05
「グロスー、これキャノンに持って行って」
「さっき見たら小屋に居なかったぞ?」
「ああ、ブラシとかバケツ置いてある場所に笛も置いてるからアレ吹けば大丈夫」
「こんなに持って行っていいのか?」
「おっけーおっけー、寧ろそれくらい食べさせないと帰って来なくなるのよ」
そう言って持って行ってもらった台車にはクズ盛りに盛ったクズ野菜。
だいたい1日に8キロ~9キロ用意する。
基本放し飼いにしているけれど、町まで買物に出なきゃいけない時には必要になるので「お前の家はここだぞ」と餌付けしたりご機嫌窺いのブラッシングしたりしている。
お前はどこの王様だと思うくらい、馬を1頭飼うのも重労働でなかなかの負担である。
「せめて農耕馬になればいいんだけど…」
せっかく畑を耕すアイテム一式買ったのに、装備させようとすると不穏な気配を察していつも居ない。
嫁か、美人の嫁でも貰ってくればいい所見せようとして働いてくれるんだろうか。
ピーーーーーーっと甲高い笛の音がする。
落ちてきた少年、いや青年のグロスもこの1週間でだいぶ肩の力が抜けて生活に馴染んできた。
規則正しい生活に、少しの座学、激しめの運動、そろそろここの暮らしも終わりがやってくる。
旅立ちの日はもうすぐそこだ。