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148 エピローグ

世界がステータスやスキルと言った変化に対応し始めたころ。

俺たちはいつもと変わらない日常を満喫していた。

いや、天照が世界中に配信した映像のおかげで一躍有名人にはなった。

しかし、マスコミは白崎一族が押さえ、一般人は天照が思考誘導をしたおかげで平穏な毎日を送ることが出来ている。

その事を知っているので一応は天照に感謝はしている。

一応と言うのは俺達は学生の身でありながら天照の計画のおかげで今も戦いの日々を送っているからである。

まさに学校生活がおまけの様な扱いであった。


ある日の朝。

俺たちは学校へ行くために家の扉を開けた。

しかし、その先にあったのは扉が並ぶ白い部屋。

扉の先にあるはずの庭も道路も街並みさえも存在しなかった。

そして部屋の中央には見知った顔である天照が後ろに手を回して、綺麗な姿勢と笑顔をこちらへと向けている。

服がスーツなら何処かの秘書かビジネスマンの様であった。


「良く来てくれました蒼士。実はトラブルがありましてね。それを解決してもらいたいのです。」


そう言って天照は俺たちに資料を渡してくる。

そこには丸秘と書かれた赤い文字が書かれているがこれは断れない流れというやつだ。。

そのためページをめくるとそこには今回この世界で神々によって解禁された制度が書かれていた。


そして1ページ目に書かれていたのは召喚の受け入れである。

これは今まで周囲の世界からの要請を断り、召喚を不可能にしていた事が記されていた。

しかし、今回の事で拒んでも無許可で召喚する世界があるため制度を変え召喚を解禁したようだ。

その際は神々で話し合い必要な人材を派遣すると言う形に変更されている。


「見てもらった通り、現在は人材の育成中です。そして、現世の監視を強化した矢先に異世界からこちらの住人を召喚した事を確認しました。召喚されたのは2ページ目に書いてある子共です。」


俺たちは天照の子供と言う言葉に反応し急いでページをめくった。

するとそこにはまだ幼い少女の写真と召喚した世界がどういう所かが書かれている。

世界的にはベルたちの世界に似ているようだ。

魔物がいて神がいる。

ただ、魔族という種族はいるがどうやら魔法に長けた種族と言うだけで敵ではないらしい。

しかし、召喚したのはその魔族であり、他国と戦争をしているようだ。

そして召喚された者はその戦争に利用される可能性が高いと記されている。

俺はそれを見て溜息をつくと資料を天照へと返した。


「それじゃ、さっそく迎えに行くか。邪魔する奴は蹴散らしてもいいんだろ?」

「構いません。いっそのこと見せしめとして滅ぼしても良いくらいです。こういう事をする世界は今回作った連盟に参加する世界にとっても邪魔でしかありません。既に各世界からの了承も取れています。」


そう言って天照は部屋の中央に一つの扉を作り出した。

俺達はその扉を開けて世界を渡り少女を連れ戻しに向かう、

その結果、その戦争をしていた二つの国の王族と心無い兵士は俺達に皆殺しにされ、一部の兵士と、事実を知らなかった国民のみが残された。

そしてその世界の神は周りから厳重注意を受け、自分の世界をしっかり管理するように言い渡された。

少女は召喚後、地下牢へ幽閉されていたのを発見して保護されたが、その際に俺が切れてしまいその城は瓦礫に変わった事は言うまでもないだろう。


そんな事が複数回続いたため俺たちは平穏な生活の傍らで多忙な日々を過ごしていた。

そんなある日の日曜日。

我が家に来客が訪れた。

日頃は配達以外は訪れる人が殆どいないこの家に訪れた人物。

俺はここ最近の多忙な生活から警戒を露わに呼び鈴に付いているカメラの映像を確認した。

するとそこにはこの世界に存在しない筈の人物が二人も映し出されている。

しかし俺は幻覚かと目を擦り何度も確認するがどうやら幻覚ではないらしい。

そして、決戦が終わった日にベルが話していた事を思い出して「そう言えば何か言ってたな」と言いながら玄関へと向かって行った。

そして扉を開けた俺はそいつ等に声を掛ける。


「久しぶりだなパメラにクレア。道には迷わなかったか?」


俺の家を訪れたのはこの世界に存在しない種族のエルフのであるパメラとクレアだった。

カティスエナとの戦いの後に二人の事を聞いていたが忙しかった事と準備を全て冬花たちに任せていた事もあり完全に忘れていたのだ。

ちなみに来ることは聞いていたが何をしに来るかはいまだに聞いていない。

俺は二人を家に迎え入れると居間へと案内をした。

部屋に入りソファーに腰掛けると、向かいに座った二人は再会を喜んで笑顔を浮かべる。


「どうやら無事に終われたようだね。まあ、何はともあれ、また会えてよかったよ。あんた達がいないと住む所に困る所だったからね。」

「それが目的かよ。まあいいがそれよりもそっちはどうなったんだ。あれから一度もあちらには行ってないから情報が何も無いんだ。」


するとパメラは苦笑を浮かべて説明を始めた。


「概ね前と変わらないね。大きな変化と言ったら主神がシャルキレム様に変わって種族が違っても子供を産めるようになった位だね。ああ、後は世界樹の精霊があんた達が助かってとても喜んでたよ。」


しかし、俺は世界樹の事よりも先に告げられた子供の件に驚愕しパメラに若干鋭い視線を向ける。


(そう言えば以前クレアとの事を話した時に子供の事を気にしなくていいと言っていたな。あの時はそのままの意味で受け取ったが今考えれば何か含みにある言い方だった気がする。)


するとパメラは俺の視線に気づき歳相応の老獪な笑みを浮かべる。


「思い出したのさ。昔は種族なんて関係なく子供が生まれていた事をね。しかし、ある時を境にぱったりと生まれ無くなっちまった。それに疑問を感じなかったからきっと思考誘導が働いてたんだろうね。アンタと話した時はもうかなりカティスエナの力が弱まってたから思い出せたんだろうよ。」


そしてパメラはクレアに視線を向けた。

よく見ればクレアは以前に比べると少し成長している・・・ように見える。

しかし、エルフであるクレアが立った二月程度で目に見える成長をしたとは考えにくい。

だが、俺の記憶にある幼い姿のクレアに比べ今のクレアは明らかに成長していた。

するとクレアは気付いてくれた事が嬉しかったのか頬を染めて種明かしをしてくれる。


「実は、世界樹の精霊様が私の成長を今だけ普通にしてくれたの。ちょうど体が成長期だからあと3年もすれば大人の姿になれるわ。そうしたらまた元通り齢を取らない様にしてくれたの。」


するとクレアはパメラを見て軽く肘で突いて話のバトンを渡した。


「なんだい。私も言わないといけないのかい。・・・私も丁度その時いたのさ。そしたら私も大人の体にしてくれるっていうから頼んだのさ。向こうも初めて会った時よりも齢を取ってる姿だったからね。思う所があったんだろうさ。今後エルフは大人の姿になるまでは人と同じ様に成長して大人になってから老化が止まる様に仕組みが変わったって訳さ。」


そしてあちらの世界の変化を聞き終わった俺は本命の質問を二人に投げかけた。


「それで、お前らいったい何しにこっちに来たんだ。来ることは知ってたから準備はしているはずだが、それ以外の事は何も聞いてないんだ。」


すると二人は顔を向かい合わせてクスリと笑う。

そしてタイミングを合わせて同じ言葉を口にした。


「「教師。」」


そして、俺は魔法に長けた二人を見て納得を示した。

現在はこの世界にも魔法が導入されているがそれを教えることが出来る者の数は極端に少ない。

それは今まで無かった物の為に仕方のない事ではあるが神々はそれを異世界の者に依頼する事で解決したようだ。

ベルがこの世界の神になった以上は今から魔法を使える者は急増するだろう。

しかし、それらの人々を指導出来るまでの土台が出来るまではまだ長い年月を必要とする。

そして、俺は二人の目的を聞きその仕事先も簡単に想像がついた。

現在、白崎学園にはこの世界の仕組みが変わる以前から力を保有している子供たちや、数は少ないが日本の術者たちが集結しつつある。

そして、それらの指導を誰がするのかが疑問ではあったがどうやらこの二人が担当するようだ。

二人とも今の見た目は子供だが数年もすれば立派な大人になると言っているし、年齢も経験も申し分ない。

パメラは言うまでもなく、クレアもSランクの冒険者をしていたのだ。

どんな相手でも問題なく教育できるだろう。


「そうか。二人にはぴったりだな。確認だが教師をするのは白崎学園か?」

「そうよ。よく知ってるわね?」

「俺ももうじき通う予定だからな。授業には参加しないが何か困った事があれば言えよ。時間があれば協力するからな。」

「ええ、ありがとう。そうさせてもらうわ。」


そして、俺は二人をそれぞれの部屋に案内し、その日は平和に終わった。

余談だがクレアの最初の授業が行われる日の朝。

クレアは何処で購入したのかタイトスカートのスーツに伊達メガネ、白のタイツにステッキの様な杖を持って現れた。

聞くと、歴代の勇者の一人が伝えた出来る教師シリーズという物の一つだと言う。

他にどんな物があるのか小一時間ほど問い詰めたいがそんな事をすれば俺もクレアも遅刻してしまう。

仕方なく無理やり着替えさせて普通の服で向かわせたがその日の夜。

俺はパメラから叱責を受ける事になる。

内容はどうして早く教えてくれなかったのかという内容だった。

どうやらパメラはクレアよりも早く家を出ており俺たちとは出会わなかった様だ。

そんなこと言われても困ってしまうが、ようは教師シリーズと言う服で行ったパメラは見た目のギャップから大爆笑されたそうだ。

当然クレアは大人の女性であるので、そこは大人の対応をとり軽く感電させるだけで許したそうだ。


(死人が出なくてよかった。)


そして、平和?な時間を取り戻した俺と冬花は仲間に囲まれながら寿命が尽きるまで人々の希望として生き続けるのであった。

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