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90 勇者達、試合をする

冬花が訓練場の中央に出て少しするとドワーフの戦士も中央へと歩き出した。

そして、互いに向かい合うとまずは互いに名乗りを上げる。


「儂はドワーフの戦士ダート。得物はこのハルバードだ。」


そう言ったダートの身長は1メートルと少し程度。

しかしその身長の2倍以上の3メートルはある巨大なハルバードを、まるで木の棒を扱う様に自由自在に操った。

その激しい動きで周囲へは風が生まれ土埃を巻き上げる。


それに対して冬花はそよ風に吹かれるような涼しいか表情を浮かべ、剣を引き抜いた。

それに冬花の周りは風の影響を受けておらず、髪は揺れず土埃も避けて通っている。

恐らくは魔法でシールドを張っているか風の結界を張っているのだろう。


「私は勇者の冬花です。この世界に来る前に鍛えてもらってますので手加減は無用です。」


そう言って今度は冬花が剣を抜き常人では目で追う事も出来ないほどの速度で剣を振った。


「確かに。王が言っていた通り手を抜いていては勝負にもならんようだ。始めは冗談かと思ったがさすがは勇者。その言葉の通り初めから全力で行かせてもらう。」


するとダートはその言葉の通り、身体強化のスキルを使用し体を限界まで強化する。

だが使われた魔力はかなりの量でこのまま強化し続ければ数分で魔力が尽きると冬花は感じた。

更にその手にあるハルバードの刀身に炎が生まれ激しい熱量を発生させる。

どうやらダートは火への強い耐性を備えている様で頭の髪も豊かに伸ばしている髭すら焦げていない。

そして冬花はこの様子からダートは短時間で勝負を決めるつもりだと気が付いた。


「気付いたか。観客には悪いが短期決戦とさせてもらう。さあ始めよう」


するとダートはハルバードを両手で持つと腰を低くし、一気に冬花へと走り出す。

そして走りながらまずは小手調べと斧を頭上に掲げ全力で振り下ろした。

その速度は凄まじく、周りで見ている兵士には斧の動きを捕らえる事すらできない。

そしてダートは攻撃を振り下ろしながら冬花がどの様に対応するかを瞬きすらせずに観察した。


(ハルバードでの最大の攻撃はその重量と槍の様に長いリーチを生かした振り下ろしにある!どうする勇者。避けるか?逸らすか?)


しかし、ダートの予想を裏切り冬花はその場から一歩も動かず、ただ剣を頭上で掲げるだけであった。


(ば、馬鹿な!この攻撃をあの細い腕と剣で受け止めるつもりか!どんな手段があるか知らんが舐めるなよ小娘ー!)


その瞬間ダートは小手調べと温い考えを捨て殺すつもりで更に力を込める。

体の筋肉を隆起させ、歯を食い縛って相手の生死すら考えず振り下ろされる一撃は本人にすら止める事も逸らす事も出来ない。

そして冬花の剣とぶつかる瞬間、力を一切抜かず振り切るつもりでハルバードを叩きつけた。

するとハルバードはそのまま地面まで見事に振り下ろされ地面に衝突した瞬間、炎を噴き上げながら大地を揺るがし地面に放射状の亀裂を作る。

そして大量の土埃をその場に巻き上げ視界を遮った。

すると兵士たちから口々に声が洩れ中には悲鳴に近い声も上がる。


「お、おい。まさか死んでないよな。」

「そんな、ま、まさかそんなことは無いだろう。」


それを見た俺はすぐに土煙を晴らす為に風を生み出し土煙を空に散らしていく。

すると、視界が戻った先では、たしかにハルバードを最後まで振り下ろしたダートと、剣を上に掲げたままの冬花の姿がある。


そして、冬花は無傷な姿で剣を下ろし鞘へと収める。

しかし、ダートの顔には大量の汗が浮かびその場で石像の様に動かなくなっていた。

だが、ダートも少しして振り下ろした姿勢から通常の態勢に戻ると地面に埋まるハルバードの先端を引き顔の前に持って来る。


するとその先端は斧の部分が中央あたりで綺麗に切断されており、無残な姿をさらしていた。

通常柄の部分ならまだ分かるが切られたのは最も厚みがある斧の中央部分。

しかもこの斧はこの世界では最強の金属オリハルコンで出来ている。

そしてダートはその瞬間をその目で見てしまっていた。


すると切られたハルバードを見た兵士達の所々から疑問の声が聞こえ始める。


「いったい何が起きたんだ。早すぎて見えなかったぞ。」

「そうだな、この結果は予想外だが振り下ろした斧が切られてるってことは勇者様が切ったんじゃないか。」


どうやら二人のしたことが早すぎて兵士たちには見えなかったようだ。

しかし、そうなると困った事が発生する。

俺は冬花の強さを見せつけ、その強さを広めようと考えていた。

しかし、ここの兵士が見えなかったと言う事は当然、町でこの映像を見ている者達にも認識する事は出来なかったと言う事である。

俺でもこの予想外な事態につい溜息が洩れた。


しかし、ここで終わっては折角の試合が無駄になってしまう。

そのため、俺は苦肉の策として今の闘いを解説付きでリプレイする事にした。

所謂、スポーツ中継などのリプレイ映像みたいなものだな。


そして、そうと決まれば行動は早かった。

まず王都中に流している映像を切り替えダートが名乗りを上げた所まで戻す。

ちなみにこれは貴賓席にも映し出されておりあちらも確認できるようになっている。

これは彼らの中にも同じように見えなかった者がいるだろうという配慮だ。

そして映像の下には少し大きめに秒カウンターまで付けてある。

これで少しは実力が理解できるだろう。

準備が終わると次は風の魔法も同時に使い王都中に再び声を飛ばし今からする事を伝える。


「聞いてくれ。今の戦闘が早すぎて見えなかったという意見があったから今から解説しながら動きを遅くした物を見せる。それと下の数字は時間を表していているものだ。さらにドワーフの持つ武器は鉄ではなくオリハルコンというこの世界で最も硬い金属で出来ている。その辺を踏まえて見て欲しい。」


そして映像は動き出しダートは青色の光を体に纏った。

斧からは炎が噴き出し、それだけで熱が伝わってきそうだ。


「この時ダートは身体強化を使い自身の力と素早さを増大させた。そして武器が炎を出しているのはこれが魔剣に類する武器だからだ。」


そしてダートが動いた所から秒カウンターの速度は急激に遅くなり、それに伴ってダートの動きも遅くなっていく。

それでも常人にはかなりの速度に見えているだろうがハルバードが纏っている炎の動きが遅くなっているのでどれだけ動きが速いのかを教えてくれる。

しかし、途中でダートの纏う光の大きさが増した。


「そしてこの時ダートは更に強化を強め全力の攻撃を勇者に放った。」


しかしダートがハルバードを振り下ろし冬花の剣に触れた瞬間。

今度は冬花に変化が現れた。

冬花も体に光を纏いその大きさはダートの何倍にも膨れ上がる。

しかも剣に集まる光はまるで閃光の様に強い光を放っていた。


「この時に勇者も身体強化で自信を強化した。しかし、その強化はドワーフの戦士の何倍にもなる。さらに剣を魔力で強化する事でその攻撃力を格段に上昇させている。」


そして、ダートのハルバードが冬花の剣に触れた瞬間。

斧の部分が解けかけのバターの様に切り裂かれ、ハルバードは二つに分かれて地面に激突した。

そして大量の砂埃を舞い上げた所で映像は通常の時間経過で動かしその後に土埃が晴れるシーンで終わらせ、今の光景を映し出す。


すると過程を知った兵士たちはその場で歓声を上げた。

そして意識を城の外に向けると、ここまで届くほどの巨大な歓声が鳴り響いている。


(どうやら上手くいったみたいだな。)


俺は周りの様子を確認すると胸を撫で下ろした。

そして中央では落ち着きを取り戻したダートと冬花が話をしている。


「まさかこのハルバードを切り裂ける者が現れるとは思わなかった。今代の勇者の実力。確かに見せてもらった。今後は共に肩を並べて戦う者同士、よろしく頼む。」

「ええ、こちらこそお願いします。壊れた武器は蒼君に言えば直してもらえるから後で持ってきてくださいね。」


そう言って冬花はニコリと笑顔を向けた。

しかし、ダートは驚いて「は・・・?」と疑問の声が洩れる。


「このオリハルコンの斧を修復するには途轍もない魔力が必要だぞ。本当にできるのか?」

「え、出来ますよ。彼にかかれば壊れた台所から武器に至るまで問題ありません。」


するとダートは自分の大切な武器と台所を一緒にされて少し表情が曇る。

しかし、彼も妻を持つ物としてその言葉の意味する所を余すところなく理解した。


「そ、そうだな。台所は女の戦場だ。それなら後で頼みに行ってみるか。オリハルコンの武器はこうなってしまうと作り直すしかないからな。それでもかなり大変だから直してもらえるなら助かる。」


そしてダートはハルバードをアイテムボックスに入れると切られた先端部分も回収して後ろへと下がって行った。


すると、後ろで準備していたアルベルトが入れ替わる様に前に出てくる。

しかし、その顔色はとても悪く今にも逃げ出しそうにも見えた。

どうやら先ほどの試合を見て勝ち目がない事を悟ってしまったようだ

しかし、アルベルトが出て来たタイミングで俺は冬花に声を掛けた。


「冬花、カグツチも試合をしたいらしい。こっちに戻って来てくれ。」


すると冬花は振り返り笑顔を振りまきながらスキップでもしそうな雰囲気で駆けてくる。

ちょっとこの笑顔は一般人に対して威力が有り過ぎるので映像には少しだけ手を加えておこう。


「ただいま。蒼君どうだった?」


俺はその言葉に笑顔で冬花の頭に手を置いて優しく撫でながら親指を立ててサムズアップをすると。


「ああ100点満点だ。これでこの町で冬花に手を出す奴はまずいないだろう。闇ギルドがあると言っても馬鹿は何処にでもいるからな。」

「そうだね。普通の人には強さの差なんて分からないもんね。」


そして俺は冬花の頭から手を下ろすとカグツチへと視線を向けた。


「次はカグツチだな。お前も気を付けろよ。」


すかし、カグツチは俯いて上目遣いで俺の顔を見上げると自分の頭を主張した。

どうやら最近は良くするようになったオネダリのようだ。


「蒼士、私もちゃんと出来たら頭を撫でてくれるか?」


すると冬花はクスリと笑い、俺は笑顔を向けて頷いた。

どうやらカグツチは冬花が撫でられているのを見て羨ましく思ったようだ。


「何言ってるんだ、当たり前だろ。冬花とカグツチなら理由がなくても撫でたいくらいだ。」


それを聞いてカグツチは頬を赤くして顔を上げると笑顔で頷いた。


「それじゃ、ちょっと行って来る。さっきは一撃で終わってしまったから今回はテレビでやっていたカンフー映画みたいに少し見せ場を作ってくるぞ。」

「ああ、任せた。頼んだからな。」


そう言って俺たちはカグツチを送り出した。

すると相手が変更したことで遠くから見てもアルベルトの顔色が良くなっているのが分かる。

しかし、その安心は早計であると言ってやりたい。


それに俺達と共にこの世界に来た以上、カグツチにもそれ相応の実力がると考えるのが当たり前である。

しかし、彼は先ほどの闘いからまさか2人も続けて規格外の者が現れるとは思っていないようだ。

もしここでカグツチの目的が体慣らしではなくただ勝つ事だけならばアルベルトは先ほどの試合の様に一撃で勝負を決められていたことだろう。


そして二人が中央に揃うと冬花たちと同じように互いに名を告げた。


「俺はこの王都で警備隊隊長をしているアルベルトだ。よろしくな、互いに大きな怪我をしない様にお手柔らかに頼む。」


そう言ってアルベルトはニカリと笑い手を上げて軽く挨拶をした。


「私はカグツチと言う者だ。それから蒼士からも怪我をしない様にと言われているからその提案は私も助かる。」


そして互いに自己紹介が終わると二人は鞘から剣を抜き正眼に構えた。

すると先ほどまで話をしていた兵士は口を噤み訓練場は静寂に包まれる。


二人は互いに足裏を滑らしながらゆっくりと間合いを詰めていく。

しかし、その間にもアルベルトは隙を探り構えを変えていく。


(クソ、ただ構えているだけなのに隙がねえ!今回の奴等はいったいどうなってんだ!?)


そしてカグツチは正眼に構え、様子を窺うに留めている。

これは単にカグツチがどれほど力を出しても問題ないか測るため、完全に待ちの態勢に入っているためだ。

それでも互いに向き合う事でカグツチの実力を感じ取ってしまったアルベルトからはすれば、切り掛かった瞬間に自分が切り殺されている姿が頭をかすめる。

それは構えを変え位置をずらしても同じであり、これが二人だけの試合ならば即座に参ったと叫びたい気持ちになっていた。

しかし、今は王都中の住人がこの試合を観戦している。

しかもアルタ国王だけでなく各国、各種族の代表までいるのだ。

そんな醜態を晒せるはずもない。

そうしてアルベルトが攻めあぐねているとカグツチが声を掛けた。


「私はこの世界に来てから戦った事が無い。だからしばらくは受けに回ろうと思う。すまないが最初は軽く初めて少しずつ速度を上げながら攻撃してくれないだろうか。」


するとアルベルトはその提案を聞いて助かったと心の中でガッツポーズした。


「おう分かった。それじゃ胸を借りるぜ。」


そう言って遠慮なく切り掛かるアルベルト。

しかし、カグツチは最初は軽くと告げたにも関わらず、アルベルトは素の状態では8割ほどの力を出して剣を振るった。

だが、カグツチはその攻撃を簡単に受け流してしまう。

しかしそれを見てアルベルトも軽く予想していたらしく流れる様に2撃目3撃目と連撃を繰り出していった。

それは互いにダメージを無視できる状況から剣舞の様な形となり、観客たちを沸かしていく。

しかし、次第に剣の速さを早くすると言ってもアルベルトの攻撃は既に全力に近い。

するとアルベルトは強化の腕輪に魔力を流し、自信を強化し始めた。


「カグツチにはすまないが俺の方はアイテムで強化させてもらう。悪く思うなよ。」

「問題ない。いつ使うのか気になっていたが思ったよりも早かったな。」


そして二人の闘いは次第に激しさを増していき、それは常人の域を超え始める。

それを見て俺は冬花の時の反省から映像をもう一つ映し出し、そちらには動きを遅くした映像を流し始めた。

しかし、そこまですると流石に涼しい顔で魔法制御は出来ない。

そのため若干だが顔をしかめ、耐えるような表情になる。


(さすがにこれはキツイな。だが久しぶりにいい訓練になる。)


だが、その苦しみも驚異的な成長速度により和らぎ、次第に元の表情へと戻って行く。

しかし、その姿を隣にいる冬花は心配そうな目で見つめた。


「蒼君大丈夫?」


そう言って心配する冬花に俺は笑顔で頷いた。

苦しかったと言っても1分にも満たない時間だ。

今は魔法制御の限界値が更に上がり余裕が出来て来た。

それでも緩やかにだが今も俺は進化を続けているので時間と共に映像を増やしたりしてあえて負荷を増やしているくらいだ。


「ああ、もう大丈夫だ。どうやら世界の理か何かのおかげかこちらの世界の方がスキルの馴染みがいいみたいだ。あちらにいる時よりも成長が早い。」

「そうなの?それならこっちで修業した方が、もしかしたら成長が早いかもしれないね。」

「そうだな。後で天照にでも報告しておこう。」


そして、試合の方も動きが有り次の段階に入ったようだ。

カグツチの雰囲気が変わり、剣を受け流すのではなく大きく弾き返した。


「それではこちらもそろそろ攻撃しよう。いい訓練になったがそちらもそろそろ限界だろう。」


するとその言葉にアルベルトは焦りを浮かべる。

カグツチの言葉の通り、彼は既に限界まで強化を行っていた。

それでもカグツチは表情一つ変える事無く、今に至るまで全ての攻撃を見事に捌ききっている。


「ちょ、ちょっと待て。そんないきなり・・・。」


しかし、アルベルトの言葉にカグツチは返事を返すことは無く、代わりに刃が返って来た。


「うお、速えーし、重てえ。」


だが、カグツチが攻撃を開始してもアルベルトは何とかその斬撃をギリギリで躱し、返礼の斬撃を返す。

すると先程迄の剣舞の状態から一転し、試合の内容は緊張で手に汗握る内容へと変わっていった。

それは互いに急所への攻撃を避けてはいるが一歩間違えれば大怪我に繋がる攻防で互いに剣を交わしていく。

しかもアルベルトの鬼気迫る表情がその緊迫感に拍車をかけていた。


そんな中でもカグツチは先ほどと変わる事は無く涼しい顔で剣を振るっている。

しかし、アルベルトには次第に体の表面に傷が目立ち始め、見る者によってはは魔力がかなり減少している事がわかる。

そして、頃合いとみてカグツチは初めて大きく一歩を踏み込み剣を下段に構えた。

それに対してアルベルトは最後とみて上段からの全力の振り下ろしを仕掛ける。


その瞬間カグツチは振り下ろされる剣を完全に見切り、剣の側面に向けて攻撃を放った。

するとアルベルトの剣は見事に叩き折られ、折れた剣が当たらない様にカグツチは半歩横にズレて躱す。


そしてアルベルトは折れた剣を見つめて苦笑を浮かべた。


「どうやら最初から最後まで手加減されちまったな。」

「いや、お前もなかなかの実力だった。普通の人間にしては良かったぞ。」


しかし、それまで凛々しかったカグツチは少し顔を赤くしながらアルベルトへと告げた。


「そ、それと・・・。私の胸は蒼士専用だ。他の奴には一切貸さん。」


そう言って踵を返して走って行ってしまった。

そしてカグツチは冬花の様に俺に頭を撫でられ、先ほどまでとは違い普通の少女の様に明るい笑顔を浮かべている。


アルベルトはその姿を見てポカンと口を開き二人を見つめる。

しかし、カグツチが小声で何かを伝えると俺の表情が変わり、アルベルトへ背筋が寒くなるような笑顔を浮かべた。

そして、次の瞬間にはアルベルトの前に立ちその笑顔を向けている。

その動きはあちらから見ればまるでコマ落としのようだっただろう。


「よう、アルベルト。カグツチの胸を借りたいって。まさかリーリンが見てるのにそんなこと言うとは思わなかったぞ。」


するとアルベルトは途端に慌て始め額から冷や汗が流れる。


「ば、違う。アイツは俺よりどう考えても強かったから、それで言ったんだよ。誤解される言い方はやめろ。リーリンに間違って伝わったらどうするんだ。それにどうして来たばかりのお前が俺達の秘密を知っている!」


すると俺は兵士たちへと視線を向け声を届ける風魔法を使った。


「アルベルトとリーリンの関係を知ってる奴は手を上げろ。」


そしてそれと同時に絶大な闘気を体から噴出させ全員を威圧した。

すると威圧に負けた者から次第に手を上げていく。

そして、こう言う事は1人2人手を上げれば連鎖的に増えて行くため次第に数を増やしていった。

その姿にアルベルトもリーリンも目を見張り驚いた表情を浮かべて手を上げている者達に視線を向ける。

しかし、実はここで一番問題なのは兵士たちではなかった。

その手を上げた者に国王やノエル、それにミランダと貴賓席にいるメンバーが複数人いた事である。


するとその中で国王が代表しリーリンへと告げた。


「お主ら、もしかしてあれで隠していたつもりだったのか?」


その一言が決め手となり二人は諦め一つの秘密(思っていたのは本人達のみ)が無くなった。


その後アルベルトは強制的に俺と試合をする事になった。

アルベルトは最初、疲労を理由に悪あがきを見せたが百合子の思いやり?により回復し試合を行った。

しかし、この試合は国民に流されることは無くアルベルトの醜態はそこにいる者たちの心の中にものみ残されることになった。


ちなみにアルベルトは試合開始直後、全力で攻撃をしてきた。

その攻撃には確実に殺気の様な物が籠っていたが俺は何も気にせず、剣を抜く事無く全て素手での片手無刀取りで防いだ。

そして最後は剣を拳で砕きアルベルトの額へと強烈なデコピンをかましてノックダウンさせた。

これによりアルベルトは意識を失い試合終了となる。

その壮絶な結果に冬花とカグツチは呆れた視線を送り、他の者は驚愕に固まって声すら出なくなった。

そして、最後は静かな中で試合は終了し、それぞれの持ち場や部屋へと帰って行った。

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