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鬼の暴走

 少女は扉の攻撃を紙一重で交わしていた。

 少女の動きはさっきまでとは違い扉の攻撃に完全ではないが対応していきていた。

 扉の打撃をかわして反撃までしていることに俺はただ絶句するばかりだった。

 それは扉も同じようだった。


「お前はなんなんだ?」


「……」


 少女は答えなかった。

 まるで言葉を理解していないように俺には思えた。

 扉は「チッ」と舌打ちすると攻撃を再開した。

 確かに少女は扉に対応しているがどこかで攻撃をくらってしまう。それでも攻撃を少女は止めないのだ、俺は少女に対する尊敬より恐怖を覚えてしまう。

 疑問がある少女は扉に傷をつけられて体のあちこちはぼろぼろなのにどうして動きのきれがまっしているのか?

 つまり、傷がダメージが増しっているのに強くなっているのだ。


 その時はやってきた。

 少女の一撃が扉の溝にはいり、空中に浮かびその顔面を蹴ると空高くまで飛びそのまま地面にドバドバンという音をたてて落下した。

 扉が落下したところは土煙で視界が悪く何も見えない状況だが少女はただ一点を静かに睨み付けていた。


 やがて土煙も消えてきて人影が見えてきた。

 それは、当たり前だが扉だった。


 扉は地面に膝をつくと「ゲッポ」と血のかたまりを吐き出すとふらふらとしながらもなんとか立ち上がると少女を睨みながら言った。


「正直、今のお前はたぶん俺よりも強えーよ」


「……」


 少女は何も答えない。

 俺が代わりに言った。


「なら、黙ってその決壊装置を壊させろよ」


 扉は苦しそうに笑いながら言った。


「それは出来なねぇーんだよ」


「なんでだ?閻魔になんかされんのかよ?」


「うんなんじゃねーんだよ。俺の目的のためだ!」


 扉は声を大きくしそのまま拳に力を入れ少女を倒すために足の裏で地面を蹴り殴りに行った。

 少女に打撃が届いたように見えたが届かなかった。

 少女の顔面を殴る寸前で拳は止まっていた、少女の拳の方が早く扉の顔面を捉えていた。

 宙を舞ってそのまま地面に落ち、意識を失ってしまった。


 意識を失っている扉に少女はまだ拳を向けていた。

 さすがに俺も止めるために声を出した。


「おい扉を倒したんならもういいだろ。さっさと決壊装置を壊して地獄(ここ)から出ようぜ」


「……」


 少女は無言で俺を睨み付けゆっくり俺のところまで歩いてきた。

 俺の呼びかけに応じてくれたのだと安堵していたら、俺の前に立ち拳を握りしめ地面めがけて殴るとそこには大穴が空いていた。

 それを見た俺は一瞬にして脂汗が出てきた。


(おいおいおい、何この漫画にありそうな展開!!!)


 なんて下らないことを考えていた俺は少女から少し距離をとり俺は説得を試みることにした。

 だけど今の少女聞く耳なんて全くないように見えた。


「なぁあんた俺との目的覚えているだろ!?」


「……」


 少女は無言だった。


「俺には目的がある、そこに倒れている扉にもだ。そしてあんたも俺に言うことが出来ない大きな目的があるはずだ」


「……」


 少女は無言だった。


「なぁ頼むからなんか言ってくれよ。言わねぇーとわかんねぇーよ」


「……」

 

 少女は無言だった。


「クソ、何言っても無駄なのかよ」


 俺は自分の不甲斐なさに怒りを覚えて奥歯を噛んでいた。

 少女はゆっくりと歩いて俺に近づいてくる。

 今の少女は正気ではないということが今さらながら知った。


(どうすれば……)


 そんなことを考えていると意識を失い倒れていた扉が立ってまた少女の前に立ち塞がたのだが、少女に軽く手で振り払われただけで倒れてしまった。

 少女は扉には目もくれず通りすぎて行くとそのまま俺を狙おうとしていた。

 少女は何か違和感を感じ下を向くと扉は少女の足首をつかんでいた。

 それを振りほどくために足で強引に振り回した。

 扉はしばらく粘ったが手をついに放してしまった。

 少女はそのまま扉を踏み潰そうとしていた。

 俺は、


(おいおい、何やったんだよ)


 と心の中で思い思いきっり走り俺は扉を肩に担ぎ少女から距離をとった。

 扉は話すのも辛いはずなのに憎まれ口で言った。


「クソがお前みたいなやろうに助けてもらうなんて……一生の恥だ」


「うるせぇーよ、俺だって可愛い子を助けたかったよクソ」


 と言いながら追ってくる少女から逃げる俺なのだが、俺にも体力的限界があるのでほんの10分で息切れをお越し走っているのにノロノロという矛盾が出てきて少女に追いつかれて少女に扉を持っていない左の肩をつかまれてしまった。

 少女の握力はデタラメで全然振りほどけなかった。

 俺は額から悪い汗が出てくるのが分かった。


 少女は全く躊躇いもなくそのまま殴る動作に入ると、俺の体に拳がぶつかる瞬間


「若」


 という声と共に少女が倒れるのが分かった。

 恐る恐る少女を見ると少女の右胸には大きな穴が空いていた大量の血が出ているのが分かった。

 俺は少女に駆け寄らなくてはならいはずなのだがあまりにも突然過ぎてただ呆然と立ち尽くしていた。


 俺は一瞬にして凍りついた。

 担いでいたはずの扉が消えていた。

 後ろに気配がして見ると一人の女が扉を抱き抱えていた。


 その女は金髪で碧眼、黒のスーツを着ていて髪は腰まであるのをポニーテールにしていた。

 それに上半身は出るところはしっかり出ていた。

 一言で言うと美人さんだ。


「若」


 と心配そうな声色で言うとそのまま続けた。



「大丈夫ですか?すぐに手当てを行います」


 それを今にも死にそうな声で扉は答えた。


「いや、それよりもそこに倒れているそいつを手当てしてくれ」


「しかし……」


 女は自分の大事な主である扉をこんなに傷を負わさせた少女を助けるのが気にくわないようだった。

 扉は少女が何をいう前に言った。


「俺の目的にはそいつが必要になったんだ」


 その一言を聞いたとたん女は表情が変わり扉に謝罪した。


「若、すいません。若の考えに一瞬でも背くようなことをしてしまって」


「そんなのいいからそいつを早く手当てしてくれよ。死んでしまう」


 扉はうっすらと笑うと気を失ってしまった。

 女は声を大きくした。


「若ーーーーーー!」


 女は少女の応急手当てを終えると扉を抱き抱えたまま決壊装置に行きそこからボードのようなものを出すと何か打ち込むと辺りの風景にヒビが割れそのなかには真っ白なタワーマンションのような建物が建っていた。


 瀕死の少女の手をつかみ引きずりながらヒビが割れている空間に入ろうとしていた女に俺は恐る恐る尋ねた。


「あの、俺はどうすれば?」


 ため息を吐くとめんどくさそうに一様答えてくれた。


「あなたもついてきますか?歓迎はしませんけど」


 俺は無言で頷いた。

 俺はこの女の子のことがどうやら怖いようだ。

 俺はできるだけ女の気にさわることをしないようにすることを静かに誓うと女のあとに着いていった。


 タワーマンションのような建物はなかに入ると高級ホテルのロビーのようなところ行くとこれまたエレベーターのような機会があり、その中に入ると女はあるボタンを押すと無音で下に動いているのが分かった。

 すぐにドアは開き、そこには液体が入った大きなカプセルが何個かあり、その中に扉と少女の服をとり扉を丁寧にいれたのだが、少女は適当に入れた。

 俺はさすがにないと思い、


「あの……」


 と言いかけたとき、


「なんですか?」


 と睨み付けられてしまい俺は一瞬にして黙った。

 数秒後なんとか女に言うことできた。


「何でもないです」


 これが限界だった。

 自分でも情けないと思う。


「今から二人が治るまで大体1日ぐらいかかると思うのでその間この部屋で休んで下さい」



 と言われるとルームキーのような物を渡された。

 そのルームキーのような物には数字が書いてあったので聞いてみた。


「この数字が書いてある部屋で休めばいいんですか?」



「はい、そうです」


 この部屋からは直席ルームキーに書いてある部屋に行けないので俺達は一旦ロビーのようなところに行った。

 俺は部屋に行く前に女に聞いた。


「あの子は誰に致命傷を負わされたんですか?」


「それは私です」


 女は表情を変えることなく冷酷に答えた。

 女は逆に聞いてきた。


「それを聞いてあなたは私をどうするんでか?」


「今は何もしません」


 女は一瞬下を向くと素っ気なくいや、それ独り言に近かった。


「今はですか……」


 そこで俺達は一旦別れた。

 部屋につくとそこは体にしっかりフィットするベットがあり、すぐ眠りにつきたかったが一度シャワーを浴びた。

 シャワーは、とても気持ちよかった。

 汚れついた体によく効いた。


 俺はベットにつくとすぐに睡魔に襲われた。

 襲われながらあることを思い出した、結局俺はあの少女の名前と女の名前をまだ教えてもらっていないのだ。

 だから俺は、


(起きたらまずは名前を教えてもらうところからはじめよう)


 と決意して眠りについた。

 今はただ休息が欲しかった。

















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