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 「はぁ…10日も他人が居ると気疲れするわ」


 

 今回も無事、お客様を送り出せたのでまた暫くはのんびり森の引きこもり生活を楽しめるだろう。

 何か新しい趣味でも見つけて没頭したいものだ。



 「キャノン、あんたが行っても良かったのよ?」


 「ブフフン」



 何で俺が出て行かなきゃいけないんだって顔ね。

 いいじゃない、男のぶらり旅。武者修行みたいで。

 どこかで可愛いコと出会えそうじゃないの。


 

 「まぁココに居るならもうちょっと働いてちょうだいね」


 「ブフン」



 あ、いい笑顔で逃げた。

 別にいいけど。

 ああいうタイプの男っていつか痛い目に合うと思うのよね。



 そう結論づけて数時間後。

 今日のお昼ご飯は何にしようかしらなんて暢気に考えていたら嘶きながらドアに体当たりしてきた駄馬が1頭。

 

 

 こいつどれだけお膳立てしても絶対モテないだろとキレ気味に軋むドアを開けたら500キロの体重をガツンと左足の甲にかけてきおった!痛っ!!!

 鉈で去勢したろか!!

 

 痛みに耐え睨んでいたら土下座のようにひれ伏したけど、涙目で立ち上がったらそれどころじゃないとグイグイと背中を押して厩舎まで連れてこられ、何なのよと中を覗いたら敷き藁の中に見慣れない子どもがいた。



 「う?」



 指を咥え、泣くこともなくころんと転がりながら見上げられている。


  

 「ちょっとキャノン、いつ産んだのよ」


 「ブルルルルルル」


 「じゃあどこから拾ってきたの、元いたところに返していらっしゃい」


 「ブルルルルルルルルル」



 ちょっと、今までにないイレギュラーなんだけどもしかして…もしかするの?ねぇ?


 ヒヤリとした空気がふんわり暖かくなったかと思えば厩舎だから屋根があるのに何故かヒラヒラと頭上から紙が落ちてくる。



 『いつもみたいに畑だと怪我しそうなので致命傷を避けるためにこちらにお届けしました』


 「通販じゃないってーの。というかそもそも宅配なんか頼んでないわよ」


 

 またもう1枚ヒラヒラと落ちてくる。A4サイズの紙が。



 『そう冷たいことおっしゃらず。後生なんで成人まで育ててください』


 「もう1回後生とかあってたまるか!」


 

 後生…生まれ変わった来世の心配なんか前世でもしてなければ、来世で極楽に行かせてやるから願いを叶えろとかどうかしてる。


 あんたのほうがどう考えても人生(?)長いんだから暇つぶしに子育てくらいしてみろよ!と金属バットを持って殴りこみに行きたい気持ちでいっぱいである。


 殺意100%まじりっけなし。…というかね?



 「こんなしっかりした連絡手段があるならもっと定期連絡してこんかァい!!!!」



 ひらりひらり。



 『だって春樹さん怖いんだもん』


 「だってって言える年か!首洗って待ってろ!!絶対何が何でも落としてやる!!!」


 ひらひらひらひらひら。

 1枚、2枚、3枚…数枚まとめて降ってくる。



 『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』



 「どこのメンヘラだ!ノリだけでちょっとも反省してないだろコレ!」


 ひらひらり。


 『あ、バレた?(笑)でも春樹さんが怖いのはほんとーだよー、春樹さんだけじゃなくって天鷲一族みんな面倒くさいひと多いからいっつも苦労させられるんだよ?』


 「お、完全に敵に回す気か、その喧嘩言い値で買ってやる」


 ひらりひらり。


 『次エンカウントするのは最低200年は掛かるけど大丈夫?覚えていられる?』


 

 …さりげに寿命告知されるとは思わなかったけど…ある意味収穫か。


 「ウチの血はねぇ、情熱だけはたっぷり流れてる家系なのよ、そっちも頸動脈鍛えて楽しみにしていなさい」



 ひらひらり。


 『わかった、楽しみにしてるからそのコ宜しくね~』



 ふわっと温かい空気が通り抜けて、厩舎独特のひんやりとした空気が漂う。

 もう紙も降ってきそうにない。



 ああ育児って。成人までって…18歳まであと何年あるのよ。

 こんな赤子に21歳の身分証名書押し付けるわけにもいかないし…。

 首座ってるだけまだいいのかしら…?


 

 「とりあえず…聖者降臨みたいな絵ヅラはちょっと心臓に悪いから移動しましょうかね」



 何も分かっていない小さな命を抱き、にこにこと泣くこともなく笑っている姿に絆される。

 幼く弱い子どもには勝てない、これ人間の標準装備だもんなぁ。



 「私は銀30枚程度で裏切られるような大人には育てませんからね」



 そんな生育環境が嫌なら逃げ出してくれて構わないからと囁きながら、仮親失格の烙印をまっさきに自分に押しておく。

 あーでもなぁ。情に棹されてぐいぐい流されそう~~。海まで出そう~~。



 ああもう!こういう不遇な子どもに弱いんだよ昔っから!



序章だけキリよくupしました。

とりあえず完結にしていますが、こっそり恋愛タグに移動したら紫の上ごっこが始まるかと思います。←


(´・ω・`) 色々書きかけあるから…まだまだ先…

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