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99 ベルファスト②

ベルはミランダ達によって幾つもの服を着せられ、ああでもないこうでもないと議論をしている。

ちなみに冬花とカグツチは慣れている為、簡単にいくつかの服を選び取るとそれを購入してベルの服選びに加わっていた。

そして選んでいる最中はベルは大きなバスローブの様な服を纏い、俺の横で笑顔でお茶を飲んでいる。


「私はいつもの服しか着た事が無いのでこんなに沢山の服を着るのは初めてです。」


すると蒼士は苦笑を浮かべ自分の中の記憶を探る。


「そうだな。あの服はあれで似合ってたけどそれ以外も似合ってたぞ。ベルは美人だし髪も綺麗だからいろんな服が合うな。」


するとベルは収まって来た頬の熱が再燃し顔をニヤケさせながら手元のお茶を飲んだ。


「ふふ、嬉しいわ。褒められるってこんなに嬉しいものなのね。」

「ちょっと何サボってるの。構想が固まって来たから、また試着してもらうわよ。」


そして、ベルは再びミランダに捕まると試着室へと入って行った。

その後も試着を繰り返し、いくつかの服を決めると冬花は頼んでいた小物を受け取りそれを蒼士の前に置いた。


「蒼君。この中から私達に似合いそうな物を選んでほしいの。もちろんベルのもお願いね。」


そう言われて俺は小物を見つめ手に取り確認してみる。

しかしどれもイマイチで3人に送りたいと思うような物が無かった。

そして、フと端の方に目を向けるとそこには何故か鉄塊と小袋が置かれている。

俺は小袋の中身を確認し続いて鉄塊を鑑定した。

すると袋の中には色々な種類の小さな宝石が入っており、鉄塊はオリハルコンだと分かった。

それを手に取った俺はミランダに顔を向けると何故このような物を準備したのかを教えてくれた。


「アンタ程のバカげた魔力があれば何か作って送ってもいいと思ってね。そっちの世界じゃどうか知らないけど、この世界では装飾品は魔法で作るんだよ。そりゃ、百合子が作る様な物は特別な知識がいるけど普段使いの小物なら土系の魔法が使えりゃ成形は出来るからね。まあ、それでもオリハルコンを即席で加工できるのはあんた位だろうけど。」


ミランダの説明を聞き俺は顎に手を当てて少し考えてから頷いた。

確かに中途半端な物を送るなら俺が直に作った物の方が心が籠っていて良いかもしれない。

それに先日に修復したハルバードを思えば小物くらいなら余裕だろう。


「それじゃ使わせてもらう。」


そして俺は冬花とカグツチに軽く手を振り傍へと呼びよせた。

いつも傍に居て毎日の様に目に焼き付けているが物を作って送ろうと思うとそれだけでは不十分だ。

指の一本を例に出してもそれぞれ太さに違いがあり上手く合わせないと落ちたり嵌らなかったりしてしまう。

調整は可能だが本人が目の前に居るのだから最初はベストフィットする物を送っておきたい。


「まずは冬花からだな。左手を出してくれ。」


すると冬花は言われた通りに左手を差し出し俺はそれを下から支える様に優しく手を添える。

そして反対の手にオリハルコンの塊を乗せると魔法を使いそこから冬花の薬指に合うリングを作り出した。

まずは少し大き目に作り、それを指に通すと丁度いいサイズまで輪を狭める。

その作業を涼しい顔で淀みなく行っているが既に使っている魔力は一般人数十人分の魔力に匹敵している。

そしてサイズが決まるとそこに台座を作り一旦机に戻すと、今度は袋の中から宝石を取り出した。

だが、どれも傷や濁りがあったりと見た目が悪いのでこの中の宝石は価値の低い物ばかりのようだ。

しかし、俺はそれ等から赤いルビーとダイヤを取り出し再び魔法を使って操作を行う。

それによりルビーは瞬く間に透き通った色になり、不純物が取り除かれる。

そして、その形をバラの花に変えそれをいったんテーブルに戻す。

更にその花をダイヤモンドで覆い中に閉じ込めると、それを指輪に取り付け外見を完成させる。

そして、仕上げとして過去の俺が手に入れていた付与スキルで指輪に不懐属性を取り付けて完成させた。

それを再び冬花の指にはめると彼女は嬉しそうに指輪を見つめて指輪の輝きが霞む程の笑顔を向けてくれる。


「ありがとう蒼君。とても綺麗で素敵。」


そして冬花は横の椅子に座ると今度はカグツチがソワソワしながら何も言わなくても手を出してくる。

俺はそんなカグツチの手を握ったまま全ての工程を数秒で終わらせその指に指輪をはめた。

カグツチは指輪をうっとりした目で見つめ冬花と同じように後光が差している様な自然で柔らかい笑顔を向けてくれる。


「ありがとう蒼士。この指輪は一生大事にするからな。」


そう言ってカグツチは冬花の横に座り二人で嬉しそうに指輪を見せあっている。

そして、俺はベルに視線を向けた時、その顔に寂しそうな表情が浮かんでいるのを見て取った。

しかし、ベルはその場から動かず、無言で冬花とカグツチを見詰めるだけだ。

すると俺に向けて一本のナイフが飛んできた。

それを指の間で受け止めると飛んで来た方向に視線を向ける。

するとそこには睨みを効かせたミランダが口だけを動かし言葉を伝えて来た。


(何々、「男ならやる事をしろ」か。しかし、いきなりナイフが飛んでくるとわな。)


ちなみに今のナイフだが普通の奴なら頭に刺さるどころか頭を砕いて貫通するくらいの威力が有った。

俺の実力を少しは理解しているとは言ってももう少し穏便な対応をしてもらいたいものだ。

そして溜息を吐きながら飛んで来たナイフを投げ返してミランダに返すとベルへと視線を向けた。


「ベル。次はお前だからこっちに来い。」


しかし、ベルは躊躇する様に顔を俯けるだけで動こうとはしない。

すると冬花とカグツチは立ち上がると流れる様な連携で俺の前に椅子を置き、ベルの腕を両側から抱えて連れて来た。

そして、俺の前に問答無用で座らせると再び離れて椅子に座り、こちらに笑顔を向けている。

しかし、ベルは遠慮がちに手を上げて指を1つ立てるとテーブルに置いてある微妙な小物を指差した。


「あ、えっとー。私はそっちから選んでくれたらいいよ。それで十分だから。」


しかし、ベルの顔も声音もそうはいっていない。

それは余程鈍い奴が見ない限りベルの本音が真逆である事を如実に表していた。

なので俺は苦笑してベルの額にかなり手加減したデコピンをくらわせる。


「いったーーーい!何するのよ蒼士。ていうか何でこんなに痛いのよ!?私こんな痛い思いした事ないんだけど。」


そう言って怒り出したベルは額を押さえて代わりらしく睨みつけてくる。

ハッキリ言ってそんな顔で怒られても全くこわ食わない。


「ベル俺に対しては遠慮をするな。これは俺が作りたくてやってるんだ。だからお前が嫌じゃなければ受け取ってほしい。」


するとベルは周りを見回し助けを求める様な視線を向ける。

しかし、ミランダとララには目を逸らされ、冬花とカグツチは言うまでも無く俺の味方である。

それどころか確実にあの2人は今回の事の仕掛け人だろう。

なにせ、俺の記憶にあるこの店の小物はもっと洗練されていて可愛らしい物が多いはずだ。

どう見てもこれはこうなる様に仕組まれていた。


するとベルはこの逃げられない状況に溜息をつくと観念してゆっくりと左手を差し出した。

そして、それを俺が掴み体温が伝わるとベルは無意識に頬が緩み顔に笑顔が戻って行く。

それを見て俺は内心で胸を撫で下ろし作業を始めた。


そして指輪はすぐに完成するが作業はここでは終わらない。

再びオリハルコンを手に取り魔法を使って別の作業に移る。

まずはオリハルコンで細長いチェーンを作り、その先端に固定用のフックを付ける。

そして俺はそれに指輪を通して完成させた。


俺は手を伸ばしそれをベルの首に掛けてやり感じを確認する。

その際、俺が顔が迫り互いの息が掛かりそうな程の距離まで近づく。


そのせいでベルは心臓が張り裂けそうな程のドキドキが胸を締め付け顔を真っ赤にしせ一切の動きが出来なくなる。

しかし顔が離れると胸に寒風が吹いたような冷たさを感じ次第に落ち着いていった。


すると、そんなベルに向かい冬花が小声である事を呟いた。


「私達の国ではね。ネックレスは男が送る時はあなたを束縛したいって意味があるのよ。そして女性がそれを求める時はあなたに束縛されたいって意味なの。そして使われたルビーは情熱、ダイヤモンドは純粋な思いを表してるのよ。」


すると再びベルの体と心が再燃し、ネックレスを握り締めて冬花の顔と行ったり来たりし始めた。


その様子に訳の分からない俺は首を傾げたが冬花は何も言わずに笑顔を浮かべるだけだった。

そしてベルは用事でも思い出したのか転移で何処かへと行ってしまう。

その様子を見てミランダは任楽しそうに頷き俺達を店先まで見送ると再び仕事に戻って行った。



その後、部屋に逃げ帰ったベルは服を脱いでベットにダイブすると枕に顔を埋めながら子供の様に足をバタつかせ始める。


「何なのよこの気持ち!?こんなに嬉しい事なんて私知らない!まるで心も体も自分のじゃないみたい。こんな事が続いたらおかしくなっちゃう。」


そして、今回の胸の高まりはなかなか落ち着いてくれず、ベットの上で悶えながら右へゴロゴロ左へゴロゴロとしていると本人の気付かない内に時間が経過していた。


そして、外を見ればいつの間にか日が沈み始め、ベルは跳ね起きて服を着ると部屋を飛び出し1階へと向かって行った。


「ごめんなさい!今回も遅れてしまって!」


すると夕食の準備がちょうど終わったところの様で殆どの者が揃っている。

そして最後に冬花が料理を机の上に置くと全員で食事を始めた準備が整い夕食の時間となった。


「いいのよ。貴女はまだお客さんなんだからそんなに慌てなくても。」


するとベルは冬花が言っていた『まだ』というフレーズに気付き、勝手に心臓が大きく跳ねるのを感じた。

そして食事中もベルは何度も蒼士へと視線を向け挙動不審な動きを続け周りから暖かい視線を向けられていたが本人は最後までその事には気付かなかった。


(う~~~。なんだか日増しに蒼士の事が頭から離れなくなってる。どうして?もう諦めるって決めたのに・・・。)


そして食事が終わるとそれぞれのんびり過ごして部屋へと帰って行ったがベルだけは食後になると逃げる様に部屋へと戻って行った。


そしてベルは今、新しく買った服に着替えてお風呂場へと来ていた。

すると、今日は見計らったかのようにカグツチが入って来る。

実の所は冬花とカグツチは協力しているので、この行為は作為的である。

それに二人にとってはどんなに上手く隠したとしても神という特殊な気配を持つベルの気配を読んでそれに合わせる事など簡単である。


そして逃げ場のないベルはそのままカグツチと湯船につかり静かな時間を過ごしていた。

しかし、その沈黙はカグツチの言葉で破られる事となる。


「体の調子はどうだ?」

「快調よ、どうしたの急に。」


するとカグツチは少し顔を赤らめ躊躇いながらも自分の経験談を話し始めた。

それは蒼士と初めて愛し合った前後の話である。


「私の世界の神は強い思いによって体が変化する。私は蒼士に会った時は今の様な姿でなく140程の子供の様な体型だったのだ。」


そう言ってカグツチは自分の胸辺りを指した。

すると、その大きな変化にベルは驚きの顔を浮かべその体に視線を走らせる。

しかしカグツチの見た目は大人の一歩前と言った感じだが胸も膨らんでおりとても魅力的な女性に見える。

こちらの世界でも時々あるがそれ程までに変化した例をベルは知らなかった。


「私はこの体になれたから蒼士と愛し合うことが出来た。でも本当の問題はこれからなんだ。実はその後、心の在り様が大きく変化してな。蒼士との事を考えない様にしても勝手にアイツの事を思ってしまう。蒼士の傍に居たくて触れてもらたくてたまらなくなる。」


そしてカグツチは恥ずかしながらも一気に言い切り、聞いたベルは笑うどころか茫然とカグツチを見つめるしか出来なかった。

それは彼女の中にも心当たりがあり、ここ最近の自分とも完全に符合する。

そして、カグツチの言う事が正しければこれからもこの思いは強まって行くと言う事だ。

しかし、それを抑える手段はベルには無かった。


(無理無理無理。絶対無理。日に日に高まるこんな思いを抱えたまま、何もしなかったらそれこそどうにかなっちゃう。)


そんな事を考えているとカグツチは続きを話し始めた。


「それで、実は小耳に挟んだ事があるのだ。この激しい衝動をため込むとマイナスの感情に振れて邪神に落ちる神がいるそうなのだ。その話を聞いたのは蒼士と出会う前でそんな馬鹿なと思ったが今なら断言できる。この話はおそらく真実だろうとな。」


そしてベルはカグツチの言葉を噛みしめ自分に当てはめてみる。

確かに今でも蒼士の隣に並べないだけでベルはマイナスに感情が振れている。

しかし、所々で温もりを感じる事が出来ているから今はギリギリでバランスが取れていた。

もし、これでこのまま蒼士がいなくなったらどうなるのか?

今は大丈夫だがこれからの事を考えると可能性は低くはない。

それどころか我慢が出来なくなって確実に蒼士を襲いそうである。


そこに行きついた時、ベルはカグツチへと問いかけた。


「あなたはどうやってそれを抑えたの?」


するとカグツチは呟く様に告げた。


「蒼士とたくさん一緒に居て、たくさん愛し合ったら収まった。」


そして、その答えだけでベルも顔を赤くして俯いてしまった。

しかし、今はまだ自分の中で我慢が出来る。

そのため淡い期待を込めて今は我慢し続ける事に決めた。

そしてこの夜はカグツチが蒼士の部屋に行きベルは再び一部始終を覗き見た。


次の日の朝、下におりるとそこには蒼士が一人お茶を飲んでいた。


「あれ、他のみんなは?」


その質問に蒼士は「おはよう」と言って笑顔を向ける。

それだけなのにベルの胸は昨日以上に高鳴り無意識に首に下がるネックレスに手をやった。


「パメラたち3人は王城に向かったよ。何か用事があるらしい。今日は遅くなるからあちらに泊るそうだ。冬花はハーデスから頼まれて一緒にドラゴン狩りだ。どうやら質のいいドラゴンの体が必要になったみたいでな。そしてカグツチは彼方の神に色々報告に行ったみたいだ。だから今日は俺達だけだな。ご飯は食べに行く事になりそうだけど。」


するとベルは自分の中に何か黒い物が湧き起こるのを感じ取った。

それを蒼士に悟られない様に抑え込むと、いつもと同じ足取りで椅子に座る。

しかし、本人は気付いてはいないがそこは蒼士の真横の席でいつもは冬花が座っている場所である。


(あ、危なかったわ。もう少しで流されるところだった。)


そして机の上にあるお菓子に手を伸ばし、それを摘まんでいると蒼士はコップを用意してベルへと渡した。


「これお茶な。お菓子ばっかりだと喉が渇くぞ。」

「ありがとう。でも、二人っきりって初めてね。それで、今日は予定はないの?」

「ああ、今日は皆バラバラだからな。ここで待機して何かあったらすぐに出られるようにしておく予定だ。」


しかし、蒼士と話している間にも体は次第に熱を持ち始め二人っきりという状態が気分を高揚させていく。

しかもそれに伴ってベルの中で黒いモノは拡大し、今にも肌を突き破って噴き出しそうであった。


するとベルは「部屋に戻っているわね」と言って転移して消えていく。

しかし、蒼士にはベルの中に蠢く黒い気配が手に取る様に感じられていた。

そしてそれはここに蒼士が残っている最大の理由でもある。


蒼士は最初、冬花について行くつもりだったがそれを冬花は止め、カグツチもベルから離れない方がいいと言って来た。

そのためここには蒼士とベルの二人だけとなっているのだが二人の懸念はこの後現実のものとなる。


(苦しい、切ない、寂しい・・・、蒼士・・・助けて。)


ベルは部屋のベットで蹲り胸を掻き毟りながら心の中で助けを求める。

そしてとうとうベルに限界が訪れ、その体から黒いオーラが吹きあがった。


それはあっという間に部屋を満たし、辺りを夜の様に真っ暗に塗り替える。

しかしそれを感じた蒼士が部屋の扉を蹴破り中へと飛び込んでくる。

するとそこには邪神になりかけているベルが泣きながらベットに横たわっていた。

既に邪神化も始まっている様で輝く様な緑の髪はくすんだダークグリーンに変わっており、額からは皮膚を突き破り角が生え始めている。

鮮やかだった青色の瞳も片方の色が変わってしまい血の様な赤色になっていた。

蒼士はベルの傍へと駆け寄るとその体を抱き上げ、顔に掛っている髪をどけて頬に手を当てる。

すると体中に汗を掻いているのに体温はまるで氷の様に冷たくなっていた。

そんな状態のベルは今にも泣きそうな顔で蒼士へと最後の望みを口にする。


「ご、ごめんなさい蒼士。そしてお願い。魔王になる前に私を殺して。あなたの手で殺されるなら悔いはないわ。」


蒼士は真剣な顔でベルを見つめ伸ばされた手を強く握る。

しかし、蒼士は簡単に諦められない程にベルへの気持ちが強くなっていた。


「分かった。でもそれは最後の手段だ。だから俺に身を任せてくれないか。」


するとベルは小さく頷き目を瞑った。

そして蒼士はそんなをベルを強く抱きしめ互いに息が掛かる距離まで顔を近づける。


「温かいわ蒼士。なんでもっと早くにこうしなかったのかしらね。この温もりももう少しで感じられなくなると考えると寂しいわ。」

「なら、もと熱くしてやるよ。」


そう言って蒼士は更にベルの唇を奪い、そこから浄化の魔法を全力で叩き込む。

それにベルは呻き声を上げ体を大きく跳ねさせて苦しみ蒼士の腕を掴むとに爪をめり込ませる。

しかし、蒼士は痛みを感じていない様にベルの目を優しく見つめ返した。

そして互いに視線を交わした瞬間に今までに感じた事のない程の幸福感がベルを包み込む。

すると先程まで感じていた苦しさも切なさも寂しさも全てが心の奥底から消滅し代わりに胸の中には強い光が芽生え体を包み込んでいく。

そして、蒼士を掴む手を緩め今度は自分から相手の唇を求める。

するとこの時、ベルはカグツチの言った事を真に理解する事ができた。


(我慢するのではなく、ただ素直になりさえすれば良かったのね。)


そして、この時には既にベルの体は以前の美しい姿に戻っていた。

しかし、その顔には今までを大きく上回る輝く笑顔が浮かびそれは1人の男だけに向けられている。


「蒼士・・・私はアナタが好きです。こんな私ですが貴方は愛してくれますか?」

「もちろんだ。」


もちろんこれまでの事で蒼士も自分の気持ちを自覚し、ベルの気持ちにも何処となくは気付いていた。

そのため返事には一切の遅れはなく、それがベルの心へと更に喜びを与えてくれる。

そして、左手の薬指には蒼士から送られた指輪を嵌め、そのまま互いの愛を高め合って行った。


そして次の日になり、日が昇り始めた頃にカグツチが家に駆けこんで来た。


「大丈夫だったか蒼士!?」


しかし、飛び込んだ瞬間、家の中の気配を探ってカグツチは苦笑を浮かべる。

そして何とか平和に解決したのだと気付くと2階へと上がって行った。

そして蒼士の部屋を覗くと部屋のベットの上では蒼士とベルが仲良く眠りについているのを発見する。

それを見てカグツチは苦笑を浮かべると扉を静かに閉めて家の中の片付けに移って行った。

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