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【べらんめぇフィリピン紀行】  作者: 塞翁馬
オオトカゲのキッス
2/3

Do you like widow?


.


Do you like widow ?



◇        



その日もひどく暑かった。


セブ島のリゾートの門を出て村の中心へ歩いて行くと、昼食の用意だろうか匂いもなつかしい柴を焼く煙が立ち昇ってる。


日差しはテッテ的に強い。


帽子をかぶってても地面の照り返しが強烈で、まるでフライパンの上を歩いているようだぜ。


40度は軽くイってそうだ。


ぬかるんだ道端にヤシ材で建てたアバラ屋の店がある。

「サリサリ・ストア」といって、昔の日本のヨロズ屋に当たるかな。


駄菓子から日用雑貨・食料品・穀物や衣料まで何でも並べて売ってる。


乾パンの出来損ないのようなのが軒先に吊るしてある。

たぶん、アリが来ないようにしてあるんだろ。


万引きを防ぐためだろう、ガラスの代わりにフェンスを張ってある。



おもてに粗末な長椅子が出してあって、おばさんが坐っている。


還暦ぐらいか。色が浅黒く顔の刻まれた(しわ)が深い。

外人が珍しいのかジロジロ俺の顔を見ている。


(のど)が乾いたのでコーラを頼んだ。


この村の店では冷やしたコーラは5ペソ(約12円) 、冷やしてないのは1ペソ安い。


だがこの暑さじゃ冷やしてねぇのはヌルくて飲めないだろう。

コーラはペ○シで、妙に薬くさい味がする。



オバサンの横に坐って飲んでいると、オバサンはためらいながら聞いた。


「 ハポン?(日本人?) 」


「 Yeah. 」


「 Have a wife ? 」


「 Yeah. 」


すると彼女、言おうか言うまいか迷った挙句、思い切ったように言った。


「 Do you like a widow ? 」


はて・・ 「 うぃどう 」とは何ぞや?


ああ・・、そういえば昔、誰やらの歌で「ロックンロール ウィドウ」ってのがあったな。

未亡人のことか・・。


えっ?、なんだ? ナンパか?

俺はギョッとして聞いた。


「 You ? 」


するとオバサンは吹き出して「 No No. 」と言いながら奥を指差した。


見ると、店の奥では若い女が鼻をたらした子供を抱いている。


「 Your daughter ? 」と聞くとそうだという。


けっ、このババア、てめぇの娘に客引いてやがる。


一瞬怒鳴りつけてやろうかとも思ったが、これも貧しきがゆえかも知れないな。


日本人はみんな大金持ちとでも思ってるのかも知んない。


たしかに、娘が日本人と結婚すると家族全体が潤うそうだ。


この国の家庭は一般的に大家族制。

親子兄弟はもちろん、従姉弟(いとこ)ハトコ 親戚も同居してる場合が多い。

一家10人、15人なんてのはザラ。


そして、お互い経済的に助け合う。


当然、金持ちの婿さんは全ての家族に援助するべき。

子供達は高等教育も受けられるし、家族の食卓も途端に豪華になる。


だから、フィリピンでは日本人はやたらモテる。

それをバカな日本の男は自分がモテたと勘違いをする。

云っとくが、それはアンタがモテたんじゃなくて、アンタのフトコロの財布がモテたのヨ。


残念〜!!


ジパングの野郎ども、心すべし。



.


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