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二十四ページ目

 【轟く鉄滝】での最初の夜は、【揺らぐ時森】で手に入れた木材を素材とした住居型魔具、【考人の木屋】により非常に快適なものとなった。食料に関してもこれまでの探索で手に入れたものやガイネベリアで回収したものがあるので、自分一人・・・・が食いつなぐには十分すぎるほどだ。どう見積もっても足りなくなることはなさそうなので、今日もしっかりと朝食を食べて活力を蓄えることにする。

 【骨人形スケルトン調理師コック】が作る料理はなかなかの出来で、有り合わせの材料を渡せばそれほど時間もかけずに朝食を作ってくれた。まだ調理のための設備が少ないためそれほど凝ったものは作れないようだが、今後調理に関する物品が増えればさらに美味なものが食べれるようになるだろう。

 食事を終えた後、リビングで吞気に鼾をかいていた姉エルフを蹴り起こしてから【考人の木屋】を収納する。すぐに出発してもいいのだが、その前に夜のうちに自動人形や【採掘する茶岩骨】たちが集めた素材を回収することにしよう。


――――――――――

軟魂石ジャンドー】を収集しました

恵命鉱グンジー】を収集しました

蒼錆晶鉱ブライオ】を収集しました

赤朽晶鉱レデリオ】を収集しました

傾ぐ球岩リネ・ボーロの滑甲】を収集しました

傾ぐ球岩リネ・ボーロの粘着液】を収集しました

傾ぐ球岩リネ・ボーロの緩衝筋】を収集しました

突く槍虫スイック・ラントの甲殻】を収集しました

突く槍虫スイック・ラントの鋭爪】を収集しました

突く槍虫スイック・ラントの体液】を収集しました

――――――――――


 【採掘する茶岩骨】たちが一晩中岩壁を掘り進んだ結果、これまで露わになっていなかった新たな鉱石を手に入れることができた。また、その採掘の音により引き寄せられた魔物たちの素材も手に入った。残骸から察するに、【傾ぐ球岩リネ・ボーロ】というのは、岩と酷似した甲殻を柔軟な筋肉で繋ぎとめた大岩のような球体の魔物で、【突く槍虫スイック・ラント】は極端に長く鋭い六本の足を操る虫型の魔物のようだ。魔境特有の個性的な素材が手に入ったことにより、また生成候補が現れる。


――――――――――

【肉繋ぐ岩楯】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

傾ぐ球岩リネ・ボーロの滑甲 560%/100%

傾ぐ球岩リネ・ボーロの緩衝筋 300%/100%

貯める水体アマル・ウディの粘液 440%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


――――――――――

【カンテの石突】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

突く槍虫スイック・ラントの鋭爪 650%/100%

帯びる砂蛇テン・サネクの岩纏皮 780%/100%

赤魔晶 800%/100%

赤朽晶鉱レデリオ 220%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


――――――――――

【廻生巡る水晶球クリスタルボール】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

軟魂石ジャンドー 150%/100%

恵命鉱グンジー 140%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


 新たに【肉繋ぐ岩楯】や【カンテの石突】という武器防具を手に入れたのもうれしいが、それよりも気になるのが【廻生巡る水晶球クリスタルボール】という煌びやかな置物のような物品だ。

 【廻生巡る水晶球クリスタルボール】は今手入れたばかりの【軟魂石ジャンドー】と【恵命鉱グンジー】を混ぜ合わせたかのような見た目をした半透明の水晶玉である。乱雑に切り出されたようでバランスが取れている水晶玉の切断面が取り込んだ光を複雑に反射させ、素材となったそれぞれの鉱石の色に染まった光を放っている。


――――――――――

【廻生巡る水晶球クリスタルボール

分類:装飾品・水晶

詳細:”魂魄鉱”と呼ばれる特異な二種の鉱石を組み合わせた、希少な装飾品。生命と魂を取り込むと言われる二つの鉱石が放つ光は、常に揺れ動きながらそれを見る者を魅了する。

――――――――――


 【廻生巡る水晶球クリスタルボール】は魔具ではないし特別な権能を持っているわけでもないようだが、説明にある通り中で反射する光はいつまでも眺めていられそうなほど美しいものだ。いつかここという住居を手に入れたならば、ぜひともそこに飾りたいと思う。

 だが、今はいつまでも水晶玉に見惚れているわけにもいかない。全書に【廻生巡る水晶球クリスタルボール】を収納し、いよいよ【轟く鉄滝】の奥へと進んでいくことにしよう。


 道中はやはり煌びやかな鉱石や水晶で構成された谷の底を進んでいくこととなるが、奥に進むにつれて景観が徐々に変わってくる。最初にその変化に気づいたのは出発してから数時間が経った頃だった。

 それまでは周囲にあるものといえばくすんだ光を放つ金属の原石や光を反射する水晶柱くらいだったのだが、岩壁や地面から生えた明らかに植物のような形をした何かがぽつぽつとと現れ始めたのだ。これまでの魔境で遭遇した様々な出来事を思い出して警戒しながら近づいてみたところ、それはどうやら金属や宝石のような素材で形成された植物のようだった。

 触れても特に害はないようなので、早速収集してみる。


――――――――――

【黄絢玉の若木】

分類:植物・鉱樹木

詳細:成長の過程で地中に存在する金属などの無機物を吸収する特異な植物。通常の樹木と比較して成長に膨大な時間がかかるが、切り出された成樹は手を加えずとも一級の芸術品として取り扱われる。

――――――――――


 有用な用途は見当たらないものの、片手で難なくつかめるほどのサイズの【黄絢玉の若木】は思わず見入ってしまうほどの美しさを誇っている。全書の説明にあるように【黄絢玉の若木】は細い幹やいくつかついた葉など、すべての部位が煌びやかな無機物でできていた。自然にこのような物体が育つとは俄かには信じがたいが、確かに手の中にある【黄絢玉の若木】は人の手で作れるようなものでもないと思われる。芸術品として扱われるのも納得の品だ。


 最初に【黄絢玉の若木】を見つけた際は枝と見まがうサイズの若木が岩壁から一本生えているだけだったが、進んでいるうちに【黄絢玉の若木】と同じような見た目の”鉱樹木”の数が増えていく。数が増えていくにしたがって景観も豪華になっていくのだが、それに付随して思わぬ弊害が現われ始めた。


 それは何度目かの魔物の襲撃を受けたときに顕著なものとなる。そこはすでに鉱樹木が乱立するほどの数となっていたのだが、数が増えるとともにその幹の太さと樹高も大きくなっている。そのため、魔物たちはその影に隠れたりするなど、奇襲ともいえる襲撃を行うようになってきたのだ。

 これまで戦ったことがある魔物だけが相手であればそれほどてこずることもなかっただろう。だが、奥に進むことで奇妙で厄介な魔物が現れるようになる。

 例えば地面にくぼみを作り、そこに自らが潜むことで地面に擬態しながら獲物を狙う【踏みつける土蓋スンプ・グリッド】や、全身が水晶のような材質で構成されているため視認がしづらい【歪む魔晶ディオン・マンタル】、さらには鉱樹木に生った果実を装って頭上から襲い掛かろうとする【実る宝果ビリト・トレツ】など、【轟く鉄滝】の環境に適応した魔物が多い。

 さらに鉱樹木の密度が増すことで、単純な進行速度も落ちてきてしまった。鉱樹木はその見た目通りかなりの硬質で、先をふさぐ枝を除去しようにもなかなかの労力がかかる。また、力づくで粉砕すれば周囲に細かな破片が飛び散ることとなり、思わぬ怪我を負いかねない。


 最初こそ魔物の襲撃を警戒して自動人形たちを先導させていたのだが、進行速度は落ちる一方だしなによりも砕かれ続ける鉱樹木がもったいなさ過ぎる。そのため、途中からは自分が先導することとし、立ちはだかる鉱樹木は全書ですべて収集していくことにした。無論、自分で先導すること形になることで魔物の襲撃を防げない可能性があるため、常に樹姫の【浄境】による結界で周囲を守り、さらに【アベイル砦】の素材を使って生成していた【鉄繰りの猛犬】を周囲に放つ。【鉄繰りの猛犬】の全高は膝ほどの高さしかないため、この物品を使えば鉱樹木に邪魔されることなく周囲の警戒ができるだろう。


――――――――――

【鉄繰りの猛犬】

分類:自動機装オートマタ・鉄人形

等級:C-

権能:【鉄爪】【鉄牙】

詳細:主の命令に従い獲物に襲い掛かる大型犬を模した鉄人形。身体に備わる牙と爪は、それが振るわれるごとに鋭さを増していく。

―――――――――


 それらを利用した陣形が功を奏し、進行速度は元に戻り、手に入る素材の量も増えた。さらにそれらを使った生成品の候補も現れる。


――――――――――

【紅絢玉樹】を収集しました

【青絢玉樹】を収集しました

【蒼絢玉樹】を収集しました

【翠絢玉樹】を収集しました

【碧絢玉樹】を収集しました

【蛍絢玉樹】を収集しました

【紅の宝果】を収集しました

【翠の宝果】を収集しました

【七輝の葉束】を収集しました

踏みつける土蓋スンプ・グリッドの外気管】を収集しました

踏みつける土蓋スンプ・グリッドの強酸胃袋】を収集しました

踏みつける土蓋スンプ・グリッドの石背甲】を収集しました

歪む魔晶ディオン・マンタルの水晶殻】を収集しました

歪む魔晶ディオン・マンタルの硬拳】を収集しました

歪む魔晶ディオン・マンタルの鋭拳】を収集しました

実る宝果ビリト・トレツの疑果肉】を収集しました

実る宝果ビリト・トレツの銀歯】を収集しました

実る宝果ビリト・トレツの金歯】を収集しました

――――――――――


――――――――――

【宝樹拝する玉座】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

紅絢玉樹 150%/100%

蒼絢玉樹 150%/100%

碧絢玉樹 140%/100%

黒絢玉樹 0%/100%

金絢玉樹 0%/100%

物品が不足しているため、生成を行えません

――――――――――


――――――――――

【宝樹の紅木杯】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

紅絢玉樹 3200%/100%

紅の宝果 1000%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


――――――――――

【ギィム作・絡み昇る輝竜像】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

蒼絢玉樹 890%/100%

碧絢玉樹 750%/100%

翠の宝果 200%/100%

廻生巡る水晶球クリスタルボール 100%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


――――――――――

【ガン族の土中息紐】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

踏みつける土蓋スンプ・グリッドの外気管 210%/100%

踏みつける土蓋スンプ・グリッドの石背甲 110%/100%

突く槍虫スイック・ラントの体液 200%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


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地砕きの硝拳具グズケスト】を生成します

以下の物品を消費する必要があります

歪む魔晶ディオン・マンタルの硬拳 210%/100%

歪む魔晶ディオン・マンタルの鋭拳 110%/100%

実る宝果ビリト・トレツの銀歯 200%/100%

帯びる砂蛇テン・サネクの岩纏皮 200%/100%

傾ぐ球岩リネ・ボーロの緩衝筋 200%/100%

生成を行いますか?【はい/いいえ】

――――――――――


 手に入れた素材によっていくつか生成候補が現れるが、今回はその種類がかなり多い。というのも、【紅絢玉樹】をはじめとした鉱樹木は装飾品や美術品の材料としてよく使われるらしく、素材の量や種類が少なくても多くの物品が生成可能となったのだ。とりあえず有用そうなものや特に気になるものを心に留めておくことにするが、収集した先から生成できるものが増えていくため、おのずと先へと進む足の動きも早まる。この調子で探索と収集を進めて、我が愛しのコレクションを増やしていくとしよう。

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