03
ガツガツと青少年がご飯を食べる姿は見ていて気持ちがいい。
昔も今も、誰かに食べさせるのは好きなのよねぇ。
そう思えば森を出て食堂で働くのがいいのかもしれないけれど、ここの生活水準を手放す理由としては弱い。
たまーにだけど、こうやってあっちから落とされてくるし。
珈琲の香りを堪能しながら雑誌を捲り、独り言に聞こえるように、この世界について少し話していく。
濡れた睫毛には気付いていないふりをして。
「ある程度は聞いてきたと思うけど、ここは地球とは違う…異世界っていうのに当たるのかしら?ああ、食べ続けていいから」
そうは言っても食事していた手は止まったままので、仕方なくコップに水を注ぎ一度落ち着いてもらうことにする。
「貴方が落ちてきたのは7大陸のうちのひとつ、ソンブレイユ大陸。ユーラシア大陸くらいの大きさはあると思うわ…分かる?中国とかロシアがあった大陸のサイズよ?」
この子がどこまで勉強できるのかできないのか…そもそもいくつかも聞いてないけど体育会系は勉強しなさそうって偏見かしら。
話し方と筋肉の付きの良さからなんとなくだけどそう判断した。
「国にもよるけれど、このあたりなら比較的平和で過ごしやすいから、あまり他の大陸へ渡るのはオススメしないわ」
あー、地図どこに片付けたんだっけ、なるべく早く見つけないと。
「で、貴方の落ちてきた国は小国のアルデバラン―――のド田舎、しかも森の中。ここなら急に落ちてきても世間様に不審がられないし騒がれないし丁度良いんでしょうね、この世界の常識と生活力を身につけてもらうために暫くここで暮らしてもらいます。まぁいわゆる――」
「「チュートリアル」」
要するにサッサと出て行ってもらうまでが私の仕事だ。