れたのはレジーナだ。


「ごきげんよう、セレナ様」

「今日はどういったご用件でしょうか、レジーナ様」


「どうもこうも、ロベルト殿下とファウスト殿下の件ですわ。単刀直入に申し上げます。婚約者を元に戻していただきたいのです」


「……レジーナ様は王太子妃を望まれているのでしょう? なぜ今さら交換などと」


「ロベルト殿下が前と変わらないお姿で登城したのは、周知の事実。それにファウスト殿下は王の器ではなかったのです。こうなったら先々どうなるかなど火を見るより明らかですもの」


 レジーナの暴言に腹が立ったが、それ以上に、周囲が王太子に再びロベルトを望んでいることに悲嘆した。


「帰ってください」


「なんですって?」


「そんな乱暴な話、到底受け入れられません! 帰ってください!」


 セレナはレジーナを追い返すと、その足で父親の書斎へと飛び込んだ。


「お父様、お願いがあります!」


「どうしたんだい、セレナ。そんなに取り乱すのは珍しい」


「お願いです。私とロベルト殿下の結婚を、早く、早く進めてくださいませ!」


「よくない噂が立っているね。といっても国にとっては喜ばしい話だ。それを知って焦って私のところにきたのかな?」


 セレナは項垂れた。父にまで話が入ったということは、本当にロベルトは王太子に戻るのかもしれない。


「そんなに、好いてしまったのかい?」


 父の言葉に、セレナの瞳から涙が流れ落ちる。何度も頷いた。


「わかった。お父様がなんとかしよう。ロベルト殿下が王太子に戻るなら、お前を王太子妃に推せば叶う話だ」


「でも、それだと、公爵家が……」


「養子を迎えるなり、方法は幾つかある。だからもう泣き止んでおくれ」


「お父様……!」


 まだチャンスはある。そう思えただけでセレナの心は幾分軽くなった。





 再び城から呼び出しがあり、セレナは父と登城した。

 なぜかオセアン公爵だけが先に呼ばれ、セレナは別室で待たされることになった。


 部屋でひとり時間をつぶしていると、褐色の髪に、どこかロベルトに似た風貌の少年が部屋を訪ねてきた。


「こんにちは、セレナさん。僕は第七王子のマリーノです。先日お会いしたときは、紹介の順番が回ってこなくて残念に思い、挨拶に来ました。僕はロベルト兄上と母が同じ兄弟なんです」


 にっこりと屈託なく笑い、マリーノはセレナの手をとった。


「兄上を元気にしてくださって、ありがとうございました! どうしてもお礼が言いたくて。実は内緒で来てしまったんです」


「そんな、勿体ないお言葉です」


「いいえ。僕は兄上が部屋から出なくなってしまった姿を知っています。あんなに元気になれたのはセレナさんが救ってくれたからです!」


 セレナの目頭が熱を持つ。人前で泣くまいと目を(つむ)り、涙を(こら)えたときだった。


 ――コン、コン、コン、コン


 再びの来客に、マリーノが慌てる。


「ここに来たことがばれたら、僕怒られちゃう!」


 マリーノは、部屋の奥のソファの後ろに姿を隠した。

 もしかしたら、セレナを呼びに来た案内役かもしれない。

 ならマリーノのためにも、セレナは部屋から出ていくほうがいいだろう。





 扉を開けると、そこには、なぜかファウストが立っていた。


「失礼、セレナ。少し話ができるかな?」

「どういったご用件でしょうか?」


「まずは部屋に入れてくれないか? ここで立ち話するような内容ではないからね」



 無理やりドアを押し開けて、ファウストは部屋へと入る。

 セレナはマリーノが気付かれないかハラハラしながら、上手く席を誘導した。


「うーん。やっぱり似てないんだよね」


 セレナの顔をジロジロと不躾に眺めながら、ファウストは首を傾げて悩ましい声をあげた。


「なんのお話ですか?」


「オセアン公爵家が王家に提出した釣書の話。私が見た君の姿絵は、なんというか冴えない感じだったからね。すごく残念な気持ちになったんだ」


 オセアン公爵が王太子妃落選用に作ったねつ造釣書は、セレナとファウストの婚約話が出た時にも使いまわされたらしい。


「爵位が問題ないからってさ、兄上の余りを回されたのも面白くないし。釣書の姿絵も冴えないし。嫌になっちゃったんだよね。だから兄上が王太子から外れて、私が王太子になったら面白いかもって思ったんだけどねぇ。これがちっとも面白くなかったんだ。びっくりだよ」


「いきなり、なにを。もしかして、ロベルト殿下の怪我は……」


「おっと、それは違う。落馬は兄上自らの落ち度だよ。そんな恐れ多いことをしたりしないさ。たまたま王太子の席が空いたんだ。なのに周りもレジーナも、いっつも私と兄上を比較して落胆するんだ。やってられない。だから、兄上が戻ってきて私は喜んでいるんだよ」


 脚を組みなおし、楽しそうに笑うファウストは、一体何を考えているのだろうか。


王太子になる(そんな)ことより、もっと楽しそうなことを見つけたんだ。君だよ。実物は釣書の何倍もきれいだし。あの壊れた兄上を、あそこまで立ち直らせた慈悲深さ。そういうものを私は求めているんだよ。元の婚約に戻すのが一番良いと思ってきたんだ」


「ファウスト殿下も、レジーナ様と同じように言うのですね」


「貴族も王族も婚姻は政治が絡むのが常。そこにどういう意味を見出して折り合いをつけるかは人それぞれだ。私は王太子にはならない。己が進退を見極めて、妥当な選択肢を選び、少しでも気持ちよく過ごせる努力をしているだけだよ」


「私は、ロベルト殿下との結婚を望みます。王太子になられるのなら妃に――」


「王太子妃の教育を完璧にこなしたレジーナに、あなたは勝てるといえるのですか?」


「それは……。ですが父は応援してくれています!」


「私の質問の答えになっていない。王太子妃は未来の国母。その覚悟があっての上ですか、と聞いているんですよ。正直兄上を愛しているとか、そういう個人の感想は関係ないんです。貴族王族なら常識でしょう?」


 悔しいぐらいに、ファウストの言うことは正論だった。


 恋を患い父親に我儘を言って、王太子妃になろうというセレナの考えは、甘いし愚かとしか言いようがない。

 面と向かって指摘されて、己の無知さを自覚した。


 諦めることのできない思いも、愛する人に醜態(しゅうたい)をさらすくらいなら、黙って身を引くほうがいいのだと分かってしまった。


「私、父のところに参ります」


 セレナを溺愛する父なら無茶をしかねない。早く止めに行かなければと席を立つ。


「なら私も同席しましょう。婚約解消と再婚約が一度に済むなんてちょうどいい」


「私は、あなたと婚約などしませんわ」


 掴まれそうになった腕をかわして、セレナは扉まで歩いて行く。

 急がなければと扉を引いたが、後ろから乱暴に押し戻された。


「強気な女性は嫌いじゃないけど、成立するまでは従順にしてもらわないと困るな。ねえ、人を陥れたり事を進めるのは存外簡単なことなんだ。例えば兄上の主治医に一番キツイリハビリを選ぶよう仕向けて、失敗したら、再起不能かもしれないと口にさせる。たったそれだけのことで兄の心は簡単に折れたんだ」


 セレナの体が戦慄(せんりつ)した。

 小さな不幸を仕込んでロベルトを破滅に追いやったのは、ファウストなのではないか。


「どうして、そんな酷いことを!」


「どこが酷いのかな。いちにちでも早く復帰したい兄上の心を汲んで主治医が一番早いスケジュールを採用したこと? 再起不能かもしれないと不安を口にしたこと? どちらも悪いことじゃない」


「思いやりというものがないんですよ! あなたも、あなたの周りも!」


 振り返れば、愉快そうに笑うファウストの顔があった。


「そうだね。だって物事がうまくいくことのほうが大事だからね。貴族も王族も人なんだけど、そういう扱いはされないことが多いよね」


「ファウスト殿下のおっしゃることは事実ではあります。ですが、都合よく物事の断面を切り取って正当化しています」


「へえ、なら君も陥れてあげるよ。それでどっちの言い分が正しく扱われるか競争しよう。私が勝ったら、オセアン公爵家に迎え入れてもらうね」


「お断りします! ていうか、話の脈絡が無さ過ぎよ!」


 ――ガッチャン!



 セレナの言葉にかぶせるように、破壊音が鳴り響いた。

 割れた花瓶の上にファウストが崩れ落ち、その後ろには涙でぐしゃぐしゃになった顔のマリーノが立っていた。


「ご、ごめんなさい。兄上たちが、迷惑かけて。ちっとも優しくない僕たちが、迷惑かけてごめんなさい!」


「そんなことありません。マリーノ殿下は優しい方です。私にお礼を言いに来てくれて、今も助けてくれたのですから」


 気を失っているファウストから少しでも離れるため、そして父に頼んだ妃への進言を止めるために、セレナはマリーノを連れて走り出した。





 ロベルトが王太子に戻らなければ、やはりファウストが選ばれるのだろうか。


 あの快楽を求めて衝動的な行動をとるファウストが国の実権を握れば、どんな酷いことが起きるだろう。

 それだけは、なんとしても避けなければならない。


 セレナには、王太子妃になる素養も気概もない。

 ずっと海の見えるバルコニーで、ロベルトと二人で幸せに暮らしたいと願っていただけの令嬢なのだ。


(私は伴侶を迎えてオセアン公爵家を継ぐのが相応しい。そしてロベルト殿下は誰よりも王太子に相応しい方なのよ)


 あるべき姿へ、国の平和のために。

 その裏側にどんな想いがあったのだとしても、それを理由に判断を誤ってはいけないのだ。




 ◇◆◇◆


 マリーノの案内で、一同が集まる謁見の間へと向かった。

 途中でセレナは、父とロベルトが二人で歩いているところに出くわした。


「あ、ロベルト兄上だ! セレナさん、兄上のところへ行こう」


「マリーノ殿下、私は父に話がありますから。ここで失礼します」


「うん。あの、ロベルト兄上のこと好き?」


「お慕いしていました。今後はオセアン公爵家として、お支えしていきたいと思います」


 マリーノの顔が歪んだが、セレナは気付かないふりをして父のところへと向かう。

 父の顔だけに注視して、横に立つロベルトが視界に入らないよう顔を少しだけ逸らした。


「お父様、少しお話があります」

「今でないとダメかい?」

「今少しだけ、お願いします」


 廊下の隅まで移動してもらい、セレナは、手短に自らが王太子妃になることはしないと伝えた。


「本当に、それでいいんだね」

「はい。私はロベルト殿下を好きだっただけで、妃に足る器ではありませんから」


「なら一緒に行こうか。セレナは呼ばれてはいないが、当事者なのだからね」

「はい」


 父の差し出した腕に手を回し、セレナは謁見の間へと向かった。

 ずっとこちらを気にしているロベルトの視線を感じてはいたが、顔を伏せてやり過ごした。





 ――謁見の間


 国王は、招いていないセレナとマリーノの二人を見て、どうしようかと顎髭(あごひげ)を撫でる。


「どうしたものか。無関係ではないとはいえ、こうも全員揃うと、それはそれで進めづらいな」


 しばし逡巡(しゅんじゅん)した後、国王はセレナの名前を呼んだ。


「セレナ嬢、第二王子との婚約白紙に、第一王子との婚約にと。王家の都合とはいえ、振り回してしまって申し訳ないことをしたね」


「いいえ。貴族として心得ております。国のために最良の判断をして頂ければと思います」


「ふむ。して、オセアン公爵は今日はどういった用件だったかな」


「はい。娘の婚姻について結論を頂きたいと存じます。仕方のないこととはいえ、これ以上二転三転するのであれば、他で婚姻を整えることも考えねばなりますまい」


 これ以上引き延ばすなら、オセアン公爵家は別で婿を迎えると宣言した。

 そうか、と国王はしばし間を置いて、考え込む。


「陛下、発言の許しを――」


「ロベルト、私はお前の考えを受け入れかねている。お前自身が王家に貢献するのが一番だという者が大多数を占めているんだ。それに他の王子たちでは玉座に足りぬ。誰を選んでも互いに争うようになるだろう」


 セレナは、思わず父親の腕を強く握った。

 オセアン公爵は顔色の悪いセレナの身を案じ、これ以上長引かせないよう意見を述べた。


「陛下、私からもロベルト殿下の案を採用することをお勧めします。周囲からいくら希望があっても、聞き入れればロベルト殿下を王太子から外した判断が軽率だったことを意味します。それは王家の尊厳を削ぐことに繋がりましょう」


「うむ。まあ、そうなるだろうな。――なら、ロベルトの意見を採用しておくとしよう」


 ロベルトは小さく息を吐き、国王陛下に誓いを立てた。


「陛下、では、私はこのままオセアン公爵家に入り、マリーノの後ろ盾となります。彼が王太子に相応しく成長するよう尽くしましょう」










 謁見が終わり、退席するよう指示がでても、セレナは身動きが取れなかった。


「セレナ、こちらへ」


 ロベルトに呼ばれ、父にそちらへ行くように誘導されて、やっと歩き出すことができた。


 青ざめて血色を失ったセレナの顔は痛々しく、ロベルトは思わず彼女の手を取り抱き寄せる。



 ただし、その心中は怒りに燃えており、その矛先は他ならぬセレナに向いていた。


「まさか、健やかになったら見捨てられるなんて思わなかったよ」


 少し怒ったような声で責められて、セレナは口元に手を添えて震えだした。


「っ! そんなつもりではなくてですね――」


「ならどういうつもりだったと?」


 王太子に戻そうとする連中を黙らせて、結婚にこぎつけるために奔走した数日間の褒美(ほうび)が、目を合わせてもくれないセレナとの再会だったことに、ロベルトは(いきどお)りを隠せなかった。


 オセアン公爵家の邸で積み重ねた想いを、セレナがまるで無かったかのように振る舞ったことが許せない。


「まって、兄上! ファウスト兄上がセレナさんを脅したんだ。意地悪を言ってセレナさんを困らせて遠ざけようとしたから」


「どういうことだ、マリーノ」


 マリーノから全てを聞き、事前にオセアン公爵からレジーナの暴挙も耳にしていたロベルトは、静かに笑った。


「そうか、マリーノ。よくセレナを守ってくれたね。セレナも不安にさせてすまなかった。あと私はもう少しだけ城で仕事を済ませる必要があるみたいだから、どうか安心して待っていてほしい」


 一瞬、ロベルトの目から全ての光が消え失せた気がしたが、セレナが瞬きすると、いつもの優しい笑顔に戻っていた。

 怒りも収まったらしく、ロベルトが腕をとるよう差し出してくれたので、セレナは喜んで抱きついたのだった。





 その後、ファウストとレジーナの婚約は解消となった。


 レジーナは王太子妃教育で優秀な成績を修めていたものの、倫理観に欠ける行動が容認されなかった。

 王家より新たな結婚を斡旋され、とある侯爵の後妻として嫁ぐことになった。

 嫁ぎ先には既に跡取りもいるため、監視を含めた政略結婚なのだろう。



 ファウストは、ロベルトをもってしても、その悪事をつかみきることには難儀した。

 そんな時、脅威(きょうい)と目されていた他国より婚姻の打診を受け、それを知ったファウストは自ら立候補し、意気揚々と国を出ていってしまった。




 それらのスキャンダルを打ち消すために、ロベルトとセレナの結婚と婚姻の儀は、盛大に催されることになったのだった。






「やっとこの日を迎えることができたな」


 結婚を決めてオセアン公爵家の邸を出立してから、なんと長い道のりだったことか。

 ロベルトの隣には、純白のドレスに身を包み、少々緊張した面持ちのセレナがいる。


「セレナ、緊張しているのか?」

「ととと当然です。こんなに大勢の人がいるなんて」


 箱入り令嬢には少々、いや大分舞台が派手すぎる。

 ここにくるまで、ロベルトに釣り合わない自分の不甲斐なさに落胆し、身を引こうかと何度も悩んだセレナである。

 今さら逃げ出したりはしないが、だからといって不安が消えるわけではないのだ。


「セレナ、また変なことを考えているね。ああ、早く誓ってしまわないと不安で仕方ない」


「ロベルトさまでも不安になるのですね。私も早く誓いを立てて二人きりになりたいです」


 セレナは邸のバルコニーで二人一緒に過ごすことを言ったのだが、今日この良き日でその発言は、間違いなく違う意味にとられただろう。





 盛大な祝福と、溢れる幸せに包まれて、ロベルトとセレナは誓いを立てる。


 病めるときも、健やかなるときも、共に歩むことを。


 ~ End ~

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